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一服いかが? Un matesito ?


(今頃になって、ふと、matecitoが正しい綴りではないか?
と思い当たりましたが、30年近くこれでやってきたので変えません。
ネイティブの宿六が指摘してくれなかったことだけが、引っかかっています)


<パチャカマック生活での主な登場人物>

ミチカ桜、ペルーナイト柳など…出資者様のお名前や、某秘密結社名を冠した、大切な樹木群。

ハシンタ猫…約20歳で母船に帰還。 ハスミン猫…17歳半で母船に帰還。(;_;)/~~~
ハシンタ二世…約9歳 ハスミン二世(ハスミニ)…約5歳

「小さな家」の住人たち…アプリマック県出身の庭師ベンハー君(40代はじめ)、奥さんのゼラニウムちゃん(30代後半)、次女の百合子ちゃん(12歳)、三女マグノリアちゃん(2歳)
 (以上呼び名はすべて仮名です)
チャスカ(♀)とチャスキ(♂)…プキオ生まれのアルパカたち。
コヤチャ(♀)…パチャカマック生まれの仔アルパカ&そのまた仔アルパカのインティ(♂)
サルボ改めエストレジータ、ビビ、ディナ…カタカオス生まれのメスの七面鳥たち。
グリンゴ(♂)…パチャカマック生まれのオスの七面鳥。名無しのヒナ(♀)
宿六…巳年のリマ生まれ。本宅の住人。
…辰年の代官山生まれ。本宅の住人。
フランクリン君…近所の園芸店のお兄さん。ワンカベリカ出身。大抵はいないけど、最高に困ったときは必ず助けてくれる不思議な人。ワン公も引き取ってくれました。

昔の「一服いかが?」は、こちらからどうぞ


2024年3月26日(火) 午後7時の室温26.9℃ 外気温25.1℃ 曇り
<リマでしつこくバラ苗探し>



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 ペルー人のみなさんのバラの好みは、だいたいバブル時代の東京あたりで止まっているようです。
 この赤バラのように、太い茎の上に、大きな剣弁高芯咲きの花が、ででんっとついているタイプ(ハイブリッド・ティー種)。ペルーの多くの方々は、こうじゃないとバラじゃない、と思いこんでおられるようです。
 リマではほかに選択肢がないため、私もしかたなくこういうの、何株か育てていますが、ほんとはあまり好きじゃありません。



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 例のお高級園芸店ロス・インカスも、かれこれン十年、いつ行っても同じ十種ばかりのバラしかありません。が、先週めずらしく、ちょっと気のきいた房咲きバラがありました!
 やはりざんねん、剣弁咲きではありますが、芯に向かって濃くなる紫色がとてもきれいです。
 もしかすると、ついに私のバラ探し運も、少し上がって来たのかも!セントロの花市場にも、ぜひもう一度行ってみましょう。



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 前回日曜日には、変わったバラは皆無だったので、今度は土曜を試してみます。
 パチャカマックからリマ・セントロまで、というとものすごく遠そうで、今までは敬遠していました。でも意外に道順がすっきりしていて、週末なら車で40分ほどで着いてしまいます。


 パチャカマック中の園芸店をまわって、なにも見つからず、超不機嫌になってうちに帰る(←しょっちゅうやってて宿六大迷惑)…それよりも、ここにまっすぐ来たほうが、よほど効率が良さそうですね。バラでなくても、なんかありますもんね。


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生花売り場のまんなかでがんばる、
チリモヤ&ルクマ売りのおじさん


 朝7時に到着予定でしたが、朝寝坊して10時すぎにやっと到着…
 朝もここまで遅いと、卸の買いつけに来るプロたちは、とうに引き上げたあと。なので少なくとも市場の雰囲気は、のんびりといい感じです。
 そのかわり今回も、良いバラは一本も見つからないかもしれません…



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 この花市場では、切り花やアレンジメント売り場が、大きな面積を占めています。
 リマのフラワーアレンジメントは、失礼ながら超田舎くさくて、悪趣味のきわみ!で、ここまでくるとむしろちょっとかわいいほど…(なぜバラを、等間隔にきちーっと整列させるの…?)
 直視すると目が痛くなるので、あまり見ないようにしながらそそくさと通り抜けます。


 次いで出てくる切り花コーナーのほうは、もっと魅惑的です。
 たまにイングリッシュローズも入荷するらしく、挿し木に使えそうなので気になりますが、生花こそは明け方に来ないとだめですね。



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 切り花コーナーのあと、苗売り場にさしかかります。フクシアとイチゴ苗のディスプレイがかわいい、この小さなお店。
 店頭に並んでいるのは、苦手なハイブリッド・ティーのバラばかりなので、前回はパスしましたが…



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 でも今日は、かわいい房咲きバラがいくつかあるようです。そこでちょっと聞いてみると、奥から出てくるわ出てくるわ…
 「あなた、とてもついてますよ!いつも土曜日は、朝3時4時にviajeros(旅人?)がやってきて、全部買い占めていくんです。でも今日はなぜか誰も来なくて… そうでなかったら、この時刻にこの手のバラが残っていることは、ぜったいありませんよ」
 そう店主の娘さんが言います。彼女がviajeros(旅人)と呼ぶのは、地方から買い付けにやって来る、行商人のことのようです。


 たしかに、ふだんリマではほとんど見かけない、私が大好きなロゼット咲きのバラがいろいろあります。そこでまず、大喜びで20本あまり選び出したのですが、商売上手なお姉さんが、すぐこうもちかけてきます。
 「一袋にちょうど10本入ります、なので切りがいいように、30本にしませんか?ヤパ(おまけ)もつけますから」
 もちろんOKです。



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あっというまに60本…


 でもややあって、またお姉さんが言います。
 「これはあまり入荷しないバラだし、切りがいいように40本にしませんか?」と……
 その同じプロセスを、更にあと二回繰り返した結局、なぜか60本持ち帰ることになりました。


 そしてさいごにもう一声かかります。
 「せっかくまだバラが残っているので…切りがいいように、全部持ってきません?たったの100本ですから!」
 でもこれはお断りしました。軍資金は60本で尽きましたです。



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 と言いつつ、ついでに白とリラ色のフクシアにも引っかかり、もう持参の買い物かごには入りきらないので、荷運び屋さんを呼んでもらいます。
 駐車場までの運び賃は、おじいさんの言い値4ソル(160円)を、花屋のお姉さんが3ソル(120円)まで値切りました。でも、とてもかわいくて丁寧なおじいさんだったので、もちろんあとで多めにお支払いしました。


 ここもおそらく早朝は、卸売り市場のつねで、もっと殺気立った雰囲気なのではないかと思います。でもお昼前の今は、みんな一仕事終えてゆっくりしていて、店先で寝落ちしている人も多くて、また子供たちも大勢ちょろちょろしています。
 さっきから私をチラチラと見ていた、小学生くらいの男の子が、真顔で近づいてきました。
 「…日本から来た人なの?日本人ってどんなもの食べるの?ラーメン?」
 「そうね、ラーメンは日本人大好きね(私は食べないけど…)」



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 するとその子の顔がぱーっと明るくなり、「うわー、当たった!ヤッターーッ!」とガッツポーズ。それでも興奮おさまらず、「ラーメン、ラーメン!」と叫びながら、そのへんを駆けずりまわります。こんな素朴なかわいい子供が、まだリマには生息していたのですね!!

 アンデスの市場めいた、優しい雰囲気の中で、卸なみ!の買い物ができて、今日はほんとに幸運でした。


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 車にバラ苗を積み込んでから、もうひとまわり。
 もう軍資金がありませんから、返って楽しく見物できます。



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 今はヒマワリが、えらく売れすじのようですね。


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 白っぽいヤシの枝がたくさんあって、それで思い出しました。そうかあす日曜(3月24日)は、もう聖週間のはじまり、枝の主日でしたね。


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 生花売り場のあちこちで、みなさんせっせとヤシの葉を編んでいます。
 たぶん明日朝いちばんに、買い付けの人たちがやってきて、そのあと各地の教会前で販売されるのでしょう。こういうのも市場で作っているとは、知らなかったなあ。


 私はあらゆる宗教を齧ってみた上で、宗教すべてに見切りをつけましたが(結局、悟りからはいちばん遠くなる道です…)、でもこういう、ほぼ「単なる季節の風物詩」化した部分は、ちょっといいものですよね。


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 あちらでは、みごとなグラジオラスの林の下で、女性たちが一心に作業中。
 たまたま女性ばかり写しましたが、今日は一家総出のお店が多いらしく、老若男女とわず、せっせと手を動かしていました。



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 懐かしいアヤクーチョでも、今頃こうやってみなさん、ヤシの葉を編んでいることでしょう。


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かわいらしいオールドローズ
15世紀末頃の交唱聖歌譜に
ほどこされた細密画
(スペイン、ウェスカ大聖堂所蔵)



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 さてうちに戻って、本日の戦利品の検分です。

 私が好きなのは、むかしの絵に描かれているような、古風なロゼット咲きのバラです。
 7センチほどのこのバラは、色も形も、左の細密画によく似ていて、たいへん満足です!大事にしなくちゃ。



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上と同じ、装飾楽譜の細密画。
(スペイン、ウェスカ大聖堂所蔵)



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 この白バラも、左の絵によく似ています。しかもグリーンアイのかわいいこと。
 (リマでグリーンアイのバラなんて、めったにないです…有名なミニバラ「グリーンアイス」だけは、少し出回っていますが)



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 ロゼット咲きの、芯が金色に見えるかわいい赤バラ。


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 まるまるとしたカップ咲きの赤バラ。
 これは近年リマでわりとよく見るバラですが、香りがいいので、追加を買ってきました。



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 絞り模様のバラは、ちょっとくどいのが多いですけれど、こちらは小ぶりでなかなか上品。
 ほかに強烈な紅白の絞りのバラ、名前からしてくどい「アブラカタブラ」も、市場のお姉さんから押し付けられました。
 でも思った通り、ゼラニウムちゃんが大喜びしたので、よしとします。ペルーの人は国旗カラー(赤&白)、大好きですものね。



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 この黄バラも7センチくらいと中輪で、そこがまたオールドローズ風で嬉しいです。
 じっさいにどんな品種なのかはわかりませんし、わかろうとも思いませんが、大事なのは「それっぽさ」です。



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この黄バラは、ちょっとイングリッシュローズの
ミニチュア風ですね。なんかいいなあ。


 その後もイングリッシュローズは、探し続けていますが、ほぼ諦めモード。
 一時期栽培していた、という人にも会いましたが、やはりリマの人は、剣弁咲きの古くさいバラだけがバラと思っているようですね。
 その人のお店でも、細かな花弁がつまったイングリッシュローズは、「なんか変ね…」と言われるだけで、ぜんぜん売れなかったそうです…ああ…



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 植え付けの順番待ちの、バラのみなさん。まだ14本しか植えてないので先は長いですが、これだけあると、見ているだけで気持ちが華やぎます!
 …でもね、幼稚園児が喜びそうな、わかりやすい色ぱかりなのは、やっぱりペルー。奥ゆかしい紫や茶系は一本もありませんが、それでもいつものハイブリッドティーよりはずっといいです。


 リマにしては、本当に上出来のお買い物でした。今年の聖週間は、ひたすらバラを植えて過ごすことになりそうです。
 アルパカたちも、今後のおつまみ材料が増えて、大喜びすることでしょう。



<9ヵ月ぶりの外食は…トルコ料理>



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 宿六がこのところ、実にバカバカしいけど景色がきれいなので、つい見てしまうトルコのドラマ(イタリア語版)にどっぷりはまっています。
 それで、リマにも一軒くらいトルコ料理店がないか、検索してここに来ました。Jockey Plazaの横にある、フードコート Refugio Gastrono'micoの中です。



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 店名は、Bodega Turca。
 …思えば昨年6月の、東京以来の外食です。
 この9か月間、毎日台所に立っていたのかと思うと、われながら馬鹿すぎて気絶しそう。



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 上のイスケンデル・ケバブは、塩がききすぎでした。(海塩を使えば、ちょっとくらい塩を過ごしてもごまかせるのにねえ…。リマのレストランには、なかなかまともな塩が浸透しないのが残念です)
 ブドウの葉のドルマは、上手にできてました。飲み物はスペアミント入りのレモネード(これはうちでまねしよう)。



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 羊のひき肉のケバブと焼きナスのヨーグルト和え、これもぼちぼちで、少なくとも全くペルー料理化してないところは高評価。
 しかしですねえ、この昼食が計124ソルというのは……
 約4950円です。うちの生計は円とは無縁なので、もう少しは安いという感覚ですけど、それでも高くてびっくりです。



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 なお期待していたバクラバは(小麦粉だけどぜったい食べようと思ってました)、「ぜんぜん売れないので、作るのやめました」とのこと。
 ペルーの人はこと食べ物に関しては(いえバラに関しても、ですが)、とても頭がかたいので気長に布教すべきなんですが、あっさり諦めちゃったみたいで惜しいですね。バクラバの容赦ない甘さは、ペルー人もきっと好むと思うんだけどなあ。



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 フードコートじたいは、すっきりときれいに作られています。
 好きな店で注文し、好きなところに座って食べる方式です。



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メキシコ料理店


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ペルー料理店


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 このフードコート、週末でも日中はわりと閑散としていて、夕方から夜にかけて混むようです。冬はさぞ寒かろうと思いますが…


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こちらはハンバーガー店。


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昼なので閑古鳥が啼くバー


 全体に、ペルーらしさはほぼなく、小ぎれいだけど味が薄い作りなのはたしか。ただ、従来のリマらしさの欠如=清潔さ(笑)、ですから、長年の住民としてはこういうのはほっとしますね。

 リマの昔からのレストランでは、なぜか掃除にPine Solという、べたつく松脂入りの液体を使います。日本でもパインソルの名で売ってるようですが、ペルーの人はもちろん!「ピネソル」と発音します。
 そのピネソルのせいで、店ぜんたいにきついにおいが充満し、また床も、薄め方が足りないピネソルでいつもべたついていて、それは私が外食しなくなった三大理由のひとつです。(@サラダオイルと化学塩がまずい、Aまずいのに高い、Bピネソル)
 幸いにもここは、ピネソル臭なしでした。



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 観葉植物をたくさん植えこんで、都心のオアシス感を出しているのもいいですね。
 ものすごーくおいしくはなかったですが、バラをたくさん仕入れてから、ここで一息ついて、良い気分転換になった土曜日でした。
 コローナ騒ぎ以降、むかし行っていたレストランがみな品質低下したのに驚き、以来自炊ばかりとなっていました。
 でも買い物のあと座って一息つくと、あとがぜんぜん楽、というあたりまえのことを、久しぶりに思い出しました。この日は帰宅後、バラを少し植えたりもできました!


 こぎれいなところで休めるなら、もう多くは望みません(ぎりぎり私が消化できる料理が出るなら、じゅうぶんです…)。
 たまに立ち寄れるこういう場所を、少しずつ増やしていこうと思います。もちろんピネソル臭のしない店に限りますが。そこだけは譲れない。




2024年3月19日(火) 午前2時半の室温26.7℃ 外気温24.3℃ ほぼ晴れ
<復活祭の卵とうさぎ>


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 スーパーで販促中の、復活祭用チョコレート卵。(うしろの売り子さんもうさぎ姿…)
 百合子ちゃんにひとつ買っていこうかと思い、手に取ってみると、ひどく軽くてスカスカしています。年々、卵のカラ(チョコレート)が薄くなっていくような…?



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 栄養的にも価格的にも、どう考えてもこっちの卵のほうがいいですね。自宅近所の八百屋さんで。


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 一年前に、「小さな家」に支給した卵用のめんどりは、今もせっせと卵を製造してくれています。
 でも生い先はあまり長くないはず…なので、そろそろ次世代の準備にかかります。まずにわとりの囲いを倍に広げて、右半分を新しいヒナたちの住まいにします。


 卵用のめんどりは、いわば使い捨て…(涙)。F1品種ゆえ殖やしても意味がないので、老いて卵を生まなくなったら A la olla...(お鍋へ…)ということになります。
 それが物悲しすぎるので、今度は gallina criolla を選びました。ガジーナ・クリオージャとは、「その地によく順応した雑種」のことです。
 頑健で容易に殖やせて、卵用とお肉用を兼ねていて、さらに雑種ゆえ色とりどりなのもかわいらしく、言うことありません。



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ガジーナ・クリオージャのヒナ。
色とりどりでものすごくかわいいです。


 ただし!飼料店ではオスとメスを仕分けせずに、ごっちゃにして売っているので、何があたるかは運しだい。
 もともとヒナはオスのほうが多いので、念のため24羽買ってきました。数週間すぎてからよく検分したところ、少なくとも7羽はメスのようです。あとで殖えますし、これならまあまあかな?
 そしてよぶんな(涙)オスは、よく育ってから「小さな家」の食卓に上る予定です…



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 ところで、「小さな家」の百合子ちゃんのうさぎが、うさぎ小屋にしても狭すぎる籠で暮らしているのが、ずーーっと気になっていました。
 うさぎが主役の復活祭もじきですし、ニワトリ小屋で余った角材を使って、のびのびできる広さに作り替えてもらいました。



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 こちらは庭でのお散歩用の囲い。
 百合子ちゃんがちょっと目を離すと、うさぎがうちのほうまで彷徨い出てきて、チャスカ様に追っかけまわされるので、その予防策です。(チャスカ様はヒキガエルを蹴ったり、蛾なども踏みつぶそうとしたりする、わが庭の最恐アルパカです)



<花市場での楽しい散財!>


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 エル・ニーニョの暑い夏も、(たぶん)一段落。
 急に空が澄んで、ちりちりと皮膚を焼く紫外線には要注意ですけれど、日陰や朝晩はひんやりとして、いかにも聖週間らしい快適なお天気が続いております。3月4月のリマは大好きです。
 (と、昨年もそう言って喜んでいたら、そのあと暑さがぶり返し、5月ごろまでたいへんでしたから、今年もまだわかりませんが…)



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 井戸を掘り直したおかげで、この夏は水が豊富だったので、いくら暑くなっても心安らかでした。
 夏のあいだに、糸杉もナツメヤシも一段とまた背をのばしました。庭が年々上へ上へ…と広がっていくのは、とてもお得感があります。広さじたいは変わらなくても、もっと広くなったような気がします。
 周囲のばっちい家々(失礼、でも事実)もほとんど見えなくなりましたし、近所の騒音も、木々に吸収されるのか、あまり気にならなくなりました。…いいかげん慣れただけか?



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 ただ昨年からの異常気象で、何本か大きな木が枯れてしまったので、かわりに何を植えようかと考えています。
 前の前の日曜には、リマのセントロ地区の花市場(Piedra Liza)を覗いてきました。(ほんとは土曜の朝3時くらい!に行くと、めずらしい植物が手に入っておもしろいらしいですが、なかなかそこまでは…)


 候補のひとつはコーヒーノキ。ベンハー君によると、パチャカマックで以前勤めていたお宅には、地植えで大木に育ったコーヒーノキがあり、そこで収穫したコーヒー豆をもらっては、炒って飲んでいたそうです。おもしろそうですよね。
 苗は小さいのが一本5ソル(約200円)とお手軽なので、とりあえずは鉢植えでしばらく育ててみます。



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 観葉植物は、特に買う予定はなかったのですが…つやつやしたのがずらっと並んだところを、見てしまいますとね…
 当地では冬の心配なしに、ごく気楽に栽培できますし、少し持って帰ろうかな。



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 でもいちばん気になるのは、市場の外でがんばる物売りさんが、地べたに並べたアンデス直送の植物です。
 笑顔がかわいいこのお姉さんたちは、ワンカベリカから来ているそうです。



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 あ!生きのよさそうな白髪サボテンがたくさんありますね!(たぶんペルー原産のエスポストア属)


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 以前、ワンカベリカ市郊外の道路わきで、若い白髪サボテンの一団と遭遇しました。
 髪振り乱して逃げ惑っているようで、かわいそうな気もしましたが、ひとつ攫ってきて、その後しばらくうちで育てていました。



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お姉さんたちも、こういう風に
採取してきたのでしょうね。



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 こちらは同じくワンカベリカ県の、ワイタラ近郊。だいぶ育ってニョロニョロ化した白髪サボテン。
 (上の写真の白髪君と、同種か否かは不明)



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 お姉さんたちの言い値は、たしか一個3ソル(120円)でした。
 いっぽう高級園芸店のロス・インカスでは、別種の白髪サボテン(メキシコ原産の翁丸)が、ひとつ40ソル也(約1600円)。
 まあロス・インカスでは、そのへんで植物泥棒してきたわけではなく、外来種を月日をかけて増やしたものだからこのお値段、なのでしょうけれど。


 ロス・インカスの商品は手入れがいいかわりに、全体に高いです。でも自社栽培しているからでしょうか、市場価格とは微妙にずれがあり、意外な植物がお買い得だったりするので、要チェックです。


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 でもこの店のいちばんいいところは、お客を完全にほっといてくれることですね!
 花市場のほうは、小さな店が無数に集まっているので、数歩進むたびに「買って買って!」と声がかかるのが、ちょっとめんどくさいです。
 なので誰かとおしゃべりしたいときは花市場、だれとも話したくないときはロス・インカス、と、その時の気分で使い分けています。



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 同じ観葉植物コーナーでも、整然!としたロス・インカスと…


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 店ごとにぎゅうぎゅう詰めで植物が置かれて、宝探し状態、値段も交渉しだいのセントロの花市場。
 中型の観葉植物をいくつか買ってきましたが、スルコやミラフローレスあたりの花市場よりは、いくぶん安いようです。



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 ワンカベリカのお姉さんたちから買ったもの、いろいろ。
 正体不明の球根も二種、買ってきましたが、お姉さんたちの説明では何なのかよくわからず、それが返って楽しみです。


 丸いほうの球根は「黄色いアマリリス」だというのですが…たぶん別の花でしょうね。
 また左下のネギ状のものは、「青い花が咲くカトレア、もしくは青いユリ」とのことですが…うーーん……
 おそらくはアヤメの根茎?と見当をつけています。できれば園芸種ではなく、アンデス原産種のアイリスだといいな。



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 奥の丸くて棘だらけのサボテン、通称「しゅうとめの椅子 asiento de suegra」(何度聞いても笑ってしまうひどい呼び名)も、3ソルから7ソルというのでたくさん買ってきました。
 それから手前のは、アンデスでよく土壁に植えこまれている品種ですね。こちらは三種セットで5ソル(200円)でした。


 ペルーも30年前と比べると(比べるのが悪いんだけど)、何もかも高くなったので、こんなふうになんでも10ソル以下の楽しいお買い物は、本当に久しぶりでした!
 しかもどんどんヤパ(おまけ)もつけてくれて、さーすがのペルー人宿六も、1ソルも値切らずに、大人しく支払ってましたわ。
 お姉さんたちは、季節ごとにいろんな植物を持ってくるそうなので、ぜひまた会いに行きたいです。私がものすごく好きなタイプの、アンデス女性らしいかわいさいっぱいな人たちでしたし。



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 うちに帰って、めんどくさくも楽しい植え付け。観葉植物はアンデス産の水ゴケを使うのが、当地の気候には向いている由。
 なおこういうプラスティック鉢、だいきらいですが、うちの中に素焼き鉢など持ち込むと、ぎっくり腰確実なので、やむをえません…
 右奥の銀葉はユーカリで、大鉢に植えて中庭に置きます。良い香りがするので、冬の風邪予防になるかも?



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 観葉植物、調子にのって買いすぎました。置く場所がないかも、とあとで気づきましたが、そうだ、ぜんぜん使ってないバスタブを有効利用しましょう!
 昔から温室というものに憧れていますが、リマでそんなもの作っても、植物を蒸し焼きにするだけだから、叶わぬ夢です。
 かわりに浴室を温室風にするのは、なかなか名案かも知れません。水やりもしやすいですし。



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 ポーチも少し緑化。
 室内の植物は少ししか経験がなく、それも大抵は溺死させて参りましたので、今回は手を出しすぎないように気をつけています。



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 観葉植物があると、猫のかわいさも引き立ちます。
 …そもそもは、初代の猫たちが破壊的で、立派なフェニックスヤシの鉢植えを台無しにされて以来、うちの中には(猫草以外の)緑を置かなくなったのですが、その後はおとなしい猫に当たっているので大丈夫です!



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 庭のほうでは、何度も失敗した紫陽花に再挑戦中です。今までは、単に水やりがぜんぜん足りてなかったのだと、昨年の日本行で悟りましたので…
 当地の場合は、大量のミズゴケを使って植えつけて、そのあとは顔を見るたびに水をかける、くらいにしているとちょうどいいようです。



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 今のところうまく育っていますが、花はみな、みごとなまっピンクに変わってしまいました!(笑)
 やはり地植えにすると、酸性肥料をちょっとやる程度では、とてもおっつかないようですね。
 このピンクも好きなので、このままにしておきますが、次は一株鉢植えにして、肥料で青さを維持できるか実験してみます。



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 夏の終りは、とつぜんサボテンの花が咲くのも楽しみです。
 数年前、ルリン渓谷のお店で買った、エキノプシス種らしきサボテンが、小さな姿と釣り合わない立派なつぼみをつけました。
 (買ってきたばかりの白髪サボテン君と、わりと近い親戚らしい)



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深夜に満開となりました。


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翌朝の花。


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 夕方まで咲いていて、そのあとしぼみました。
 この写真から、秋の澄んだ光をちょっと感じていただけるでしょうか?



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開花の前日


 今夜はたまたまもうひとつ、同種とおぼしきサボテンが美しく咲いています。
 これはホームセンターのSodimacで転がって干からびていたのを、かわいそうになって買ってきました。



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昨晩9時


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昨晩、零時ちょっと前


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つい今さっき、午前2時


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 上のサボテンを買ったホームセンターで、こんなものを見ました。コローナ関連ステッカーの、叩き売りです。
 「入店前に体温を測れ」、「靴底を消毒せよ」、「マスクを使え」、「他者との距離を確保せよ」等々、どれも0.4ソル(約16円)。いやーね、いろいろ思い出しますね…
 「当施設ではコローナ対策のプロトコールを遵守しています」に至っては、0.1ソル(約4円)だそうです。


 いくら値下げしたところで、いまさら買う人、いないよねえ…


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 さいごがそんな話なのもなんなので、アヤクーチョの青空の下、大きく手を振るサボテンたちと一緒に、それではまたごきげんよう〜!



2023年12月21日(木) 午後11時の室温23.0℃ 外気温20.3℃ 晴れ
<またあの厄日が近づいてきたか…>


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このツリー、来年こそ作ろうと
毎年思うけど、作らないなあ。
(Chacarillaのスペインハム屋で)


 私にとっての厄日、クリスマスももうすぐ。あーやだやだ。要するに、「私ひとりでちょっとがんばって料理するだけの日」ですから。
 しかも昨年以来、ペルーはずーーーっとパッとしないらしく、広場や公園、大型店などの飾りつけも、例年以上に貧弱でさみしすぎます。
 そこで気分をすかっとさせるべく、リマで入手可能な範囲内で、ではありますが、できるだけおいしそうなものを探してきました。



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 イベリコハムやテルエルの生ハム。チャコリ酒で洗って熟成させたチーズ。
 テティーリャ・チーズの燻製。イベリコ豚のチョリソー、ベーコンなどなど。よしよし、思ったよりは見つかりました。
 ワインも少し仕入れましたが…



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 …宿六が、「これじゃ年明けまでもつはずがない!」と、ひどく心配します。いつでも買い足せるのですけどね、そういうところにだけ、ロックダウンのトラウマが残ったようですね。
 それで、またリマ市内まで買い出しに行きましたが、これぜんぶ年明けまでに飲み干すの?…
 ペルーは不況のわりに、いえ不況だからこそ?お酒はよく売れているようで、売り場もクリスマス前らしく賑わっていて、なんとなくほっとしました。


 箱根のホテルで出た、Diving Into Hampton Waterなる妙な名のワインを、スーパーWongのバーゲンで見つけたのも、ちょっと嬉しかったです。珊瑚色がかったきれいなロゼですが、それより壜が欲しかったので!
 かわいいガラス栓で、壜底のデザインもいい感じなので、飲んだあとはミネラルウォーターを冷やすのに使おうかと思います。



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「私にも早めのクリスマスありがとう!」
プレゼントのボールを
ぎゅっと抱きしめるハスミニ猫


 また、夏においしいガルナチャぶどうのスペインワインも、けっこうリマで見かけるようになって嬉しいです。
 買ってきたEl Circo と La Maldita はお手頃価格でおいしいです。揃いも揃って、なんかカンにさわるラベルですけど…


 「小さな家」のクリスマス会は、今年は早めに済ませました。もし24日を生き延びたら後日ご報告しますね、いつものように、みんなの笑顔がとても良かったので。
 私たちは24日は、豪華超手抜き料理で昼からたっぷり飲んで、うちからは一歩も出ずにゆっくり過ごします。リマじゃ年末年始は、まったくそれに限りますわ。



2023年10月30日(月) 午後8時半の室温23.8℃ 外気温20.6℃ 快晴のち曇り
<粘土の沼 Eクイ化けて出る>


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クイのガイコちゃん御一行


 今年もハロウィン用のミニおばけを、樹脂粘土で増産しました。いまの気分は、やっぱりクイ!(モルモット)ですね。


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黒い鼻づらがかわいい
カリフォルニア種のクイ




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パーティ支度をすませた
マンタロ種のクイ




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わりとかわいく出来たかな?



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カボチャから顔を出すクイと…


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…付き添いの銀杏のおばけ。
枯れ葉のおばけはシリーズ化したいな。



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 きのう、ニスが乾くとすぐに「クルスパタ」にもっていきました。
 今年の新顔さんは、上のほうに飾ります。百合子ちゃんたち、いつ気づくかな?



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 ハロウィンの粘土遊びも三年目、けっこう賑やかになりました。
 クリスマスもじきですが(やれやれ…)、今年はどうしようか迷っています。「ヤコのオーブン陶土」で、素朴な感じの聖家族を作ろうかな?



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 きのうはとてもきれいな晩でした。月の上のほうで輝いているのは木星です。左にはおひつじ座もうっすら見えています。


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 でもほんの5分後には、アンデス側から雲が寄せてきて、木星もおひつじも飲み込まれてしまいました。
 ジャスミンの気絶しそうな強香を楽しみながら、みるみる広がる雲を、しばらくひとりで眺めておりました。良い晩でした。



2023年10月24日(火) 午後5時の室温23.7℃ 外気温20.3℃ 霧雨
<南米の春の猛暑…?それどの南米??>


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この10月は霧雨がよく降っています


 先日、「春到来の南半球で猛暑」とか、「南米に春の猛暑、各地で40℃超えを記録」といった、非常におおざっぱな記事を読みました。
 広大な南半球や南米を軽くひとくくりにするとは、大胆不敵ですねえ。


 記事中には「ペルーでは40℃を記録」との記述もあって、いったいどこの話?!と驚きましたが、よく読むと東のブラジル国境近くのことのようでした…
 ペルーと言っても広うござんす。日本の3.4倍くらいあるものね。



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暖冬のため、昨夏からずっと無休で
咲いているジャスミン


 ありがたいことにパチャカマックでは、この冬から春にかけては、寒くも暑くもない過ごしやすいお天気が続いています。ということは多分、リマ市内もほぼ同じと思います。

 ラ・ニーニャ現象下の昨冬と比べると、だいたい3℃ほど高いので、確かに暖冬ではありました。それでも最低19℃、最高23℃あたりですから、ごく快適です。
 また小雨がよく降るのも大助かりです。初冬5月まで続いた残暑でいためつけられた庭の花々も、冬のあいだにほとんどが回復してくれました。



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 10月もじきにおしまい。もっと初夏めいてもおかしくない季節ですが、今朝もまた霧雨でした。
 リマの霧雨のとびきりの細かさは、朝早くバラの花びらを見るとよくわかります。
 太陽が顔を出さないと、午後までこのままだったりします。



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 アンデス地方は早々と本格的な雨季に入ったようです。
 そしてなんと!ルリン川にはもう水が戻ってきました。例年なら、早くても12月中なのですが。
 今までに経験のない組み合わせの異常気象で、まあ不気味っちゃあ不気味ですけれど、でも水だけは、ないよりはあるほうがありがたいです。



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 昨夏、ほぼ全滅…とがっかりしていた畑のケールも、引っこ抜かなくてよかったです、この冬の雨でみな生き返りました。
 今は隙間に、新しい苗を植え付けているところ。



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 尾の長いオアシスハチドリは、例年よりだいぶ早く戻ってきました。
 桜も今年は困惑気味のようです。いつもは8月9月に咲き終りますが、今年は疑わしそうに大いに迷いながら、ぽつりぽつりと咲かせていくので、いまだに少し花が咲き残っています。



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 まあそんな異常気象下でも、それなりに初夏らしくはなってきています。このところ数日おきに、パーッと青空が広がります。


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 でも数時間で曇ってしまうので、そういう日は猫たちは大急ぎで日向ぼっこ。


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 日々そんな感じでして、今のところは穏やかな気候を楽しんでおります。
 でもおそるべき「エル・ニーニョの夏」が近づいているのは、ほぼまちがいありません。特に近年のエル・ニーニョは、そのときにならないと、どう出るかわからないのがちょっとこわいですね。
 そこで涼しかった8月のあいだに、井戸の掘り直しをしておきました。前回のエル・ニーニョのときは、水不足でえっらい苦労をしましたので。


 井戸は13メートルありますが、このところ水深は1メートルしかありませんでした。
 幸いフランクリン君紹介の井戸掘り職人が、とても仕事の早い人で、一気に4メートル分掘り足してもらった結果、水深も4メートルに達しました。
 これだけあれば庭全体を一気に、でもゆったりと、二時間ほどで水まきできます。毎日水まきしているベンハー君も、休日担当の私たちも、とても楽になりました。



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 …しかし、井戸の掘り直し中に吸い出された土砂のせいで、前庭の芝は今まで以上にいたんでしまい…
 2016年と17年の厳しいエル・ニーニョや、永吉君の長期怠慢(笑)、更にはアルパカ過放牧も乗り越えて、10年ももってくれた芝ですから、そろそろ寿命なのはしかたないですね。
 これまたフランクリン君に依頼して、いま前庭の芝の植え替え中です。


 以前ベンハー君が小規模に植え替えをしたときは、直後にアルパカたちが食い散らしてしまうので、あまりうまく定着しませんでした。
 そこで今回は一工夫。こうして柵で庭を半分に仕切って、アルパカが前庭に入れないようにしてから作業を進めます。
 そして芝を植えたあとも、少なくとも二週間はアルパカたちを遠ざけておき、そのあいだに芝をしっかり根付かせよう、という作戦です。



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 家の左手、反対側のほうも、こうやって閉めました。
 ふしぎですが木柵がある眺めって、妙に落ち着きますね。なのでもしこの作戦がうまくいったら、柵を固定してしまい、今後たとえば10日ごとにアルパカたちを引越しさせると、芝ぜんたいの持ちもよくなるかもしれません。
 今はアルパカが(特にチャスカが)、芝はあるだけ食べ続けに食べて、根元ぎりぎりまで齧ってしまうので、芝としては新しい芽を吹くひまもないのですよね。



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 アルパカたちのおうちは狭くなってしまうけど、しばらくがまんしてもらいましょう。


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 ただいま作業中の前庭。
 水不足と過放牧の相乗効果で、カチカチになってしまった土を、まずよくほぐします。それから、うしろに積み上げてあるアセリン(おがくず)を混ぜてから、芝を植えます。
 これはちょっとばかしオオゴトなので、今回はベンハー君に任せず、フランクリン君に依頼して良かったです。


 この前庭の芝がよく根を張ったあとで、再びアルパカたちを入れてやる日が楽しみです。
 そのあとは、しばらく前庭にアルパカを閉じ込めておき、そのすきに裏庭の芝の手入れをしようかと考えています。



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「芝がないなら、
リンゴを食べればいいじゃない?」
(コヤチャ姫)


 ただ普通の芝(アメリカングラス)では、必ずいつかまた食い尽くされてしまうのは、よくわかっています。
 そこでもっと放牧向きの丈夫な芝や、かんたんに栽培できそうな飼い葉なども、タネや苗を手に入れていろいろ実験中です。
 こういう庭や動物をめぐる新工夫ほど楽しいことって、ちょっとほかにはないな。


 いまは足りない芝を、飼料店で買ってくる乾燥アルファルファで補っています。
 でも将来的には、できるだけ自給自足できる方向にもっていきたいです。ベンハー君のところのクイたちもまた、すんごい大グイとわかりましたし…
 このあたりのお話はまた追々、アルパカページでご報告いたします。



2023年8月29日(火) 真夜中すぎの室温23.5℃ 外気温20.4℃ 晴れのち曇り
パチャカマック再発見!番外編
<わが家の不動産関連 黒歴史その1>


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 2002年ごろのこと。パンアメリカン道のルリン近くに、ある海辺のコンドミニアムの大看板が掲げられていました。
 当時私は、リマ市内のアパート暮らし。年明けに結婚を控えており、それなりにハイになっていたのか、みすみす買ってしまったのがここの分譲地でした。


 (久しぶりにこの看板をみて、わるいけど子供たちの写真がかわいくなさすぎて、驚いています。
 みなミニトランプじみた表情で、見ただけで買う気が失せます。おそらく、オーナー関係者のご子息だったのでしょうね…)



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 2002年のコンドミニアム内の様子です。
 いかにもいかにも…なデザインのクラブハウス。米国風というのが売りでした。
 当時は、リマらしく騒々しいアパートにうんざりしてましたので、ここはとても広々と感じよく見えました。



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 家は、米国製のモジュールハウス数種の中から、好きなのを選んで建てることになっていました。こういうパステルカラーは、リマの気候によく合っていますね。

 このコンドミニアムの良いところは、パンアメリカン道からじかにすっと入れて、しかも海に面していること。海辺のコンドミニアムは無数にあっても、主要道から遠いところが多いですから。
 かつて津波で消滅した、Quilcayという集落の跡地らしいのは、ちょっと気になるところですが、今は車ですぐアンデス方面へ逃げられるので、取り越し苦労するほどのことはなさそうです。



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 そして視線の先には、パチャカマックのクジラ島がゆったりと横たわっており、広い敷地を海風がすーっと吹きわたります。
 このへんで完全にグラっときてしまいました。


 もともとこのあたりは湿地なので、よぶんな水を利用して池も作られていました。
 その後、この池は渡り鳥の休憩地点になっているようです。



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 Google Mapで拾った近年の写真を見ると、コンドミニアム内のヤシの木、大きくなりましたねー!
 上の写真から、もう20年が経過したので、あたりまえではありますが。



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 池のまわりも、きれいに保たれているようです。なんか人がころがってるけど。
 2002年当時、「モジュラーハウスは3、40年はもちます」と聞かされ、少なからず疑っていましたが、たしかに今のところ大丈夫みたい。
 たぶん日本だとまた違うと思いますが、このへんは気候も穏やかですしね。



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 こちらも約20年前の写真。(これたしか、kotetsuさんと行ったときのスナップ!)
 コンドミニアムが面するサン・ペドロ浜は、当時は今よりレストランが少なく、もっと静かでひなびた良さが残っていました。
 クジラ島(パチャカマック島)がちょうどいいところに浮かんでいるので、夕焼けもとても引き立って見えます。それは今も変わりません。



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 またあのころは、すぐ沖によくイルカが来ていました。


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 そして勢いで買ってしまったのが、この分譲地。コンドミニアムのいちばんすみっこ、浜への出入り口からすぐの区画です。
 砂浜の前の緑地には、先々アパートが数棟建つ予定でした(結局一棟のみでほかは実現せず)。でもこの区画だけは、将来も海の眺めが妨げられない、ということで選びました。


 コンドミニアムのオーナー経営者は、ペルーの某テレビ局創設者のひとり、いろんな意味で超有名だったG.D.P.氏の娘、ミズD.C.でした。
 もし今だったら、お父さんの名を聞いただけで裸足で逃げ出しますが、あのころは「大きな会社関係者ならむしろ安心だろう」くらいの認識しかありませんでした。
 私もまだ38歳とうら若く(59歳から見ると38歳はひよっこなの)、「ペルーでは大会社であればあるほど疑ってかかれ」という鉄則を知らなかったのです。


 ただ購入を決めたあと、そのミズD.C.といっしょに手続きに行ったとき、非常に変な印象を受けたのは、はっきりと覚えています。
 手続きのあいだじゅうミズD.C.が、自分の先祖伝来の苗字が、いかに古くて由緒正しい名家のものであるか、という自慢話ばかりしていたからです。


 (ほんとに由緒正しい名家だったら、ご先祖わざわざペルーまでは、流れて来なかったんじゃないかな…
 それに苗字の古さだけで威張っていいなら、私のだって相当のもんよ…もっとも、飛鳥時代の香り高いkotetsuさんの苗字には、まったくかないませんが!)


 「もしかして、なんか変な人と関りができちゃったかも…」感は、そのときすでにありましたが、それでもここを買ってすぐはとても嬉しかったです。人生初の土地購入でしたし。
 「ペルーに来て苦節7年、私もとうとう、ペルー海岸線の一部を占めるに至ったか」みたいな気分でした(プライべートビーチではないので、厳密には違いますけど、それくらい良い気分でした)
 そして、「今までは大変だったけど、きっとこれをきっかけに、私の人生ぜんぶうまくいくはず!」と無邪気に信じていました。とーんでもなかったわけですけどね!


 そしてほどなく、この土地は悪夢に変わりました。
 お金がないので、一年ほど家を建てずにいたところ、ミズD.C.から執拗に内容証明郵便が届くようになったのです。
 「一年以内にわが社提供のモジュラーハウスを建てない場合は、契約違反とみなされ、従ってあなたの土地所有権を剥奪せざるをえません!」等々、むちゃくちゃな内容でした。
 (要はモジュラーハウスの建築費に、だいぶうまみがあったのでしょう。それで脅してでも早く建てさせたかったのだと思います)


 もちろん所有権は、いくらペルーでも(笑)絶対ですから、こんなばかな話はありません。
 それでもこんないやがらせを、延々と受けつづけると、当然ながらコンドミニアムへの愛着も、だんだんと冷めていってしまいます。


 さらには、次なる災難も起きました。
 当時宿六が、若気の至りで誠心誠意勤めていた(ハハハ…ほんと若くてバカだったよね)、今はなき日商岩井ペルーから、とつぜんクビを切られたのですね。



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2002年、私たちが引っ掛かったころの
コンドミニアム


 (それは、「しなくて済めばそのほうが良かったよね」という種類の経験ではありましたが、今から思うとけっこう夢中になれる事態で、おもしろかったです。
 こういう人災(ほんとは自分で引き起こしている災難)に遭うたびに、自分とまわりの人々の本音が、手に取るようにはっきり見えるようになりますし)


 で宿六はその後すぐまた、凝りもせず!日系企業に再就職しましたが、さいしょの月給は、リマのアパートに毎月払うローン月額以下でした!ギャー!
 かような緊急事態下では、不要なもの…つまりコンドミニアムの土地を売り払い、アパートのローンを早期完済するより良い方法は思い当たりません。というか、ローン残ってるのにほかの不動産に手をだしちゃだめでしょ、という話なんですが。
 (なおこの愉快きわまりない経験から、わが家は借金ローン絶対禁止となりました。一回払いのクレジットカード利用のみOK、としております)


 また折よく、というか何というか、ミズD.C.から「ちょうど購入希望者がいるので、売値でだったら土地を買い取ります」と言ってよこしました。
 …うーんこれは、非白人系夫妻の私たちを、どうにかして追い出したかったのでは?という詮索も可能かもしれませんね。
 異国暮らしも長くなると、その手の被害者意識も消えるので、今さらどうでもいいことですが、確かに当時はまだまだ、白人系ペルー人による人種差別的言動が、何かと目につくことが多かったですし。


 さてそのミズD.C.提示の買い取り条件は、とても胡散臭いものでした。所有権は即時ミズD.C.に移るのに、支払いのほうはやたらと細分化された分割払いが希望、とのことでした。
 でもそれでは、支払わずにドロンするに決まってますので、完済まではうちが抵当権を保持する、という条件を宿六が付け足しました。


 その後ミズD.C.は、はじめのうちこそちゃんと払っていましたが、だんだんと手持ちのお金がないのなんのと、下手な理由をつけては遅らせるようになりました。
 もともと土地代金は、ちょっといい自動車程度。その分割払いですから、一回分はわずかな金額です。
 それを恥ずかしげもなく出し渋るとは、さすがあの父にしてあの……(以下略)


 そしてこれはもう、むしろこっちが恥ずかしくなるようなオチなのですが…
 さいごのさいごに残った、たった数十万円相当の残金は、とうとうミズD.C.、踏み倒して逃げ切ったのですよ!
 さすが名家の末裔の資産家は、なさることが違う!と、私たちもたいへん深く感銘を受けた次第です。どうせならもっと大きな額を踏み倒されたほうが、まだ同じ人間として気分良かったかも。


 しかし同時に、資産家といっても、こんなみみっちい詐取にまで手を染めて、意外にこまめに稼いでいるのねーと、妙に感心もしたりして。
 それに、かの〇名高きD.P.一族のひとりに、数十万円だましとられたというショボい経験は、むしろ先々の自慢話?になるかも、なんて思ったり(笑)



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2013年の同コンドミニアム。
10年あまり、全く建築が進んでいません。

 右端にある私たちの元所有地が、周囲にはぺんぺん草も生えないように呪いを振りまいている…かのように、なんか見えなくもないですね……

 あまりにもバカみたいな経験でしたので(ミズD.C.も恥知らずだけど、私たちもいろいろとバカ過ぎ)、長いこと「サン・ペドロ浜 某重大事件」は、わが家では黒歴史として物置きに放り込まれておりました。
 ところが7年ほど前、とつぜん知らない弁護士から連絡があり、思い出すことになりました。
 かつて私たちが持っていた土地を、抵当つきのまま買ってしまった人が、いたんですわね…あらららら…


 おそらくその新しい所有者は、いかにもペルー人らしく、土地を担保に借金して家を建てるつもりだったのでしょう。
 ところがびっくり、古い抵当が十数年放置され、利子が積もり積もって数百万円くらいになっていた…というわけです。(なぜ購入前に気づかなかったのかは、謎です)


 その弁護士氏、もみ手をしながら(電話だったので、これはあくまでイメージです)何を言うかと思ったら…
 「抵当権をはずすための金額が、ちょっと予想外に多かったものですから…
 いかがでしょう、ここは双方が得をする 『te'rmino medio』 で話をつけてもらえませんか?」ですと。


 私はこの、人々が自分に都合がいいとき限定でやたらと使う、「te'rmino medio」という表現が大きらいです。
 ステーキの焼き加減の「ミディアム」の意のほうはいいんですが、この場合、正確に訳すと、
 「できるだけ安く、三分の一か半分くらいの金額で、手を打ってもらえませんかねえ?あなただってきっと現金がご必要でしょう?へっへっへ…」
 ということです。
 少々の現金をちらつかせ、それで大半の借金をごまかそうという、ほんとうに小狡い発想です。


 こちらとしては、今さら何も急いでませんから(というか存在すら忘れかけていた抵当権ですから)お断りしたところ、弁護士氏かなりあわてていましたけれど、私の知ったこっちゃありません。
 まあ冷静に考えれば、この先戻ってくるとは限らないお金なので、半分だけもらって旅費にしても良かったかも…とも思いますが、やはり私はそういうすじの通らない話は、気色わるくてダメです。


 またその数年後には、別人と思われる所有者からまた連絡がありました。よく次々とだまされるなあと、変なところに感心。
 そちらはもっと図々しくて、なんと「タダで抵当はずしてくれ」とのことでした。縁もゆかりもない人の、そんな要求に応じる理由もないので、お断りしました。
 どうも不動産絡みでは、いろいろと妙なお方が出てきますね…


 その後も私は、たまーにこのコンドミニアムのことを思い出すと、ちょっと意地悪い気分になって、GoogleEarthでチェックしたりしています…(元カレSNSチェックに近い心理か??)
 問題の土地は、今も更地のままで、ときどき塩生植物が生えたり枯れたりしているだけのようです…なにやら寂しいですね…



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2023年の同コンドミニアム。
再開発の兆しが見えるような気も?


 (過去に迷いに迷った末、抵当や抵当や抵当の問題で買わなかった海辺の土地が、ほかにも三箇所ありますが、どこも今なお更地なんですよね。
 いえいえ、私が「売れない呪い」をかけてまわってるんじゃないですよ、きっと持ち主が、ずっと頑固に抵当を抹消していないのでしょう)


 それにしてもサン・ペドロ浜の分譲地は、海にすぐ出られる良い位置だったので、もしあのころ私たちががんばって家を建てていたら、釣られて周囲にもパタパタパタっと家ができ、違う風景になっていたかもしれませんね。
 (ペルーの人はレストランでも、日本人とは違って、だれかが座ってる席の近くに来たがりますもんね)
 当時の私は、心の底から海の家を夢見て、モジュラーハウスの改装案を練りあげたりしてましたので、きっとパラレルワールドではめでたくその家が完成していると思います。


 そして2023年現在は、上のような状態です。
 2003年以降、向かって左手にはだいぶ家が建ちました。そういえばかのミズD.C.も、このへんにじぶんの別荘建てるって言ってましたね…
 しかしちょうどそのころ、もっと南の海辺(特にリマから100qのアシア地区)が大ブームとなり、このコンドミニアムはすっかり影が薄くなってしまいました。
 また2016年には、となりに大きなアウトレットモールができ、それで何か変わるかと思いましたが、結局動きなし。


 ところが昨年2022年ごろから、急に内部の道の整備にとりかかったらしく、またぽつぽつと新い家も建ち始めたようです。
 ロックダウンの苦い経験から、リマ市内から至近、かつ近所に大きなスーパーマーケットもできたこのコンドミニアムが、万一の場合の住まいとして使えるかも?と、再評価されているのかもしれません。


 ただ、かつてのモジュラ―ハウスはもう品切れなのでしょう、今では持ち主それぞれが、煉瓦とセメントで勝手に…いえ自由に家を建てているようです。
 また転売が繰り返されるうちに、コンドミニアム内規はどこかに置き忘れられたとみえ、分譲地を更に細かく切り売りする人まで出てきました。
 そういうのはペルーのコンドミニアムのこわいところですね。内規を守らない住民が多いと、コンドミニアムの雰囲気がどんどん劣化してしまいます。


 でもとにかく地の利はいいので、うちの抵当権もそのうち日の目を見るかもしれませんが、そうならない可能性のほうが高そうですね。
 抵当がついたまま放置しても、転売の予定さえなければ、大した問題じゃないですし。


 ただ所有者が土地を担保にしたいときは、前の抵当を抹消しない限り、銀行は決してうんといいません。
 なのでそのうち、ある日突然、どこからかふと小切手が届く日が、決して来ないとは言い切れません。まあうっすらとした、かすかーーな老後の楽しみとしておきましょうか?


 ともかくそんなわけで、このコンドミニアムのあの分譲地には、要注意ですぞ。
 過去の私たちの亡霊みたいなものが、今もくっついてるようですので。
 私たちには憑りついてる自覚、ないんですけどね、フフフフフ…



2023年8月22日(火) 午後5時半の室温22.0℃ 外気温20.9℃ とことん曇り
<百合子ちゃんアメリカミヤコドリになる>


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ブ浜(Playa Bujama)はいつ来ても
気持ちが晴ればれとします!


 寒すぎない曇り日と、涼しい快晴日が、その後も数日ごとに巡ってきています。

 ベンハー君は先週末まで、12日間のお休みを取っていました。
 出不精もいよいよ徹底してきて、今年はとうとう故郷のアプリマックにも戻らず、ず〜っと家でごろごろしていましたね。
 休暇中もうちにいてくれるのは、私たちには好都合ですが、娘の百合子ちゃんはかわいそうです。前の夏も、結局またどこにも連れてってもらわなかったようですし。


 そこで、きれいに晴れた先週末、百合子ちゃんとお父さんをドライブに連れ出しました。
 ゼラニウム母さんは、一歳半のマグノリアちゃんと留守番です。マグノリアちゃん、いっしょに出かけたくて絶叫していて、ちょっとかわいそうでしたが…
 でもどんなに良い子でも、狭い車内で幼児といっしょでは、全員が休まらないので(笑)仕方ありません。そういうあたり、ベンハー君もゼラニウム母さんもよくわかっていて、ささっと気をきかせるので助かります。



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 ブ浜に行く前に、チルカでルクマアイスクリームに変身した父子。
 留守番のゼラニウムちゃんへのお土産に、ここでアヤクーチョ式の竈焼きパン(チャプラ)もたっぷり仕入れました。


 コローナ騒ぎ以降、リマとその周辺の飲食店事情、ざんねんながら最悪です。
 うちは外食の習慣はほとんどありませんでしたが、それでもたまに行っていた数軒の店は、どこも大幅値上げの上に質と量がひどいことになり、もう二度と入る気になれません。


 でもこのアイスクリーム店は、昔と味がかわらずほっとしました。
 なおチルカ周辺には、無数のアイスクリーム店がありますが、食べて大丈夫なのはこの「OVNI」(*)だけです。OVNIを猿まねしてできた「ET」(笑)その他の店は、味がひたすらケミカルです。


 (*)OVNIは未確認飛行物体の意。チルカは昔からよく「出る」ので有名です。そういえば園芸店のフランクリン君も、不思議な光を見たと言ってましたね)


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 ブ浜に着くと、遠くのほうで水遊びをしている人たちがいます。
 今日の上天気に釣られたのでしょうが、寒くないのかな。


 それにしても以前は、こういう「ちょっとひんやりする冬の快晴日」って、リマ周辺には存在しなかったですよね!
 いまは地球が、人類の意識の発達に合わせて調整中らしく、上にのってるわれわれはたいへんですが、でもこういう変化の時期はたいへん興味深くもあります。
 短絡的な結論にはとびつかず、落ち着いてまずはじっくり眺めようと思います。



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 同じブ浜でも、北寄りのコンドミニアムが並んだあたりは、まったく人がいません。
 冬はいつもこんな感じにガランとしています。



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 渡り鳥の季節にはまだ早いので、この日は海鳥も少なく、かわいいアメリカミヤコドリの夫婦がのんびり散策しているだけでした。


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 私たちと同じに、大の人ごみ嫌いのベンハー君、「リマ近くに、誰もいないこんなきれいな浜があるんですね!」と大喜び。
 せっせと娘をモデルに写真を撮りますが、百合子ちゃんのほうは、ちっとも早く貝殻探しを始めたい様子です。(百合子ちゃん、また背が伸びたねえ)



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百合子ちゃん
「貝殻、貝殻、きれいな貝殻…」



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アメリカミヤコドリ
「ムイムイ、ムイムイ、おいしいムイムイ…」



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百合子ちゃん
「あった、貝殻!」



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アメリカミヤコドリ
「あった、ムイムイ!」



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コルドバのMedina Azaharaの、
名高い「水銀で満たした水盤」は、
往時こんなふうに輝いていたのかな?


 美しい銀色の海を前にこんな話もなんですが、いまわがつれあいの一族は元気にいろいろモメてるそうです。なんでも相続をめぐってのデスマッチを、はらからどもが始めようとしているらしく…
 私はありがたいことに無関係、宿六も傍観者でありたいと切に願っていますが、四方からききぐるしいことを聞かされうんざりなので、そういうときは海辺で深呼吸するのがいちばんですね!
 30代から失敗しつづけの「海の家」計画も、そろそろ今年は動かしたいです。


 他家のゴタゴタについては、うっかりしたことを書きますと、翻訳ソフトで読んで誤解して怒り出しそうなお方もいたりしますので(便利だけど厄介な時代になったなあ!)、さわりだけに留めますが。って、結局書くのか私は。

 宿六は実家を出たあと、親元には問題も心配事も一切持ち込んだことがなく(かわりに私に持ち込んでおった…)、そのぶん親たちとは自然と疎遠になり、遺産もまた形ばかり、いちばん少なく受け取ることで同意しています。
 なので、みながより多く取ろうとしている争いごとに、巻き込まれるいわれはハナからないんですけどねえ。多くもらった同士だけで、どうぞ心ゆくまでデスマッチしてよ?と私は言いたい。


 でもはらからの中にひとり、存命の片親含む一家全員にケンカ売ったお方がいらっしゃるため、やむなくつきあわされています。
 まあこちらには落ち度ゼロなので、内容証明の数通で片付くかとは思いますが、こういう空しい手続きは、はたで見ているだけでもアホらしくてめんどくさいです。
 まったく、大したことない遺産で争っても、弁護士が儲かるだけなのに…



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 不動産とかお金とかを目の前にすると、昔とはぜんぜん違うことを言い始めたり、性格もガラっと変わってしまう人が、この世にはけっこう多いみたいで、驚かされることが多い今日このごろです。いやあ海はいいですね本当に!

 特に、こういうひとけのない浜などへ行きますと、地球もけっこうわるくないなと思います。
 日本からペルーに移住して、いちばん良かったのは、そこんとこかもしれません。
 ペルーでなら、場所と時期さえ選べば、いくらでも人がいないところが見つかりますから!


 この日は、さいごに果樹園の多いMala地区で、マグノリアちゃんの好物のおみかんをたくさん買って帰りました(それでごきげん直ったそうです)。
 とっぷりと暮れた帰路は、ベンハー君が運転したので、宿六もらくができて、全員心楽しい良い午後でした。
 百合子ちゃんはほんっとうに物静かな良い子で、出かけない両親によくつきあって、いつも家で大人しくしているので、たまには連れ出してあげたいです。


 私はつねづね自分のことを、世界有数の出不精と思っていましたが、ベンハー夫妻にはもう完敗ですわ。


2023年8月15日(火) 正午の室温23.0℃ 外気温21.7℃ 曇り
パチャカマック再発見!
<物件散歩そのC ルリン川沿いのコンドミニアム>


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 「アルパカ放牧?地」探しのため、今度はルリン川沿いのコンドミニアムを覗いてきました。
 コンドミニアムはちょっと違うか?と思いつつ、でもうちみたいな一軒家より、はるかに安心なのはまちがいありません。
 意外にアルパカ放牧地にも使えるかもしれません。


 写真のコンドミニアムは、10年ほど前から宣伝していますが、売れ残りの区画がまだいくつもあるようです。
 そこはやや不安ですが、GoogleEarthで見る限り、完成した別荘や並木はきれいに維持されているので、そんなに管理はわるくないのかもしれません。
 なによりもうちからは車で10分圏内、とにかく近いのでまずは行ってみましょう。



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 運営会社に電話して、中に入れてもらいます。すると、あれっと思うほど「普通の閑静な住宅街」が広がっています。
 リマ市内のちょっといい住宅地から、車の喧騒とゴミを取り除いたらこうなる、といった感じで、思ったよりずっと良い雰囲気です。


 こういうコンドミニアムの壁の内側に、さらに壁に囲まれた庭を作ったとしたら、そこにアルパカを放してうちに帰っても大丈夫そう…な気はします。
 ただ、あまりに普通のきれいな住宅地すぎるのが、私の好みには合いません。


 まるでパチャカマックらしさがなくて(そこがいいのかもしれないけど)、また近くのルリン川の気配も感じられず(そこがいいのかもしれないけど)、個性には欠けています(そこがいいのかもしれないけど)。


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 親切な管理人さんに、あちこち案内してもらいました。
 このへんは空き地が広がっていますが、管理人さんの話ではまだ家が建っていないだけで、売れ残りの区画は意外に少ないとか。まあ投資で買う人も多いですしね。
 2500平方メートルの大きめな土地が大半で、正規の価格は1平米あたり190ドルだったかな?パチャカマックの今の相場を考えると、ずいぶん高いですね。


 ただコンドミニアムで物件を探すときは、運営会社と話すよりも、現場を熟知している管理人さんからいろいろ聞き出すに限ります。格安に転売したがっているオーナーが、必ずいますので。
 ここでも別荘の建物付きで、とにかく早く安く売りたがっている人がいる、とのことでした。



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 それにしても、10年以上たったコンドミニアムにしては、空き地ばかりですが、運営会社の経営のほうは大丈夫なんでしょうか?大きなお世話だけど…

 でもなんと、隣接する広大な敷地の分譲が来年には始まるそうで、ということは見た目スカスカな割にはうまくいっているのですね。
 この二期目の分譲は、だいたい1000uくらいの「小さな土地」になるそうです。



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 こちらが未来の第二期分譲地。広いなあ。
 まだ地ならししただけの状態ですが、分譲地の大きさが手ごろなので、けっこう早く、たぶん4、5年でそれなりの街に化けそうです。
 リマ市内のモリーナ地区やチョリージョス地区のように、何もない荒れ地が、あっというまにいっぱしの住宅街に変わるようすは、過去にあちこちで見てきましたので。


 ここはもちろん書類等はバッチリ、川が近いぶん井戸水も豊富で、土の質も良さそうです。
 また、月々の管理費も今のところゼロで、街灯などの費用は運営会社が負担しているとのこと。
 リマから近くて静かで安全な場所に別荘を建てて、菜園や果樹園を作りたい、という人にはなかなか良さそうです。ただ夏場の蚊は多いでしょうね。



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 コンドミニアム内のこのお宅では、改装工事中なのか、大量の砂が運び込まれ…そうになってましたが、無理でした。
 いくらなんでも盛り上げすぎ。でもこれって、リマでは年中みかける光景です。
 欲張って一度に大量に運ぼうとするから、トラックもすぐいたむんですよね。


 おもしろがって眺めていたら、運転手さん、じきに諦めて帰ってしまいました。どこかで減らして戻ってくるつもりでしょうか。
 いかにもそのへんでテキトーに捨ててきそうで、こわいです。
 とつぜん家の前に砂山が捨ててあったら、困るでしょうねえ…でもペルーではそういうことが起こりがちです…



<物件散歩そのD ユーカリ林のある家>



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 パチャカマックの、まだ畑の多いカシーカ地区に、ずっと気になっている別荘があります。
 不動産会社の広告に詳しく紹介されていて、それがいい感じなので何度も眺めていましたが、価格はちょっと手の出ない数字でした。
 わが家は借金厳禁(私が決めた法律)、ローンを組むという選択肢はありませんから、そこで終了です。


 ところが…です。困ったことにその別荘、ここ数か月でじわじわ値下がりしていき、とうとう「私の貯金をはたけば何とかなる」ところまで来てしまいました。
 仕方がないので見てきます。



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 その別荘は、友人同士で作ったという、数軒だけの小さなコンドミニアム内にあります。
 門を入ると、それぞれのおうちは生け垣で仕切られています。うーん生け垣はちょっとまずいかも…アルパカが食っちゃうので…



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 その生け垣の内側は、こうなっています。あらかわいい!
 オーナーさん一家は、来年「某先進国」への移住が決まったため、それで惜しみながらも売却することにしたそうです。
 この日も家族全員で滞在中でした。



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 ロックダウンのあいだは、この前庭で野菜など作って楽しく過ごしたそうです。
 家の中も見せてもらいましたが、築十年ほどらしく、きれいに維持されています。
 なおこの家屋は未登記なので、価格には含まれていません。つまり土地代だけで、家はおまけでタダでついてくる、ということです。


 転売目的で買うのでなければ、これはそんなにわるくないお話です。
 (パチャカマックでもかなりはずれの、目立たないところにあるので、役所がチェックに来る可能性はほぼゼロですし)
 しかも土地代は、1平米あたり120ドルを切っていて、このへんでは破格といっていいかと思います。



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 裏庭も広く、敷地はぜんぶで2000平方メートル。
 ほんとは「候補リストから削除するために」見に来たのですが、これはちょっとすぐには削除できないなあ…


 (以下妄想)…もし思い切って買ったら、私の貯金はゼロになります。でもここなら初期投資なしに、即刻アルパカたちを連れて来れます。
 井戸も電気も現に使用中なので、あとは家具だけ少し置けば、とりあえずベンハー君が泊まり込むこともできます。


 (ベンハー君一家は超出不精のくせして、今回の「アルパカ放牧地探し」の話には、ものすごく乗り気でやたらと楽しみにしています。
 いずれ場所が決まったら、週末ごとに一家でそこに泊まり込み、アルパカを放牧?しながらのんびり過ごしたい…のだそうで、いやー根っからのアンデスびとですね!いまどきちょっと珍しい貴重な人材です)


 でも本当のところ、私がいちばん惹かれたのは、庭の立派なユーカリの木々でした(右の写真をご覧ください)。
 ざっと15本ほどあったでしょうか、このちょっとしたユーカリ林のおかげで、ここがとてもアンデス風に見えるのです。


 (以下妄想)…いずれ家の二階を増築して、斜めの屋根をかけて、プカラの牛かアンダワイラスの十字架でも飾ったら、とても似合いそうです。
 また周囲は畑が多く、しんとしているので、ますますもって「クスコの聖なる谷」の別荘風に作りこめそうです。
 わが家から車で15分で、アンデスまで行った気分になれる家。困ったな、ぜんぜんわるくないな…



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 そんなわけで、とても心が動いていたのですが、仲介の不動産会社がひどすぎて、これより先に進めませんでした。
 その仲介会社、見学前からもう嘘をついていたのですよね。
 抵当権がついていないことを、何度も確認してから訪問したのに、実は抵当付きということが、オーナーさんの説明で判明。


 それでもまだ諦めきれず、抵当の状況など詳しいところを、仲介会社の弁護士から聞くことになり、約束の日時に連絡をとったのですが、
 「いま忙しいので、あとでかけなおしてください」と、ひとことの謝罪もなく電話を切られました。もちろんかけなおしませんでした。


 その翌日には、更に驚くべき要求をつきつけてきました。
 「こちらの時間が無駄にならないように、詳しい説明をする前にまず2000ドル振り込んでください」
 「それってオーナーからの要求ですか?前金ということですか?」
 「いえ違います、私たち仲介会社の取り分です」


 …もうなに言ってるのか、完全に意味不明!広告主(売り主)だけでなく、購入希望者からも仲介料を取るつもりなのかしらん?ありえません。
 ペルーの不動産屋さんは、大抵かなりひどいのですが、ここまでひどいのは初めてです。
 オーナーさんにお断りするとき、一応事情は説明しておきました。変な仲介会社につかまっているのが、気の毒です。



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 そんなわけで諦めましたが、あの風を受けてざわざわと鳴るユーカリ林には、まだ執着が残っています…
 でも冷静に考えると、ほかにも難点があったので、まあやめて良かったのでしょう(と思うようにしています)。


 今年はほかにもやりたいことがあるので(来たる60代を楽しむためにあれこれ準備中です)、できれば貯金はまだ、すっからかんにはしたくないですし。
 また例によって、アクセスの問題もありました。


 パチャカマックは、古くからの中規模農園「フンド」(いわば小ぶりのアシエンダ)、および20世紀の不法占拠で出来上がっており、みなさん土地を四角く区切って占拠していったので、自然と道もまっすぐなところがほとんどです。
 ところがごくごくまれに、本当にまれに、写真のような蛇状の狭い未舗装道があります。そしてよりによってうちからは、ここを通らないと、あのヴェネツィアンレッドのおうちに辿り着けないのです。



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 といってもせいぜい10分程度のガタガタ道ですが、神経質なアルパカたちには負担になりそうです。

 アルパカの運搬用に、いずれこういう牽引トレーラーを注文しようかと思っています。
 でもこんなのを車で引っぱって、狭い未舗装道をよたよた進むところを想像すると、それだけでチャスカ様の怒りのキーキー声が聞こえてきます。
 運搬係にもアルパカにも、神経にひどく響くこと必定。やはりあのユーカリ林には、ご縁がなかったか…


 ところであのお宅は、今もオーナーさん一家が利用しているので、写真をどうすべきか迷いました。
 でも広告にはもう何もかも(詳しい道順ビデオやドローン映像、家の中の360度画像まで)、ちょっと不安になるほど全部出ているので、今さら変わりはなかろうとの判断でスナップをのせました。


 ほんと独特の雰囲気があって、しかも価格も相場以下なので、抵当と仲介業者にさえ目を瞑れるならば、わるくない物件と思います。
 オーナーさんの希望通り、年内には売れますように…と、かげながら祈っています。あーいまだにちょっと残念だけど!!



<8月のパチャカマックの、ありえない青空!>


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 昨日とおとといは、上天気でした。ふつうなら曇りまくる8月のこの空、貴重です。


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 今年前半はいろいろありすぎて、庭を眺める心の余裕すらありませんでした。
 でも今になって気づきました、夏のあいだにナツメヤシがものすごく育っていたことに!
 近所の騒音も、ナツメヤシの葉に吸い込まれるのか、ほとんど気にならなくなってきました。


 あの赤いおうちは本当に好きでしたが、でも何もない更地に、120%自分好みの庭を作るほうが、やっぱり私には向いているかも。


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 夕方、空の色が深まってくると、砂浜に寄せる波のような、繊細なきれいな雲がかかりました。
 今は「アルパカ放牧地」計画であたまがいっぱいですが、久しぶりに海辺にも行きたいですね。



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 ベイビーアルパカの巻き毛みたいな雲が、鮭色に染まり始めました。かわいいキヤチャも、今日は上空で遊んでいるようです。
 「次の夏は、きっとエル・ニーニョでチャスカ母さんもたいへんだから、その次の25年あたりにうちに戻ってこない?」
 と、ぽわぽわした雲に話しかけたりしています。



2023年8月4日(金) 午後4時の室温23.5℃ 外気温22.7℃ 晴れたり曇ったり
パチャカマック再発見
<物件散歩そのA はたけ>


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闘牛は好みませんが、
街角に並べて貼られたポスターには
ある種の風情を感じます


 こちら暖冬が続いています。
 初夏のように晴れ渡る日と、冬らしくちゃんと曇って霧雨が降る日が、ほどよく交互に巡ってきます。気温も最低19℃、最高24℃くらいの範囲なので、とても快適です。



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近所のピスコ醸造所、兼、
一杯飲み屋(らしい)


 引き続き、ご近所での物件探しを楽しんでいます。

 来月で、パチャカマックに越してから、なんともう丸十年。
 でもその間、ほとんど家に籠っていて、近所のことはぜんぜんわかってませんから、いろいろ発見があっておもしろいです。
 こんな飲み屋さん?もすぐ近くにありました。



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 さて、先日訪問した「畑の中のルクマ林」の静けさが、とても心に残ったので、いくつか畑の売り物件も見てきました。
 アルパカのために芝を植えて放牧?するのが、土地探しの目的ですから、宅地にこだわることもなさそうです。


 ルリン川の下流域をGoogleEarthで眺めると、全体に緑が目立ちます。
 でもよく見ると、別荘地が集中しているところと、畑が多いところとで、微妙に緑の色あいが違います。


 上の写真は、うちから車で10分〜15分ほどのあたり。別荘もちらほら混ざっていますが、ほとんどは畑か果樹園です。
 土の茶色が見えているところは、畜産農家で、大抵は乳牛か肉牛を育てているようです。



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 パチャカマックでは、表通りから横道に入るだけで、雰囲気がガラリと変わり、アンデスか?と思うような田舎の風景が広がっていたりします。
 静かでわるくありませんが、ただガタガタの未舗装道ばかりなのは、厄介です。


 50代さいごの年に入っても、体力の低下は何も感じませんが(…もともと体力なかったので、落差が少ないだけかも?)、ただこういう「ささやかな不便」に対する忍耐力は、全くなくなりましたねー


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 こちらが本日の物件。手前は水路で、ここから奥の林(たぶんルクマやアボカド林)の手前までが売地です。
 農地はふつうヘクタール単位で売買されますが、1000〜2000uくらいのお手頃サイズの畑も、探せば見つかります。みなさんけっこう切り売りしますので。


 先方の言い値は、1平方メートルあたり150ドル。
 「このへんではこれでも安いほうなので、値引き交渉には応じません」とのことでしたが、訪問の数日後、「値引きご希望ですか?なんか数字を言ってみてください」と連絡がきました。うーむ、売り急いでいるようですね...なにかわけがあるのかな…?


 ここはまわりが静かで、土質も良く、それは気に入りました。
 うちからは車で10分と近いですし。ただ、アルパカ連れで移動となると、あのガタガタ道は不便でしょうね。
 また、ご近所の殺風景なレンガ壁(右の写真)も、これを見ながら過ごすのかーと思うと、憂鬱です。うちでもせっせと木を植えて、近所の冴えない眺めを「ほぼ」隠すのに、十年かかりましたから。


 さらに、抵当がついていることも判明!
 日本なら、抵当権を抹消してから(つまり借金を払って抵当をはずしてから)売るのが、普通だろうと思うのですが、わがペルーではそのような常識は通じません!
 「購入希望者から前金を受け取って、そのお金で抵当を抹消しよう」という、ずいぶんと虫のいい考えの人がとても多く、ここの売り主さんもまたそうでした。



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 そういう売り主さんは、みなさん口を揃えて、「代金の一部が抵当抹消にあてられるだけだから、リスクはありません」と言うのですが…いえたしかに、売り主側にはリスクゼロだけど……
 ペルーでは、抵当抹消手続きじたい、かなり日数がかかるので、待ってるあいだに、どんな不測の事態が起きるかわかりません。
 最悪の場合、前金を取られただけで、宙ぶらりんになる可能性もあります。


 またそうなると、前金ていどの損失では訴訟を起こしても費用倒れ、従ってさいごは泣き寝入り…というリスクも考えられます。
 よってペルーの抵当権付き物件には、よほどのことがないかぎり、手を出さないのが無難です。


 私も過去に二度ほど、抵当権つきの海辺の土地に、ちょっとばかしふりまわされたことがあります。(いやーほんとペルーの人って、抵当好きねえ…)
 かなり気に入る場所だったので、「売り主が抵当抹消するのを待って、それから購入契約を結ぶ」という約束まではとりつけたのですが…


 結果はペルーあるある。売り主は要するに、自分のお金は1ソルも出したくなかったらしく、なんと半年待っても一切動きがありませんでした。
 それどころか、そのあと「抵当つきのまま買うという、別の希望者が現れたのですが、あなたはどうしますか?」と問い合わせが来て、そこでおしまいになりました。


 ずいぶんと失礼な話ですが、でもその頃には私も買う気が失せて、ほかに目移りしてましたので、むしろこちらから断らずに済んで助かりました(なんでもこういうふうに、トントントン!と進まない話はダメですね)
 それに、本当に別の購入希望者が現れたのかどうかも、怪しい限りです。
 「嘘をついてでも、私に前金を入れさせたかった」というのが、もしかすると真相かもしれませんね。



<物件散歩そのB 静かなすてきな別荘地>


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 めげずに次の物件へ参ります。

 パチャカマックの少し奥まったあたり(ややシエネギージャ寄り)に、トミーナというなかなか上品な別荘地があります。
 プールや芝生、小さな果樹園などのある、中規模の感じのよい住宅&別荘が集まっています。
 そのトミーナ地区で、登記等ばっちり&もちろん抵当なしの、1平方メートルあたり110ドルという、かなりお買い得な宅地を見つけました。


 このあたりはほんとうに静かで、商店街や表通りがほど近いわが家とは、まるで空気感が違います。
 ぜんぜんざわざわしてなくて、とってもcasa de campoらしくて、訪問時はしばらく深呼吸しながらうっとりしていました。



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 しかもこの売地には利点が多く、まず四方がとりあえず塀で囲まれているのが、とてもいいです(古いので補強は必要ですが)。
 壁を巡らせるのは、本っ当に手間と費用がかかるので、これは重要です。
 今の住まいの土地を買ったときも、塀を巡らせただけで貯金が尽き、そのあと数年間、なにもできずに放置する羽目となりました。



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 さらに、水がたっぷりの井戸もあります。井戸掘りの費用もなかなか…ですので、さいしょからあるのはとても助かります。
 入り口の横が少し高くなっていて、そこにルクマやビワが植えてあるのも、いい感じです。
 そこだけ囲ってアルパカが食い荒らさないようにして、残りはぜんぶ芝地にして、アルパカたちを自由に歩かせて…等々と、一気に想像がふくらみます。


 ただ2000uあるので、価格は予算を上回ります。
 でもここだったら、さいしょから大きな投資をしなくても、とりあえず芝だけ植えてアルパカを連れて来れるので、貯金をはたく甲斐はあるかも…しれません。
 また売り主さんは高齢のため、少しでも早く売却したいそうで、値引き交渉には喜んで応じる、とのことでした。


 (その売り主さん、子供が小さいころに張り切ってここを買ったそうですが、子供たちは長ずるとみな米国やカナダへ行ってしまい、結局だれも片田舎のパチャカマックには興味を示さず…という、このあたりではよくあるお話のようでした。
 子供には子供の人生があるので、親はそんな先までコントロールしようとせず、それより自分の人生にもっと投資して楽しむべき!…という結構な教訓か、と…)



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 かなり条件のいい宅地なので、私たちも売り主さんと会ってみようかと思いましたが…
 引っかかるのは、わが家からのアクセスです。車でほんの15分ながら、とても疲れる石ころだらけのガタガタ道を通らないとなりません。
 私はいったんめんどくさいとなると、自宅の庭に出るのもいやなくらいなので、ガタガタ道の先にあるここを使いこなすのは、ちょっと難しいかもしれません。


 また前の夏に、トミーナ地区でかなり出水があったことも、ふと思い出してしまいました。
 この土地は、入り口から(つまり通りから)ちょっと下がった地形じたいに、独特の雰囲気があります。でも出水の危険を考えると、返ってそれがわざわいとなりかねません。


 以上すべてを併せても、やはり魅力があるのは確かです。いったん考えるのをやめて、保留としておきます。
 いまパチャカマックの売り物件はとても多いので、もう少しほかもあたってみましょう。



2023年7月26日(水) 午後11時の室温23.0℃ 外気温19.5℃ 霧雨(暖冬ですが、今夜はじめじめと寒いです)
<甘美なる祖国ペルー(byダンキンドーナツ)>


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 金土日の、ペルー独立記念日の連休も、もうすぐです。(公務員のみなさんだけは、あす木曜から休むらしいけど…)
 ダンキンドーナツが、「甘美なる祖国」という名の、国旗色ドーナツを出してました。
 口に入れてはならぬ色のような気もしますけど、シンプルでかわいいですね。



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 愛国セット内のほかのドーナツは、何を表しているのかよくわかりませんが…うーん右端のは、たぶんペルー式トゥロンのつもりかな?
トゥロンのビスケットがひとかけら、のってるようにも見えますね。



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 近所のお店では、八百屋さんだろうと雑貨屋さんだろうとかわりなく、どこも数枚は国旗をぶらさげて売っています。
 ペルーの人は、7月に飾った国旗を2ヵ月くらいはしまい忘れて、ボロボロにしてしまうので、それで毎年買い替える人も多いのかもしれません。



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 赤白の派手な国旗の前で、金魚選びに迷いぬく、かわいい母子に会いました。若いお母さん(たぶん)も、超真剣なおももちです。



なおこちらは、無断拝借写真ですが…
カヤオ港では、こんな国旗色ライトアップをしてるみたいですね。
国家(日本もペルーも)への忠誠心などカケラも持ち合わせない私も、こういうのはちょっと好きです。



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パチャカマック再発見!
<物件散歩その@ ルクマつき宅地>


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 アルパカ・ページでお話ししたように、アルパカの主食(庭の芝)確保のため、今いろいろと工夫しているところです。
 ただ今後、キヤチャが「戻って」きたときのことを考えると、これはもう庭じたい大きくしないと、追っつかないのでは…という不安もひしひしと感じています。


 そこで今月、近所での土地探しを始めました。
 パチャカマックの地価は、コローナの数年で大幅に落ち込んだあと、まだあまり回復していませんから、土地探しにはわるくないタイミングです。
 登記等がちゃんとした土地の場合(…ちゃんとしてないのも多くて要注意なわけですが…)、今の相場、というか売り主の言い値は、1平米あたり80ドルから160ドルあたりに集中しているようです。



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パチャカマックの宅地は
だいたいこの単位で売られています。
6000uくらいから、やっと「大きな土地」とみなされます。
また1000u以下だと、返ってとても割高になります。


 10年前にパチャカマックに家を建てたとき、建築費を捻出するため、土地の一部を転売しました。
 それを買い戻すのが長年の夢でしたが、今の持ち主に相談してみると、むちゃくちゃな値段をふっかけてきましたので、その考えはあっさり放棄。
 近場で、もっと手ごろな土地を探すことにします、いくらでもありそうですから。


 でも当地では、ネット広告等は出さない人のほうが多いので、近所をぐるぐるまわって、看板をチェックするのが(きわめて古風ですが)いちばん良い方法です。
 電話番号をメモしてきて、かたっぱしから電話するわけです(宿六が)。



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 で、さいしょに見せてもらったのが、あとで夢に出るほどインパクトある物件でした!

 ルリン川近くの2000平方メートルの土地で、うちからは車で10分ほど。
 書類は万事OKながら、1平米が破格の85ドル…と、条件だけ見るとなかなかのものです。
 でも私たちがいちばん惹かれたのは、「ちょっとしたルクマ林とアボカド林もついてます」との説明でした。
 宿六はアボカドとルクマが大好きですが、うちの庭では土質のせいか、どうにも栽培がうまくいかないのです。


 ルリン川の橋を渡ったあと、舗装道を離れて横道に入り、川のほうへしばらく進みます。
 奥に見える林のあたりに、その土地があるようです。



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 この一帯は農地なので、あちこちに水路が切ってあり、その近くでバナナが勝手に育っています。
 ペルーでは、果物は基本「勝手に実る」もののようです。収穫期ででもない限り、このへんの果樹園で誰かが作業しているところなど、一度も見たことがありません。



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 ぬかるみにタイヤをとられつつ、なんとか売地の入り口に到着。
 簡素な木戸が見えますが、その向こうだそうです。中はかなり鬱蒼としているようですね…
 左にくろぐろと茂っている大木も、ルクマのようです。いやこれは…ちょっと思ってた別荘地とは、違うかも……



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 そして、恐る恐る中へ入ってみますと…
 うわわわ、これ「ちょっとしたルクマ林」じゃないでしょ?!
 案内してくれた近所のお兄さんの話では、ルクマの大木がざっと70本!植えてあり、アボカドも数本大きなのがあるそうです。



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 奥にはバナナもたくさん見えています。たぶん自然に増えたんだと思いますが…


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 バナナの大きさ感を、ご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、案内のお兄さんといっしょに写ったのも一枚。
 ほぼジャングルですね。



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 ルクマの木々は立派ですが、枯れ枝も多く、長いことまったく手入れしていないのは一目でわかります。
 この案内の人も、たまーに持ち主(リマ市内在住)に頼まれて、ルクマを数箱分、拾いに入ることがある程度だとか。
 ご近所もルクマ林で、夏のあいだそこで引き入れる水路の水が、そのままこちらまで流れてくるので、水まきも特にはしていないそうです。




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 今はルクマには遅い季節のはずですが、けっこうたくさん実っています。


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 リスや小鳥がつついたルクマが、あっちこっちに落ちています。冬の今は、スーパーだとキロ10ソルくらいするのに、もったいないなあ。
 でも2000平方メートル「ていど」の小さな果樹園では、作業の人を雇って、実を収穫して町まで運ぶだけで、大損となってしまうのでしょうね。
 かといって、自分で消費するには多すぎる、というわけで…


 ここはかなり負の遺産っぽい…のは、明らかです。
 親の代には四倍の大きさだったのを、子供四人で分けて小さくなったので、これという使い道がなくて…と、持ち主も正直に話していました。
 でもわたくしも、片田舎のパチャカマックに暮らしてもう十年。どうしたらそれなりに使える土地になるかは、だいたいわかります。


 まず水路を作って、隣家の林から水が流れ込まないようにして、また水の取り口のある塀を巡らせ、夏の水まきを自分でコントロールできるようにします。
 それから園芸店で10人ばかり集めてもらって、一気に剪定作業を行います。
 弱った木はそのときに取り除き、うちのアルパカ肥料を撒いてやり、また電気も引いて、井戸も掘って、プレハブの小さな家でも建てれば…


 個人宅としては、なかなか魅力的な空間となりそうです。
 なにしろまわりもすべて果樹園、人気がなくて、しーーーん…としていますから。また半端に田舎なので、泥棒も寄り付かないそうですし。



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 ルリン川(下流)の両側に見える、うんと濃い緑のところは、大抵ルクマやアボカドの林です。
 こういう果樹園を所有して、週の1、2日でもそこで過ごしたら、ずいぶん休まりそうだなあ…と、宿六も私もかなり惹かれるものがありました。


 …が、ここを管理していく体力は、どう考えてもありません!
 売り主さんから、「うんと値引きしますから!」と連絡も頂きましたが、ごめんなさいね。
 「15年くらい前にここを知ってたら、買っちゃってたかもね」…ということで終了です。うーん残念。
 ルクマの実が好きなチャスカも、きっと残念がっていると思いますが、もう少し手間のかからなそうな、別の物件にあたってみることにしましょう。


 ペルーの家や土地は、高い塀に囲まれて、中の様子が伺い知れないところばかりです。
 なので売り物件めぐりには、探すという目的だけでなく、「ふだん見られないところを見せてもらう」という、大きなオマケもついてきます。
 今日のような想像外の発見が、これからいろいろありそうで、楽しみです。



2023年7月12日(水) 午後11時半の室温23.6℃ 外気温20.3℃ 曇り
<リマで初めて出会ったイングリッシュローズ?なのかこれは??>


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 もう長ーーいこと、リマで探し続けているイングリッシュローズ。
 苗は諦めて久しいですが、さいきん通販の花束店で、それっぽいバラの写真を見ることがあり、うーん本物かなあ…と気になっています。
 短く切ってアレンジした花ではしかたないので(挿し木できませんから…)、問い合わせはしていませんけれど。


 でも先週土曜日、とうとうイングリッシュローズ…と思われる、茎の長い切り花を手に入れました!リマで西洋生け花教室を開いている、おフランス人のお兄さんにお願いして、セントロの花市場で探してきてもらったのです。
 小ぶりですけど、ころんと丸いつぼみ、びっしり詰まった花びら(ひとつ数えたら97枚ありました)、それに古風な香りは、たしかにイングリッシュローズっぽいです。



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 すぐ散ってしまうモダンローズとは違って、ゆっくり少しずつ時間をかけて開くところも、イングリッシュローズ風です。
 ほんとうに嬉しくて、毎日じっくり眺めて変化を楽しんでいます。もちろんすぐに挿し木もしました。


 そのおフランスのお兄さんによりますと、花市場にはたまにイングリッシュローズが届くそうです。たぶんエクアドル産かな?
 ペルー国内でも、「アレキーパで育てている人がいるらしい」という噂はあるそうですが、はっきりしたことはわからない由。


 手に入れたこのバラは新鮮でしたが、なんというかプロっぽい感じはしません。たとえばコロンビアにあるはずの、デビッド・オースティン社の正規契約農家の切り花、とかではない気がします。なんとなく、ですけれど。



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FELICES FIESTAS PATRIAS



2023年も早くも半分以上が飛び去って、再来週はもう独立記念日かー。
今年は、いささかダサい紅白ではなく、薔薇色&白でいきましょう。
(新入り七面鳥のグリンゴ君も、みごとな薔薇色の顔ですし)


薔薇のとなりに座った、「人間界なんて、しょせんこんなもん…」
とでも言いたげな人面フクロウは、アヤクーチョの焼き物です。
私の今の気分に、あまりにぴったりだったので、先日衝動買いしてしまいました。
これ以上民芸品は増やさないと、じぶんに誓ったばかりなのに。


例の急な旅のお話も、もうしばらくしたら載せますね。いま写真を整理しています。



2023年6月15日(木)
<ちょこっと生存証明…>


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 少しご無沙汰しました。
 奇妙かつ、多分にバッカバカしい成り行きで、とつぜん長い旅行に出ざるを得ない状況に陥っておりました。
 旅は良いものですが、まったく出かける気分と体調じゃないときに強いられるのは、いやなものですね……付き添ってくれた宿六だけは、えらく楽しそうでしたが!


 先週末、やっとパチャカマックのわが家に戻りましたので、よく休んで少しユーモアを取り戻してから、極力おもしろおかしくご報告できたらと思っております。今はまだ、私の両耳がうしろにぴったり倒れているので、なにも書かないほうがよさそうです。

 しばらくここを更新しなかったせいで、ご心配下さった方がいらしたので、今日は念のためのご挨拶です。
 一連のさわぎで、ムダにひっかきまわされた私の感情以外は(笑)、「終りよければすべてよし」状態に向かいつつあります、おかげさまで。


 なお、「庭師のベンハー君に動物たちを任せて、いつでも安心して旅に出られる」とわかったのは、とても嬉しい発見でした。
 「小さな家」の百合子ちゃんとハスミニ猫がすっかり仲良しになったので、これからはときどき留守番を頼もうと思います。




2023年3月20日(月) 午後7時の室温27.0℃ 外気温25.9℃ 晴れ
<樹脂粘土…改め、ただの粘土の沼 Dオーブン陶土の新世界>


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チャスカとコヤチャ


 世界に誇るべき日本の名品、「ヤコのオーブン陶土」にはまっております!
 細かく作り込める樹脂粘土も楽しかったですが、焼成後もべたっとした感触が残るのが、どうも気になります。
 もっとさらっと土らしく、また家のコンベクションオーブンでも焼ける粘土…を探して、「ヤコ」に辿り着きました。



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うしろ姿


 ヤコでは五種の粘土が販売されていますが、そのうち白・黒・赤・茶の四種をとりよせました(送料は、ギャーーーッ!と叫ぶのみ…でしたが)。
 形を作ったあとは、四種の粘土を水でうすく溶き、それを絵の具がわりに彩色してみました。アクリル絵の具等も使えるそうですが、まずはこの土の色じたいを楽しみたいので。
 仕上げは、専用の防水ニスです。年末に「クルスパタ」に飾って、耐水性に問題ないこともしっかり確認できました。これはいいわー



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寝そべるチャスキ


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 長年、平面の絵にとらわれてきましたが、立体のものは角度によって表情がかわるのが、新鮮で楽しいです。
 自分の掌のあいだから、立体がころりっと生まれる感覚も、一度味わうと夢中になってしまいますね。



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ウードと縦笛、小鳥を持つ天使


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うしろ姿


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アンデスの湖の人魚


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うしろ姿


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二代の猫たちの肖像
左からハシンタ I、ハスミン I、ハシンタ II、ハスミン II(ハスミニ)


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うしろ姿


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 今は暑くて粘土がすぐ乾き、作業がはかどるので、アルパカ&リャマの大量生産にとりかかりました!
 玄関先の「クルス・パタ」を、アルパカ&リャマの混合キャラバンで埋めつくしたい、とずっと思っていましたが、近年はペルーの民芸品の質が地に落ちて(こんなこと言ってごめんね、でも真実だから…)、素朴な味のある焼き物は、まず見つかりません。
 ならば自分で作ろう、ということです。



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 こちら秋分の日ですが、まだまだ例年にない暑さが続いています。エル・ニーニョなのかも、との噂もあり。
 でも先日までの蒸し暑さは一段落で、猫ともどもほっとしております。



2023年3月16日(木) 午後11時の室温26.9℃ 外気温25.2℃ 晴れのち曇り
<ペルー沖に居座るサイクロン、その名も「水厄」?>


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砂嚢が(いくぶんラフに)積まれた
近所のお店


 二月末にペルー沖で発生した、当地ではとても珍しい気象現象だという、熱帯低気圧「ヤク」。
 そもそもつけた名前がわるかったですね。「ヤク」はケチュア語で水の意なので、聞いたとたん水厄…と思ってしまいましたが、まったくその通りで。


 3月はじめから現在にいたるまで、ペルー沖に居座ったそのヤクが、大雨と水害をペルー中で引き起こしています。時節はずれの猛暑もたまりません。
 そしてここ数日は、うちの近所のルリン川も、急激に水量が上がってきているようでした。



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こちらの砂嚢のほうが心強そう


 ただパチャカマックのわが家のあたりは、ルリン川からは距離があるので、まあ関係ないだろうと安心していました。
 ところがきのう、久しぶりに外に出てみると(あんまり暑いので籠ってました)、近所のお宅ではみなさん、ものものしく砂嚢を積み上げているじゃないですか!


 え?そこまで差し迫った状況なの?と驚きましたが、いえそれどころじゃなくて、その前の晩に、すでに出水があったのだそうで!
 私なにも気づかず、ぐっすり寝てました。そういえば夜中から朝まで停電していましたが、そうか、それも出水のせいだったのか…



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 舗装された表通りは、だいたい乾いています。でも未舗装の横道はこのありさまです。同じ町内の、うちからほど近いところなのに。
 命に関わるほどの大規模な出水ではなかったそうですが、この路地の家々には、軒並み泥水が流れ込んでしまったそうです。


 しかしその水、どこから来たのでしょう。ルリン川から離れたここまで、直接川から水が来たとは、ちょっと考えにくいです。
 そこで遅ればせなから調べてみますと、ルリン川増水に伴い、町内の用水路が溢れて起きた洪水、ということがわかりました。



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 今でこそ普通の住宅も多いパチャカマックですが、もともとは農村地帯だったので、こういう農業用水路があちこちに残っています。(写真はきちんと整備された状態の用水路)。
 それがここ数年、長いロックダウンがあったり、ラ・ニーニャ現象下で洪水の心配がなかったりで、ほとんど手入れされていなかったのですね。
 そうでなくてもアンデスの乾季には、完全に干上がってしまう用水路。ゴミ捨て場に使う愚か者も多く、雨の前の掃除は欠かせないのですが。


 いまペルー各地の川沿いで起きている、大規模な洪水や地滑りは、地形上どうしても避けきれないところもあります。
 でもここパチャカマック町内の出水は、9割がた人災ですね。そして私の家はたまたま、どの用水路からもほどほどに離れていたおかげで、まったく水が届かなかったようです。



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 さて昨日は、近所の様子を見たあと、リマ市内まで買い物に行きました。
 いつものようにどんどこパンアメリカン道を北上し、ルリン川を渡って、パチャカマック遺跡の前まで来たとき、妙なことに気づきました。ちょうど矢印のあたりです。



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 ここは、見苦しい選挙壁の奥に、ポロクラブの広大な緑地が広がっている…はずなのですが、その緑が見えません。
 かわりに一面の、水、水、水!



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 ここでも一昨日、水が出たようです。
 大きな水面に遺跡や木々がうつって、ちょっときれいな眺めですが、芝の管理責任者はさぞ胃が痛むでしょうね…お気の毒です…


 自然な排水など待っていたら、芝は枯れてしまうので、右の写真のように、大きなポンプを使ってルリン川に水を押し返していました。
 しかしこの広大な湖?を干すのに、いったい何日かかることやら。



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 今のルリン川下流は、水位が高いといってもこれくらいなので、となりの緑地に直接流れ込んだとは思えません。
 やはりパチャカマック町内と同じく、用水路からの出水だったのではないでしょうか。


 そういえばアンデスでは、雨季の前の用水路掃除は、とても大切な行事とみなされています。
 たとえばカハマルカ、バニョス・デル・インカのワンチャコ祭では、用水路掃除をちゃんとやった者しか参加が許されない、とも聞きました。
 私もこのたび思わぬ形で(幸運にも本当の「寝耳に水」とはなりませんでしたが)、用水路のごみさらいの重要性について、目を開かれましたです…



2023年2月18日(土) 午後11時半の室温26.9℃ 外気温25.1℃ 晴れ
<百合子ちゃんの退屈フリーな夏休み>


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 「小さい家」の百合子ちゃんの夏休みは、12月下旬から始まります。
 まずは楽しいクリスマス!
 24日、太めのトナカイがプレゼントの配達にやってきました。(しかしこのトナカイ、なんで水色の靴下と革靴はいてるの?)



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 赤子ながらたいへんもの静かな、末っ子のマグノリアちゃんが、トナカイを見たとたん、火がついたように泣き始めます……あらららら…
 それを一所懸命あやすのは、すっかりお姉さんらしくなった百合子ちゃん。(あ、百合子ちゃんはまたお気に入りのハチドリTを着てますね)



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「あーーー!もう見えた!
これ圧力なべね!」




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 台所用品好きなゼラニウムちゃんには、圧力鍋。
 「小さな家」の電気&水道代はうち持ちですが、プロパンガスの購入だけは、ベンハー君の負担となっています。
 世界ひとしなみに物価高の今、ゼラニウムちゃんはガス代をひどく気にしているので、節約にもってこいの圧力なべを思いつきました。
 幸いお気に召したらしく、ほとんど毎日使ってくれてるようです。良かった。



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 お父さんのベンハー君には、日本の農協で好評という、「涼かちゃん」シリーズのベストと帽子。これ、太陽光をよくはねかえして、ほんとに涼しいので、私たちも帽子を愛用しています。
 それからこれも私の愛用品、日本製の雑草抜き「モンブラン草取り一番」もおつけしました。(後日ベンハー夫妻が、これで庭の厄介なイラクサを一掃してくれました)



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 そして百合子ちゃんには、ビーズ細工の道具一式!(これ、揃えた私がいちばん楽しかったかも!)

 超出不精な両親に恵まれた百合子ちゃん、この夏もおそらく、どこにも連れてってもらえないはず…
 そこで長い休みのあいだ、飽きずに手を動かせて、ついでにちょっとした技術も身につくもの…さらに親御さんの節約にもつながるもの…と考えてこれに決めました。



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 左のチャームは、米国Amazonで自分の買い物ついでにポチった、200個入り10ドルのお買い得品。でも意外に仕上げがよくてびっくりです。
 こういうのをリマでは、平気で1個2、300円で売ってますから、百合子ちゃんにとってはひと財産ですね!



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「おかあさ〜んどうしよう〜、いっぱいあるよ!
まるでほんものの宝石みたいだよ!」


 このたび嬉しい誤算?だったのは、お母さんのゼラニウムちゃんもファンシーアクセサリーが大好きだった、ということ。それで手をたたいて喜んでいるんですね。
 ふたりともすぐに、まずは末っ子マグノリアちゃんの腕輪を作ったようです。こういう息の合った母娘というのも、世の中には実在するのですねえ(笑)



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 百合子ちゃんが自分用に作った、さいしょの作品。全色入れたところが、とてもペルーの女の子らしいです!
 このセットでいちばん助かるのは、ベンハー君かもしれません。当分、奥さんからアクセサリーはねだられないでしょうから。
 それに百合子ちゃんは、今後は友達用のプレゼントも買わずに自作できますね。



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ジジ&トトロ
「kotetsuさん、ぼくたち百合子ちゃんちへお嫁に行くよ!」


 百合子ちゃんは、日本のアニメおたくを自称しています。
 そこで、むかしkotetsuさんから頂いて、長いこと大事にしていたジジとトトロのぬいぐるみを、このたび百合子ちゃんに譲ることにしました。
 これから何年も、妹のマグノリアちゃんといっしょに遊べるでしょうから。


 ところが百合子ちゃん、ジブリものはぜんぜん知らないと判明したので、スペイン語版を何枚か入手してあげたところ、百合子ちゃんのみならずご両親まで夢中になっています。
 植物好きなベンハー君は、トトロがとりわけ気に入ったようです、自然描写の美しさにつくづく感心したそうです。



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 私たちも久しぶりに、むかしやはりkotetsuさんから頂いた日本語版を見ました。
 写真は、ジジ猫に釘付けになったハスミニ猫。とうとう全編、さいしょからさいごまで夢中で見てました。



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 さて二月になっても、百合子ちゃんのお休みは続行中。いいですねえ。
 その長い夏休みのイベント、兼、福利厚生の一環として、「小さな家」の庭に「タマゴ工場」を設置することにしました。
 いつものようにベンハー君が、あっというまに器用に小屋を建てたので、あとはニワトリのヒナを連れてくるだけです。



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 パチャカマックには家畜の飼料店が何軒もあり、そこでヒナも購入できます。
 中でも健康そうなヒナを扱っているこの店、AVESAN(阿部さん…?)で買うことにします。



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 飼料は、ニワトリやクイ、牛馬用などいろいろ置いてあります。
 写真は「強きクチバシ」という名の、闘鶏用ニワトリの専用エサです。



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 ちょうどこの阿部さん飼料店の入り口で、絵描きさんが堂々たる闘鶏用ニワトリ広告を制作中でした。
 そうか、こういうふうに小さな写真を見ながら描くんですね、器用なものです。



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 家畜飼育がさかんなパチャカマックでは、手描きの飼料広告をよく見かけます。味があって私は大好きですが、描いているところは初めて見ました。
 (この「重量挙げをするクイのあしもとにコカ・コーラが転がっている」絵の意味するところは、謎なのですが…)



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 阿部さん飼料店に来るお客さんは、みなさんこういう感じの、かさばる買い物をしていきます。
 これはトラックじゃなくてふつうの乗用車なので、農家ではありませんね。たぶん趣味でcaballo de pasoの馬を一頭、飼ってたりするお宅なのかな??それともうちと同じアルパカかな?



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 少し日が陰って涼しくなると、ヒナたちがせっせとエサをついばみ始めます。おしりがずらっと並んでかわいいなー。


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 私は本当は、こういう古典的な黒白ニワトリを飼いたいのですが、これは丈夫で長生きはするものの、毎日はタマゴを生まないそうです。
 今回のところは、ベンハー君一家のタマゴ確保が目的なので、毎日欠かさずタマゴを生む、gallinas ponedorasという品種のヒナにします。
 もしそれがうまくいったら、黒白ニワトリも検討します。



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 生まれて三週間のヒナは、一羽10ソル(350円ほど)です。
 ベンハー君に、「何羽ほしいの? 8羽?10羽?それとも1ダース?」と聞くと、とても小さな声で「12…」と言うので、1ダースに決定。


 大喜びのベンハー君、ヒナたちを丁寧にチェックして、「この小さいのは、もっと大きいのと替えて下さい」とお店の人に頼んでいます。
 たぶんもう、庭のケール&新鮮なタマゴ&ツナ缶炒め(一家の好物)のおいしそうな映像が、脳裏にありありと浮かんでいるのでしょうね。



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 家ではゼラニウムちゃんと百合子ちゃんが、首を長くしてヒナ到着を待っていました。
 「ここまで育っていれば、うまくいくわ!」と嬉しそうです。



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 そしてヒナたちは、無事に入居完了。
 ニワトリ係は百合子ちゃんだそうです。動物慣れしている子なので、安心です。



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 その後ヒナたちは、幸い一羽も欠けずにすくすく育っています。
 ニワトリアパートの右手では、ミチカ柘榴がもうだいぶ色づいていますね。



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ヒナはこんなに色が濃くなりました。
脚もしっかり育って、
もう止まり木で眠れるようになりました。


 百合子ちゃんの夏休みは、まだ一か月ほど残っています。
 ご両親の出不精はあいかわらずで、どうやらこの夏も、とうとう海にすら行かずに終りそうですが…(海近いんだけどね…)
 今年の百合子ちゃんは、妹とウサギ、ニワトリの世話がある上に、簡易プールで遊んだりアクセサリーを作ったり、アニメを研究したりでたいそう忙しく、今のところまったく退屈していないようです。



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わたくし発案の餌入れも、ヒナに好評。
(配管チューブをただ半分に切ったもの)


 百合子ちゃんは動物の世話もよくしますが、やはり妹のことは段違いにかわいがっていて、
 「来月学校が始まったら、いったいだれが、私みたいにしっかり妹のめんどうを見るの?!」
 と、今から真顔で心配しているそうです。



 あとでおもしろいかもしれないので、タマゴ工場の総工費をメモしておきます。
 タマゴ価格高騰の米国では、「めんどり二羽と小屋、餌一式600ドルのセットが大好評」とNHKで言ってましたが、さすがにそれよりは安くあがりましたね。初期投資は、総額2万5千円ほどです。


 また今後のエサは、七面鳥用のトウモロコシを分けますが、畑でたくさん出るオーガニック野菜くず!も活用してもらいます。いちばんいいエサですものね。

 なおめんどりは成長後、二年近く毎日タマゴを生み続ける…はずらしく、ということは単純計算で毎日12個×二年間で、ざっと20万円くらいにはなりそうなので、うーんいちおうモトは取れる?のかなー?(笑)
 でもここで大事なのは、「高すぎるので、もう長いことタマゴ買ってません」と言うベンハー君一家に、少しでも心安らかに、健康な生活をしてもらうことです!



<小屋の材料費>

屋根材×4枚 152ソル
塗装金網×10枚 100ソル
大きな合板×3枚 90ソル
防水ニス×1ガロン 77ソル
テレピン油×1リットル 12ソル
中古パレット×2枚 50ソル
角棒×6本 36ソル
チューブ 14ソル
釘、針金など金具類 37ソル
飲み水入れ 8ソル


計570ソル


<ニワトリ本体と最初のエサ代>

ニワトリのヒナ(生まれて三週目)×12羽 120ソル
ワクチン1袋 10ソル
ビタミン1袋 10ソル
ヒナ用のエサ×とりあえず6キロ 20ソル


計160ソル



<12年目のルリニガナ>


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 色白なコヤチャ姫が、元気に誕生日を迎えた今日、もうひとつ嬉しいことがありました。
 うちで初めての、ルリニガナ(カタナンケ)の開花です。



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 ルリニガナを初めて見たのは、2011年のモロッコ。
 アトラス山中からマラケシュに戻る道沿いに、この「美しすぎる雑草」が咲き乱れていました。



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 青紫の花も、銀色のうろこに包まれたつぼみも、あまりにも好みすぎて、とにかく写真だけたくさん撮って帰りましたが、長いことその素性はわかりませんでした。

 旅のあと5年もすぎてから、やっとルリニガナの名に辿りつき、タネを手に入れるのにまた数年かかり、さらに一年かけてロゼット状に育てたところで、アルパカたちに食いつくされたのでした……
 今日咲いたのは、一年前に再挑戦で蒔いたなかの一株です。なかなか長い道のりでした。



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 アトラスでは、岩場で大株に育って、無数の銀色のつぼみをつけて、本当にきれいでした。たぶんこういう乾いたところが合うのでしょうね。
 今の暑熱がすぎたら、手持ちの苗を数本、小石や砂まじりの土に植え替えて、うまくいくかどうか試してみます。
 また秋には、追加のタネも蒔きましょう。




このところずっと、ペルーというと、タイヤとかお役所とかを燃してる映像ばかりですね…
でもひきつづき私の生活圏は平穏です。リマ市内へも、ふつうに買い物等に行ってます。


ただ1月19日には、珍しくミラフローレスのケネディ公園でも抗議活動があったそうで、催涙ガスなど撒かれたらしく、「公園の猫たちはどうしたかな?うまく地下駐車場にでも隠れているかな?」と気がかりでした。
でも「ケネディ公園の猫」公式 
GATOS Kennedy Oficialによりますと、幸い一匹も被害を受けなかったそうで!良かったです。

ほとんどの抗議デモは、根っこのところに重い被害者意識が渦巻いているので、だれにとっても、良い結果を生むはずはないのですが…
でもいまペルーの多くの人たちは、被害者意識の底なし沼にどっぷり浸かっているらしく、こういうときは何を言ってもだめなので、しばらくはただやりすごすしかなさそうです。
過去にもこういうことは、ペルーに限らず世界中で、もう何度もありましたので、騒ぐほどのことはありません。



2023年1月24日(火) 午後5時半の室温26.0℃ 外気温24.8℃ 晴れ
<あのときの青い花!>


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 ひきつづきペルー各地では、さかんにデモやら道路封鎖やらやっているようですね。
 気の毒に、ベンハー君のいとこ夫妻も、年末にリマに遊びに来たあと、もうずーっとアンダワイラスの家に帰れず困っているそうです。
 でも私の生活圏では、そういう不穏な状況は、なんというか気配すら感じません。いつものことながら、妙なものですね…


 パンアメリカン道(南)も、世間の荒波をよそに?週末は海の別荘行きの自家用車でいっぱいになります。
 道ばたにずらっと並ぶパラソルや浮き輪のお店は、コローナ以前よりも増えたくらいです。
 道路沿いの大看板も、今年はけっこう埋まっているので、さほど不況というわけでもないのかな?(写真の広告は、犬のノミ取り薬です)



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 先週、いつものLos Inkas園芸店へ行きました。
 あの店もあいかわらずで、品ぞろえは本当に変わり映えしませんが、こちらの必要や視点はしょっちゅう変わるので、行くたびに何かしら発見があります。


 今回、とつぜん気になったのは、エボルブルス(Evolvulus pilosus)。
 ヒルガオ科の青い小花で、日本ではアメリカンブルーという安易な名前で、一年草扱いで流通しているそうですが、私はぜんぜん知りませんでした。
 こちらではもちろん多年草、立派な株が3.5ソルとお手頃ですし、リマでは青い花ってほとんどないので、意外にいいかも!と買い込んできました。


 ルリマツリやブルーデイジーはリマの気候にぴったりで、一年中よく咲いてくれますが、あれは青というより水色ですしね。やはりこの冴えた青は嬉しいです。


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アヤクーチョの雨季の花


 その青い花をじっくり眺めていると、どうもどこかで見たことがある…ような気がしてきました。
 古い写真を探すと、あったあった、アヤクーチョ郊外で見たこの青い花、たぶんエボルブルスの一種でまちがいないでしょう。(アンデスらしい気のきいた俗名は見つからなかったので、このあともまどろっこしい学名、エボルブルスを連呼するほかありません…)



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アヤクーチョからワンタへ向かう道


 2007年の聖週間に、楽しくドライブしたこの道沿いに、エボルブルスの星のような花がちらちらと咲いていたのでした。


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アンダワイラス郊外の、
満開のタルウィ畑


 アンデスで青い花と言うと、お豆が食用になるタルウィ(Lupinus mutabilis)の畑は壮観ですし…


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カンタで会ったヒメハギさん


 ムチュイ(Monnina salicifolia ヒメハギ科)の、深い瑠璃色も忘れがたいですが…


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通り雨がすぎたあと、
濡れ色がひときわ美しいエボルブルス君


 でもこれほど純粋な青は、ちょっと珍しいと思います。


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 特にニュクチュ(赤いサルビア)や、マメ科の黄花といっしょに咲いたところは、もはやずるいほどのかわいさでした。


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 またこちらは、2012年にpacollamaさんcalleretiroさんと歩いた、アティキーパのすばらしいインカ道…(きのうのことのように細部まで覚えている旅ですが、うわー10年も前なのね…)


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 ここでも野の花をたくさん見ましたが、長い行程中、たった一か所で、鮮やかな青い小花を見つけました。


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 小さな花ですが、鉛色の空の下では、もう目にしみるほど青く、pacollamaさんも私も大喜びで写真を撮りました。
 ところが長い散策で、少々ハイになりすぎていたのか、あとで見たら、どちらが撮った写真も残念ピンボケでした…なんてこともありました。


 これも改めて、よくよく写真を見なおすと、まぎれもないエボルブルス君です!
 花弁は傘のようにくるくる巻いて閉じていましたが、なるほどヒルガオの仲間だったのですね。
 pacollamaさん、アティキーパのロマスでは、この花はあまり多くないんだそうです。うまく出会えた私たちは、そうとうに幸運だったみたいです。


 このアティキーパと、それから前述のアヤクーチョのエボルブルスは、園芸種になっているEvolvulus pilosusではなく、ペルー原産のEvolvulus villosusらしいです。たしかに葉の形が微妙に違うかも。

 こうして十年以上かかって、気になる花の身元が判明した上に、近い品種の苗もたくさん入手して、これで一週間くらいはきげんよくしていられそうです。
 年明けから陽射しが強まり、新しいバラ園の、まだむきだしの地面がすぐカラカラになるので、ちょうどグランドカバー植物を探していたところでした。
 エボルブルス君は、花の色といい丈夫さといい、それから必要以上に侵略的ではないところも、グランドカバーにはぴったりと思います。


 でもこんなに青くて使いやすい花なのに、当地の園芸店ではほとんど扱っていません。
 そういえば、やはり当地原産のオシロイバナやトウワタ、ナスタチュームなども、リマではまるきり人気がなくて、お店ではまず手に入りません。
 (前にもお話ししましたが、私がモナルカ蝶寄せのため、さいしょに蒔いたトウワタのタネは、わざわざ日本やオーストラリアから送ってもらったものでした)



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 当地原産の植物は(たとえ改良された園芸種でも)気候に合って育てやすく、また土地の蝶や小鳥も喜ぶので、とてもいいのですけれど。
 元植民地のペルーでは、「土着のものごとすべて」へのつまらぬ偏見が、まだこういうところに残っているのかもしれません。


 ただおかしいのは、先住民系でもスペイン系でもない、どっからみてもガイジンの私が選ぶものには(植物に限らず、クリスマスグッズでも安売りのお皿でも…)、白人系の奥さんたちがすぐ興味を示すのですよね。(それで手に持っていた商品を、まんまと横取りされたことも何度もありました。今はもう決して負けませんが)

 このエボルブルスも、20本ばかりカートに載せていたら、Los Inkas常連の奥様がたに、「あら、それなんという花?どこに置いてありました?私もほしい!」と声をかけられました。
 たとえアンデス原産の地味な花でも、ガイジンがたくさん買ってるなら良いものかも…という思考の流れなのかな?


 エボルブルスの色は、大好きなヤグルマギクの紫青に近いので、いっしょに植えてバラ園に涼しさを添えようと思います。
 そういえばヤグルマギク、これもどういうわけか当地にはありませんよね。ヤグルマギクもアマポーラ罌粟も、なぜむかし小麦といっしょにスペインから入ってこなかったのか、長年ふしぎに思っています。
 レタマやセイヨウオオバコなどは、スペイン人の侵略後、すぐアンデスに定着したようなのですが。




2023年1月6日(金) 午後6時の室温24.3℃ 外気温22.1℃ 晴れ
<FELIZ DIA DE REYES ! (三賢王礼拝の日)>


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 みなさま良き新年を迎えられたことと存じます。
 ここパチャカマックよりごあいさつ申し上げますのは、昨年から庭に来るようになったカナリア君でございます。


 どこかの籠から逃げてきたのか、はじめは一羽でぽつねん…としていましたが、いつのまにか黄色いキンノジコの群れに紛れ込みました!
 それからは、いつもいっしょに行動しています。同じフィンチ仲間で、けっこう話が合うのかな?動物っておもしろいですね。



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 試験管ブラシの木が満開になると、カナリアもキンノジコも連れ立ってやってきて、さかんに花をつつきます。
 目がさめるような、色鮮やかな眺めです。なんでもこんなふうに、たっぷりと豊かで豪勢なのがいいですね!
 2023年は、みなさまにとっても、私にとっても、豊穣の一年となりますように。



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 豪勢といえば…
 今日1月6日の主役、三賢王の伝説も、なんともゴージャスな感じがして大好きです。
 こちらはスペインのJaca大聖堂で見た、1200年ごろに描かれた三賢王礼拝図です。描線の安定感がすばらしいですね!



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 こちらも1200年ごろに描かれたという三賢王。
 このころはまだ、三人とも白人とされていたようですね。



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 同じ博物館にある、これは1400年代後半の三賢王。
 西洋美術はこの時代あたりまでが、じわじわくる自然なおかしみがあっていいですね。
 1500年を過ぎると、どうも急に興味がなくなっちゃうなあ…


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 私はこの両マリアさんの、ものすごい仏頂面がとても好きです。(一枚目のマリアさんも眉間が少しぴくぴくしているようですが、こちらのマリアさんほどは怒ってないようです)
 彼女たちの気持ちはよくわかります。
 だって「とつぜんの着飾った来客」ほどの大迷惑って、ちょっとほかにないですものね。いくら手土産が豪華でもね…




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年末恒例、黄色だけの花売り場


 さて年末年始のリマは、おかげさまでいつもどおりでした。
 私たちがふだんうろつく域内では、非常事態令を感じさせるものは、何もありませんでした。
 そうそう一度だけ、ショッピングセンターJockey Plazaの入り口で数人の警備兵を見ましたが、クリスマスの買い物客でごったがえす中、なんとも場ちがいで気の毒みたいでした。
 (…それにしてもこの花、高いですよね?!どうってことない花束が1000円以上って、東京のスーパーのほうが安いのでは??)



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 リマ市内の住宅地も、いつものようにキラキラ飾られていました…じゃなくて「飾られています」ですね、今夜まではまだクリスマスですから。(今年はたぶん、ほとんどのお宅が、日曜日の8日以降に片付けることでしょう)

 このお宅の飾り方、涼しそうで上品でいいですねー


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 いっぽうこちらは、アパートごとに思い思いに、色とりどりに飾っていますが、それもまたわくわくと楽しげです。

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 二つの窓に、大きな「Chelita」という文字だけ飾ったおうちもありますが…
 これはやっぱり、「ビール!」以外の意味はありえないか…??



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 涼しい夜風に吹かれて、(ほぼ)マスクなしの家族連れが散策するようすは、コローナ前のクリスマスみたいです。(あー長かったなあ!)
 右手にちょこんと座った女の子は、自分の人形をクリスマスツリーの前に置いて、スマホを縦にしたり横にしたり、一心不乱に構図を探っています。



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 「もう行くわよ!」とお母さんに呼ばれて、いったんは振り向きましたが、返事もせずにまた撮りはじめます。
 どうしても構図が納得できないようです。かなりのプロ意識を感じます。



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 前は青白いLEDが目立っていましたが、ここ数年で多くのお宅が、黄色っぽいLEDに買い替えたようですね。
 どうしてもまだ、LEDの深みのない光は好きになれませんが、だんだんマシにはなってきてますね。



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 うちのクリスマスツリーは23日になって、宿六が「やっぱり出したい」と、ゴソゴソ包みを開いて飾り始めました。
 で、「だいたい出来たから!」と自信満々で言うので見に行ったら、このありさま。へびみたいにのたくって、ライトも半分は切れてるじゃないの…
 へし曲げられた枝を整えて、ライトも足して飾りつけ終えるのに、2時間くらいとられました。次回は最初っから、私ひとりで飾ろう…そのほうが早いから。



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ここぞと笑わせに来るチャスカ様…


 年末年始は、クリスマス、大晦日、新年、結婚記念日と、いつもながら地雷だらけの日々です〜
 やはりこれも例年通り、腹立たしいことばかりでしたが、動物たちのおかげで笑ってすごせました。



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「キャッ!…今のなに?!」
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「おばあちゃん助けてー!」


 たくさんの花火は、生まれて初めてだったコヤチャ。
 零時をまわってすぐの大騒ぎに、びっくりしたらしく、必死な顔で私に駆け寄ってきたのが、本当にかわいかったです!うまく撮れなかったけど。
 親たちはもう慣れっこなので、平然としています。



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 また花々にも、大いになぐさめられています。
 ハカランダは今季はとても花が多くて、いまだに順々に咲き続けています。
 高木になるハカランダの花は、なかなか近寄っては見られませんが、新年は一枝折ってじっくり観察できました。



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 二本のミチカ・マグノリアも、11月からずーーーっと今にいたるまで、毎日のように香り高い花を咲かせています。
 低い枝にもたくさんつぼみがついたので、ときどき家に持って入って、ぽろぽろ落ちるマッチ棒みたいな蕊を眺めて楽しみます。この花ひとつで、家じゅうが馥郁たる香りでいっぱいになります。



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 童顔のハスミニは、今年も瞳をキラッキラさせてクリスマスシーズンを楽しんでいます。
 この季節は、ちょっといたずらできる小物が増えるから、大満足なんですよね。



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 でもこのキラキラも、もうすぐおしまいです。
 役目が終って洗濯されたエルフの下で、急に空しさにとりつかれたハスミニ…



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 でも、クリスマスシーズンのあとは、当地は夏休み。
 夏休み、=海の気分、=わが家では魚の消費が増える…ことを思い出し、すぐに元気回復したハスミニ猫。



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「クリスマスあとよりも、
完食後の空しさのほうが、きついです」
とはハシンタ姐さんの貴重なご意見です。



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