ペルー談話室 玄関に戻る

2021年11月12月 非常事態令下の「一服いかが?」
<その8>


211105-06.JPG



非常事態令まだやってんのかいペルー日記

2021年11月5日(金)
(54)<樹脂粘土の沼 @聖家族>


2021年11月11日(木)
(55)<楽しい妄想「海の家」 モジュラーハウスがいいかも!編>
<海鳥たちのお食事風景>


2021年11月22日(月)
(56)<しぶしぶ注射>
<早めにクリスマス始めました>


2021年11月25日(木)
(57)<BEFOREIGNERだったと思えば…>
<歴代住人の庭>


2021年12月8日(水)
(58)<ふたたびのペンキ熱 A外壁の青>
<ワクチンいやいや二回目接種とドノフリオ傘>
<お月さんの修理>


2021年12月18日(土)
(59)<樹脂粘土の沼 Aお告げの天使><箱庭アンデス>

2021年12月26日(日)
(60)<樹脂粘土の沼 B三賢王がやってきた>


2021年12月30日(木)
(61)<クリスマス会>



2021年11月5日(金) 午後4時の室温24.7℃ 外気温21.7℃ 快晴!
非常事態令まだやってんのかいペルー日記(54)
<樹脂粘土の沼 @聖家族>



211105-01.JPG


 その後もあいかわらずのペルーです…
 去る10月31日「クリオージャ音楽の日」(もしくはハロウィン)には、「自宅で宴会をやってはならぬ」というご法度が内務大臣から出されていました。
 ところが31日、あろうことかその内務大臣の自宅で、クリオージャ音楽をガンガンかけての大宴会が開かれていた、というちょっと愉快なニュースがありました。
 翌日内務大臣側は、「音楽がうるさかったのは隣家だ!」という下手な言いわけをした、というところまでは宿六から聞きましたが、それからどうなったんでしょうねえ。


 そんなアホな世間とは、おかげさまで無関係に生きる私めは、このところ樹脂粘土が楽しすぎて困っております。
 練って形を作って、オーブンで焼くところまでは、お菓子作りの楽しさです。それからもっと楽しい彩色ですが、陶器のように仕上げたいので、真白に塗ってから色づけすることにしました。
 粘土を成形する道具や絵の具類は、なにも買わずにありあわせ、アンティクーチョ(牛ハツの串焼き)用の長い串や、四半世紀もののアクリル絵の具などを使っています。
 はじめにあまり勢い込んで道具を揃えると、私はたいてい続きませんので…



211105-02.JPG


 とはいえ作業机がないのは、ちょっと不便です。絵に使う製図台は粘土で汚したくないですし、とすると食卓しかありません。
 でもふと思いついて、私のtaller(仕事部屋…仕事してないけど)の窓辺に、猫のバードウォッチング用に置いていた長机を、窓に直角になるよう90度動かしてみました。
 たったそれだけで、左手から自然光が入る最高の作業スペースができ、部屋も急にほんとのtaller(工房)らしくなりました!
 なんで今まで気づかなかったのだろう…



211105-03.JPG


 まだ制作途中ですが、聖家族はこんなふうになってきています。
 私が作ると、なぜか女性の態度がでかく、男性は腰が低くなりますね…


 聖母には星空のようなマントを着せたかったので、色は初めから青、と決めていました。
 また、あえてアンデス趣味は排除しています、アンデス風の聖家族なら、市販品にいくらでもありますので。
 こういう手作業に打ち込んでいると、時間を忘れます。いえより正確には、「時間など幻想にすぎないことを思い出します」と言ったほうがいいですね。



211105-04.JPG


 ご夫婦のうしろ姿。
 ちょっとななめに動きをつけたところが、自分では気に入っています。



211105-05.JPG


 こちらはニーニョ・マヌエリート(幼子イエス)と、ニーニョ専用ベッド。
 12月になったら、例のクルス・パタに、まず聖母と旦那さんを飾ります。
 でも幼子イエスは、24日深夜までは飾らないのが習わしです。(単にまだ生まれていないから、です)。
 それまでクルス・パタが寂しくないように、このベビーベッドをどんと据えておこうと思います。



211105-06.JPG


 マヌエリートを座らせると、こんな感じです。手にしているのは、うちの庭でとれる特大柘榴です!
 これから順に、三賢王、天使、羊飼い、動物などを作るつもりですが、わが家らしく柘榴を共通モチーフにしようかな、と思っております。



2021年11月11日(木) 午後7時半の室温23.4℃ 外気温19.6℃ 曇り
非常事態令まだやってんのかいペルー日記(55)
<楽しい妄想「海の家」 モジュラーハウスがいいかも!編>



 本題に入る前に…
 (以下政治がらみのお話は、ニュースを斜め読みしている宿六からの又聞きを、私がウラもとらずに意訳したものです。
 ほとんどは創作もしくはデマかも、くらいにお考えの上、お楽しみください)


 自分で禁止したハロウィンパーティを、堂々自宅で開いていたあの内務大臣、その後退職に追い込まれたそうですね。
 でもパーティのせいではなくて、もともとあやしい前歴が問題になっていたからだそうです。


 以前はふつうの警察官だった由ですが、その警官時代に、服務規律違反が多数あったそうです。
 具体的なことは知りませんし調べようとも思いませんが、きっとパトカーを極力動かさずにおいて、浮いたガソリンを横流しする…とか(←これってよくあるお話)、その手のことじゃないかと想像いたします。
 せっかく内務大臣にまで成り上がっても、同じような規律違反をやってしまう、というのが人間のおもしろさですね。


 鳴りもの入りで始まったカスティージョ政権ですが、なんかこんなショボいお話ばっか、聞こえて来ております。
 発足後だいぶ月日もたちましたが、要はまだなんにもしてないんじゃないでしょうか。そのほうがいいんですけどね…
 何よりも人材にとことん恵まれない政権らしく、カスティージョが政府要職につける人々は、軒並み前科持ち、もしくはあやしげな前歴持ち。
 そのため就任させては非難ごうごう、デモなど起きてしかたなく退任させて…を、ひたすら繰り返している、というのが、私の大雑把な印象です。


 つい最近は、交通監督局(ていうのかな?)のトップに任命された女性が、実は万引き前科が複数あるとバレて、すぐやめたそうです。あらららら…
 初めて知りましたが、ペルーでは、850ソル(約2万4千円)以上の盗みだけが犯罪とされるそうです。(なのでもしペルーで盗みをするときは、必ず849ソルまでにしましょう!?ね??)


 で、その元局長さん、
 「私がやったのは、すべて850ソル未満のhurto(万引きなどの、ちょっとしたちょろまかし行為)にすぎない。決して盗み(robo)ではない!」
 と開き直っていたとか。これがほんとの盗人猛々しい…ですが、でもこれくらいの神経だと、人生ほんとうに楽しいだろうなーと思います。
 うーん確かにある意味、見習うべきところもあるお話かもしれませんね…



211111-27.JPG


11月にここまで出来てれば、
なんとか新年には使えそう??


 さて。かれこれ20年は探し続けている海の家ですが、やっと考えもまとまってきましたので、今度は海に適した家の建て方など、調べてみようと思い立ちました。
 実地で見学するにも、今ごろがいちばん向いておりますし。と申しますのも、なんとか夏休みに間に合わせようと、突貫工事中のおうちがたくさんあるからです。


 当地では、年末から始まる長い夏休み中は、海辺での建築が禁止されています。
 それなら4、5月ごろにさっさと工事を始めればいいのに…と思いますけど、そこはそれペルー人。ほとんどの場合、10月になってから夏が来るのを思い出し、大慌てで建て始めるようですね。



211111-28.JPG


おーーー大々的にやっとるやっとる…


211111-24.JPG


 こちらの小さなコンドミニアムでは、11月現在、なんと7軒ほどが同時に建築中で、もう大騒ぎとなっております。
 「カスティージョ政権下ではみな萎縮してしまって、建築工事などもすべて凍結される」というのが大方の予想でしたが、「長いロックダウン中、家に閉じ込められてこりごりしたので、今のうちに逃げ場を作っておきたい!」という思いのほうが、カスティージョ怖さよりずっと大きいようですね。


 でも、学校での授業がない今年は、もうずーっと海の別荘で暮らしているお宅も少なくありません。
 なのにそこらじゅうを工事で汚され、騒音もひどく、住人のみなさんはたいそうお怒りのご様子です。リマの人たちって、自分の工事のときはやりたい放題なのに、人にはたいへん厳しいですしねえ。
 うちもアパート屋上に増築したときは、近所中からつるし上げを食らって往生しました。ああいう下らない思いは、もう二度としたくないですねえ…



211111-25.JPG


 そこで宿六の提案で、簡単に手早く家が建てられる、プレハブ式のモジュラーハウス、というのを見学してきました。
 ここは、スペインのモジュラーハウスの建築販売&賃貸をしている、Alquimodulという会社の社長さんの別荘です。
 ふだんは自分で使いつつ、お客さんがいるときだけ展示場がわりに案内しているそうです。良い考えですね。


 モジュラーハウスは、たしかに利点が多そうです。
 なによりも現時点では、建築許可なしで建てられる!というのは大きいです。
 それだけでも家作りにかかる日数が、軽く半減はしますから。当地の建築許可は、「まともに申請すると」ほぼ永遠に下りませんので。


 また古典的なレンガ建築に比べて、費用も工期も、それから周辺へのご迷惑も、大幅に抑えることができます。
 さらに、潮風ですぐ家が傷む海辺では、セメントよりモジュラーハウスのほうが惜しげがなくて良さそうです。そもそもが十数年もってくれれば、私たちにはじゅうぶんですし。


 唯一の気がかりは、鉱山の仮設住宅風に見えないかな?…ということでしたが、実際に行ってみると、ぱっと見はよくある当地の別荘とほとんど変わりません。細部の多少の安っぽさにさえ目をつむれば、じゅうぶん使えそうです。


211111-26.JPG


 予算次第では、まず一階だけ建てて、そのうち二階を追加、といったこともできるそうです。
 またいずれ別荘が不要になったときは、家だけほかの場所に移築して、土地を更地にして売る、なんて芸当も可能です。


 同じ社長さん宅に、もうひとつ、もっと小さなモジュラーハウスが建ててあります。これ、ちょっとかわいいですね。
 寝室ひとつと、浴室、キチネットだけの25平方メートルのおうちで、屋上はテラスとして使えます。また、同じものを二つ、三つと重ねることもできるそうです。
 もし手っ取り早く海の家がほしければ、これをまずひとつ建てて使い始め、そのあと上や隣に少しずつ建て増していく、なんていうのもありかもしれません。


 またいろいろと、おもしろい可能性が見えてきた気がします。


<海鳥たちのお食事風景>



211111-02.JPG


 11か月ぶりに海に行きました。ブ浜、ことブハマ浜です。
 ここはほんとに良い砂浜です。傾斜がゆるくて、波がうすーーーくどこまでも広がるこの感じ、大好きです。



211111-01.JPG


 浜にはだれもいなくて、シギの大群だけがくつろいでいます。


211111-05.JPG


 あいかわらず、高級食材のカラがいっぱい落ちています。今日はマテガイが目につきます。


211111-22.JPG


これですね…


211111-03.JPG


 こちらにも、ずいぶんとおいしそうな落とし物が。いったい誰が忘れていったのでしょう?


211111-23.JPG


これの原料ですね……


211111-04.JPG


 波打ち際を右往左往するシギ。
 たぶんミユビシギ(playero arenero, Calidris alba)です。9月ごろ、はるかアラスカからやってくる渡り鳥です。



211111-12.JPG


 食べたり水浴びしたり、大忙しです。


211111-07.JPG


 こちらではキョウジョシギ(京女シギです、狂女シギではない)が、おなじみムイムイ(Emerita analoga、スナホリガニ)を捕まえています。


211111-08.JPG


 砂の上を転がしながら、ちょっとずつちょっとずつ齧っています。ムイムイには生まれたくないな。


211111-09.JPG


 カモメは、も少し食べでのありそうなカニを捕っています。
 たぶん、若年のミナミオオセグロカモメ(Larus dominicanus)です。



211111-06.JPG


 ペルーカモメ(Larus belcheri)も、せっせとカニ捕り中。


211111-10.JPG


 ひときわ大きなカニを捕まえたカモメが、そのまま上空へ、すーっとのぼっていきます。


211111-11.JPG


 そして……あ!カニを落とした!
 はじめ取り落としたのかと思いましたが、何度も何度も同じことを繰り返します。



211111-13.JPG


 なるほど、こうして殻を割って食べるのですね。これはムイムイより辛い運命ですね…


211111-14.JPG


 こちらではまた大きなのを捕って、とても嬉しそう。
 さっき落ちていた大きなカニ足も、きっと何度落としても割れずに、食べ残したものだったんでしょうね。



211111-15.JPG


 今日は曇りですが、水平線のあたりだけ雲が切れています。うまくすると夕日が見られるかもしれません。
 噂のラ・ニーニャ現象のせいでしょうか、初夏とはいえ海風が冷たく、身体が冷えきってしまいましたが、もう少し待ってみます。



211111-16.JPG


 まだ太陽は見えませんが、だいぶ日が傾いたらしく、空が少し染まってきました。
 そこをミユビシギの大群が通ってゆきます。



211111-17.JPG


 17時58分、やっと太陽が顔を出しました!


211111-18.JPG


 この色を見るだけで、少しあったかくなります。
 絶好の影絵モデルになっているのは、愛嬌者のアメリカミヤコドリ君です。



211111-19.JPG


 みるみるうちに沈みゆく夕日の前で、ミユビシギたちは引き続き、なんともせわしなくエサ捕りをしています。


211111-20.JPG


 18時11分。あーあ、もう沈んじゃった。


211111-29.JPG


 そしてミユビシギも、一斉に飛び立ちましたが…


211111-21.JPG


 また近くに降りたって、ちょっと休むとすぐエサ探しの再開です。
 シギは基本、脚やクチバシの触覚だけで餌を捕るそうなので、薄明かりがあれば、夜もお食事を続けられるのかもしれませんね。
 来年はぜひ海辺に家を建てて、夜の海鳥の観察など、してみたいものです。



2021年11月22日(月) 午後5時の室温21.5℃ 外気温19.8℃ アンデスの雨季の気配がする曇り
非常事態令まだやってんのかいペルー日記(56)
<しぶしぶ注射>



211119-01.JPG


いつも見て笑っている
ルリン地区の落書き。
「ひとごろしワクチン」ですって。


 ペルー政府は、とうとう事実上のワクチン強制に乗り出しました。
 いくら感染者が激減しても、買ってしまったものは使い切らないと、政治的に困るのかしらね。迷惑なことです。


 ワクチンは義務ではない、と言いつつ、12月15日以降、ワクチン二回接種の証明書を提示しないと、デパート、スーパーマーケット、レストラン、事務所…その他あらゆる「屋内の施設」に入れなくなるそうで。
 いちおう、クリスマスのお買い物混雑で感染が広がらないように、という建前らしいですが、今さら感染拡大予防と言われてもねえ。もうとうに全員に行き渡ってるでしょうに。


 ワクチン反対派も多いので、実施まではモメると思いますし、その結果おやめになるかも?しれません。またこのご法度じたい、年末年始だけでサっと取り下げるのか、それとも半年くらい出しっぱなしになるのか。
 なにしろペルー、ですので、どう転ぶかまったく予想がつかないのはいやですね。



211119-12.JPG


「ペルー政府よ、あんたも正しい!」(笑)


 なので、ワクチン事実上強制のニュースを知ったあと、
 「しばらくなら打たずに乗り切れるかな?でも、どうしても行きたいところができたら困るかも?」
 等々、ああでもないこうでもないと、いろんな無駄な想定&心配が頭の中を行進しはじめました。でも数分でアホらしくなってやめました。
 馬鹿(ペルー政府)に、まともに向き合うほど馬鹿なことはありません。あっさり諦めて注射してしまいましょう。


 私はワクチンに関しては賛成派でも反対派でもない、無関心派です。
 あんなもん(私には)毒にも薬にもならん、と思うので、ありがたくもなければ怖くもありません。
 単に他人に触られるのがいやで避けていましたが、はいはい、わかったわかった、You are right, you are right, 打ちゃいいんでしょ、ということです。



211119-02.JPG


 注射会場は、パチャカマックのスタジアム。ほどよい薄曇りの日で、行列もなく、かんたんに済みました。
 案内の人や看護婦さん、お医者さんは、みなさんとても丁寧で親切で、注射もチクリとも痛みませんでした。
 毎日こんな野外で働かされて、たいへんでしょうに、昔と変わらずみなさんとことん優しいのにも、つくづく感心しました。


 ひさしぶりにペルーの人たちに会って、「だから私はペルーを選んだんだっけ」ということを思い出せたのは、まったく予想外のワクチン副反応でしたよ!


211119-03.JPG


まあこう綴りたくもなるよね…
例のComo suena, pues...ってやつですね。


 ただ、うっかり中国製ワクチンが当たると、米国入国時に使えないから困るな、というのは気になっていました。
 でも私たちのような初期年寄り、あるいは健康問題があったり高度肥満だったりする人は、自動的にファイザーだそうです。良かった。
 で、そのPfizer、きっちり綴りをまちがえて笑わせてくれるのも、さすがペルーのおもてなし!



<早めにクリスマス始めました>



211119-04.JPG


 惑星挙げての発狂状態が、もう二年も続いてうんざりなので、今年は早めにクリスマスを始めます。まずは、ベンハー君の「小さな家」をクリスマス化。
 でも、先代庭師・永吉君に支給したクリスマス用品は、とうに破壊されて跡形なし…なので、ワクチン副反応の遠雷系頭痛をおして、新しいのを仕入れてきました。
 一家をびっくりさせたかったので、うちでこっそりツリーを組み立ててから、ゆっさゆっさと「小さな家」に持ち込みます。おかげさまで大ウケしました!



211119-10.JPG


 期待通りに驚いてくれた百合子ちゃんと、臨月のゼラニウムお母さん。
 「クリスマスツリーは生まれて初めて!今年はいつもとぜんぜん違うクリスマスね!」
 ペルーではやはりナシミエント(聖家族の飾り)が主役なので、クリスマスツリーは持っていないおうちが多いです。



211119-06.JPG


 点灯した瞬間の百合子ちゃん。お父さんも娘の笑顔が嬉しそう。
 いいねえ、絵に描いたようなクリスマスですねえ!



211119-05.JPG


 百合子ちゃんいわく、
 「ツリーは映画やアニメで見てたから、ずっとほしかったんだけど買ってもらえなくて。
 だから今年は、パパ・ノエル(サンタさん)に『クリスマスツリーをお願いします』って手紙を書こうと思ってたの!」
 それを聞いたお父さん、一瞬ヒヤッ…としたようです、ベンハー君これで助かったね!



211119-09.JPG


「キラキラはいいなあ、
やっぱりクリスマスはキラキラ!」
と百合子ちゃん。(こうしてみると、
百合子ちゃんはモナリザ顔ね)


 結局今まで、詳しくご紹介するひまもなく来てしまいましたが…
 今度の一家はほんとに素直で明るくて、うらおもてを一切感じさせない人たちで、私たちも一緒に暮らしやすくて喜んでおります。



211119-11.JPG


 次はイルミネーションの取り付けです。
 百合子ちゃんが「わーい!わーい!」と、花のあいだを跳ねまわっています。
 この一家が来てから、「小さな家」の庭と畑も、とてもよく手入れされるようになりました。



211119-15.JPG


 今年の7月、ベンハー君到着時の「小さな家」の菜園…というかただの荒れ地。
 永吉君が残していったゴミの山を捨てて、ざっと耕し始めたところです。



211119-16.JPG


現在の同じ場所!!


211119-18.JPG


嬉しそうに菜園を見回るベンハー君


 ケール各種、キャベツ、フダンソウ、ホウレンソウ、トマト、ハーブ、トウモロコシなどが植えてあります。
 とても三人家族で食べきれる量ではないので、近所のお店と話して、毎週買ってもらうことになったそうです!
 リマでは人気のケールも、パチャカマックではよく知られていませんが、お店の人が試食して気に入って、すぐ追加注文も来たとか。


 なお菜園がこうなってから、うちじゅうのシロチョウがこちらに集結するので、私は別の意味でちょっと助かっています。シロチョウ不在のこのすきに、ナスタチュームを増やさねば…


211119-17.JPG


 菜園のとなりの芝生コーナーも、花と芝がよく手入れされて、永吉君のあのばっちい庭先と同じ場所とは、とても思えません。
 毎日ゼラニウムちゃんと百合子ちゃんが、アルパカティー(※)をまいて丹精しています。


 (※)アルパカティーは、井戸水にアルパカの落とし物を浸したもの。最高の液体肥料です。


211119-07.JPG


 イルミネーションのお話に戻ります。
 ためしに灯した瞬間、「うっわーっ!」と、おなかの底から歓声をあげる百合子ちゃん。かわいいねえ。



211119-08.JPG


三人そろって良い笑顔!
「おうちが金色になった!」と百合子ちゃん。



211119-19.JPG


 アンデスの農村部では、夕方、家の外に寝ころんでのんびりする家族をよく見かけます。
 ベンハー君たちもいつもそうしていますが、イルミネーションをつけてからは、夜まで座っているようになりました。



211119-20.JPG


 週末は私たちも立ち寄って、ベンハー君のふるさとのお化け話など拝聴してきました、そのうち絵に描きます。
 わが家に「高山病なしで楽しめるアンデス」が出現してくれて、毎日なんだか心楽しいです。
 この写真は、ベンハー夫婦がまったく同時に、「そこにレモンが一個ついた!」と言った瞬間。こういうシンクロは、仲がいい何よりの証拠ですね。



211119-13.JPG


 クリスマスツリーの飾りつけをしながら、なにやら笑いが止まらない様子の百合子ちゃん。
 「ツリーは一日中つけときたいけど、ダメって言われた……」
 とつぶやくので、「12月24日から1月6日まではそうしていいよ」と、わが家の最高司令部(私)から許可を出しておきました。



211119-14.JPG


 「エルモソ…(美しい…)」とつぶやきながらツリーを整えるお父さん。
 お父さんがいちばん喜んでる風でもありましたね。



211119-22.JPG


私たちも古いイルミネーションを引っぱり出します。
お月さんはとうとう壊れたので、
臨時にソーラー豆電球を巻いてみましょう…


 ベンハー君のところは、もうすぐ三番目の女の子も生まれますし、一家にとって最高のクリスマスになればいいな、と思います。
 ほんとは長女の薔薇子ちゃんも、今ごろはパチャカマックに来ているはずでした。
 でも、里帰り中のふるさとで幼なじみと再会、今月から急遽セルビナクイ(結婚前の同居)を始めたそうで、それもまたおめでたいことです。


 ただお父さんだけは、セルビナクイが始まって何日もしてから、長女にそんなリモート彼氏がいたことを「初めて知った」そうです。(かわいそ…でもありがち…)
 それでここ数日、「長女とはもうぜったいに、もう金輪際、話はしないんです、私は!」とか拗ねていましたが、イルミネーションで明るい笑顔が戻って良かったです。



211119-21.JPG


かろうじてお月さんに見える…かな?
来年はちゃんと取り替えましょう…


 まあお父さんも、蚊帳の外に置かれて悔しいのは、ちょっとわかりますけど。
 でもいまどき、自分でさっさと独立してくれる子供なんて、世界的には貴重なんですから、耐えるんだお父さん!


 どっちにしても第三子ちゃんが生まれて、それから年末に新婚夫妻がやってきて、みんなで賑やかにパネトンでも切り分けたら、全部あっさり解決ですね。
 この一家の末っ子と、この一家の婿さんなら、きっとかわいい人たちだろうと思うので、あまり人間好きではない私までちょっと楽しみにしています。


 そうそう、百合子ちゃんのかわいい話。
 「ねえねえ、奥さんは日本語が話せるの?日本語では、『こんにちは』ってなんていうの?
 えーっとそれからね、私の名前は、日本語でなんていうの?」…うふふふふふ。


 「日常的なおつきあい」が大の苦手のわたくしが、この一家にはこうしてあっさり順応してしまいました。


2021年11月25日(木) 午後7時の室温23.2℃ 外気温20.5℃ 晴れのち曇り
非常事態令まだやってんのかいペルー日記(57)
<BEFOREIGNERだったと思えば…>



211012-17.JPG


 先だって、ノルウェイのおもしろいドラマを見ました。

 …オスロ沖の海中から、なぜか過去のさまざまな時代の人たちが、年に1万人を超えるペースで、休みなしに浮上してくるようになりました。
 彼らはやがて、BEFOREIGNER(BEFORE+FOREIGNER)、過去からやってきた異人、という造語で呼ばれるようになり、彼らと現代人とが、何とか共存の道を探るほかなくなる…、というお話です。


 たとえば先史時代から来た人でも、現代にうまく順応して、「クロマニヨン・セキュリティ」なんて強そうな警備会社を立ち上げ成功する例もあれば、完全にドロップアウトして公園の木の上で暮らす人もあります。
 いっぽう現代人のほうも、19世紀の男性と結婚して、厳格なビクトリア時代風の暮らしを受け入れる女性などもいたりします。


 このトシになりますと、どんなドラマを見ても目新しさがありませんが、これは久々におもしろかったです。

 「過去の人間は遅れていて、現代人は進んでいる」という単純な図式ではないところも、気がきいています。
 ドラマのヒロインは、11世紀からやってきたバイキングの女戦士で、刻苦勉励の末、警察署に就職。そこでバイキング的な捨て身の手法で、難事件を解決していきますが、タッグを組む現代人上司のほうは、良い人だけれど弱いところがあって、薬物依存に苦しんでいます。


 でもしばらく見ていて気づいたのは、おそらく私は、ノルウェイなど「先進国」の人たちとは違う視点で、おもしろがっているのだろうな、ということです。
 このドラマが、今のヨーロッパの移民問題を遠回しに扱っているのは確かでしょうが、でもそれは、ごく最近の現象にすぎません。
 でも当地ペルーでは、首都と地方、お金持ちと非お金持ちの、いわゆる「文化度」の極端な差、同時代とは思えないほどの差が、まったくあたりまえのこととして、ずーーっと存在しているわけです。



211122-08.JPG


リマではちょっと郊外へ行けば、
軽く20世紀初頭まで戻れますもんね


 ベンハー君が生まれたアプリマックの小さな村も、なんと2000年まで電力がなかったそうです。
 自動車を初めて見たのも、21世紀になってから!だったそうです。
 でもその後ベンハー君たちは、都会暮らしの便利さは大いに楽しむようになり、しかし同時に、故郷にいたころの手まめさは、まったく失わずにいます。これは順応の成功例でしょう。


 そのベンハー君と比べると、パチャカマック育ちの永吉君のほうが、まだしも都会的な暮らしに慣れていた…はずですが、そこはまあ個人差が大きいんでしょうね。あの、何もかも乱暴に扱って壊してしまう感じは、こう言ってはわるいですが(事実だからわるくないか)少々クロマニヨンな感じがします。

 でもどちらも、今生で私が出会った興味深い経験、という意味では、良い悪いという単純化はできません。
 私だって、インターネットがない時代からやってきた、立派なBEFOREIGNERですしねえ。



211012-18.JPG


 ドラマのタイトルバックに、こういう情景が出てきます。
 ビルの窓外が真黒に焼け焦げていますが、これは先史時代の人たちが入居したものの、電力やガスを使いこなせず、アパート内でも焚火で料理するため、こうなってしまった…ようです。


 これを見たとき、「…あれ?なんで既視感があるの?」と不思議に思ったんですけど、あとで気づいて宿六と大笑いしました。
 永吉君一家が去った直後の、「小さな家」の台所が、完全にこのまんま、だったんです!



211122-07.JPG


 誇張ではなく、こんな感じでした。(あまりにばっちくて写真を撮らなかったので、BEFOREIGNERとの合成写真でお伝えいたします)
 台所でキャンプファイアでもしてたんでしょうか、ガス台のところから天井近くまで、まっくろくろに焦げていました。もう永吉君一家のことは、火事出さなかっただけ上等、といたします…



211012-15.JPG


 その後ベンハー君が、焦げたところを厚み1センチくらい(笑)削ってから、きれいに塗り替えてくれました。
 (このカスタードクリーム色のペンキ、大好きです、四方を塗ると、午後の明るい光にふわっと包まれた感じになります)


 ベンハー君は、また壁を汚さないよう、気にして板をあてて使っていたので、あとでタイルを貼りました。


210827-02.JPG


 良い機会なので、永吉君のマイナス遺産について、まとめてしまいましょう!(まだほかにもあったのですわ)

(1)は、壁の焼け焦げがあったところ。

(2)の水道は、ダダもれ状態で放ってあったことが発覚しました。
 ここ二年ほど水道代が異常に高かったので、永吉君には何度も確認するよう言いましたが、いつも「どこも漏れてません」との返事…いったいどこまでものぐさだったんでしょう。これを直してから、水道代がだいぶ安くなりました。とほほ。


(3)電子レンジも破壊されていました。Panasonic製でわるいものじゃないのに、あちこち錆びついていて、どんな使い方をしたらそうなるのか理解不能。

(4)いちばん怖いのは、セメント床のあちこちに、鋭利な刃物で掘り返したような穴があいていたこと!…もう文字通りのpicapiedras(石をつつく人、石器時代人)ですね。


210827-01.JPG


 ほかにもまだあります。
 窓ガラスは、上の小窓が何枚もなくなっていました。割ったのか、持ち去ったのか…
 そこに緑の色ガラスを入れたら、楽しい雰囲気になってゼラニウムちゃんが喜んだので、まあ良かったです。


 洗濯機の脱水槽が動かないのは、電器店HIRAOKAの修理の人が来て、すぐ解決しました。
 フタをゆっくり閉める部品(ソフト閉止ユニット)が壊れただけだったので、それをはずしたらすぐ脱水できるようになりました。
 でも修理の人が、ちょっと怯えたように言いました、「私、長年洗濯機を修理していますが、この部品が壊れたのは初めて見ました。よほどこの家の奥さんがヒスで、毎日フタを叩きつけていたのかな…」と。


 庭のすみに丸めてあった折り畳み式プールも、広げてみたら、ナイフでグサグサ刺したような穴がたくさんあいていました。
 あるとき急に永吉君が、「近所でネズミが出たから、もうプールは子供に使わせません」と妙なことを言いだし、以来プールを出さなくなったのですが、あれはものすごく下手な嘘だったんですね。



211012-16.JPG


 今年6月、ベンハー君は前の職場で働きながら、週末ごとにうちにやってきて、「小さな家」の大掃除やペンキの塗り替えをしてくれました。
 特に冷蔵庫の汚れがひどかったそうで、どうやら前の住人は、魚やお肉をそのまま、お皿も使わずじかに放り込んでいたらしい、とのことです。
 そういえば宿六も前に、修理の人を「小さな家」に案内し、冷蔵庫のドアをあけたとたん、中の丸ごとのブタの顔と目が合った、と言っていました。


 幸いベンハー君が来てから、「小さな家」に漂う異臭も消えて、もとの清潔なかわいいおうちに戻りました。
 今では奥のこの「テレビ室」が、一家の大のお気に入りのようです。テレビは壊されていなくて、ほんと良かったです!!
 リモコンは前にお話しした通り、惨殺されていましたけれど。



211012-19.JPG


 寝室の壁もひどかったんですけど、すっかりきれいになりました。
 あんまり嬉しくて、今回はベッドも備品として入れちゃいました。二段ベッドなつかしいなあ。
 薔薇子ちゃん百合子ちゃん姉妹用、のつもりでしたが、薔薇子ちゃんは結局、ここには住まないことになりました。
 でも第三子誕生直前に、扶養家族がひとり独立してくれるなんて、ベンハー君は実のところ、とっても運がいいと思います。



 永吉君については、恐らく皆さんの目には冷たく映るであろう分析をしましたが、彼も雇った当初は希望通りの人でしたから、出会えてよかったと思います。
 要はいつも、その時々の自分が望んだとおりの人材に出会うのですよね。その意味では、すべては私自身の責任です。


 それに思い起こすと、どの人にも必ず長所がありました。
 アパート時代のお手伝いさんは、手癖がわるくて大嘘つきでした。身も蓋もない言い方ですが、事実なのでしかたありません。
 でもそれは、表現力がある、ということでもありました。えもいわれない情感を込めてふるさとを語る、きわだった才能がある人だったので、おかげで私はリマに居ながらにして、どれほど多くの取材が出来たかわかりません。


 また彼女は私の人生初のお手伝いさんだったので、当時は距離の取り方がわからず、彼女の一族の大家族争議に完全に巻き込まれました。
 でもそれは、アンデスの人々の心情に深く立ち入らせてもらうという、得難い経験でもありました。二度とはやりたくないですけどね。


 次いで、パチャカマックでさいしょに雇ったのが、アントワネットちゃん。
 彼女は正直者でしたし、体力があって、水まきも掃除も完璧でした。何も言わなくてもすべての埃をとってくれるので、私ははじめパチャカマックは埃が少ないんだ、と思いこんでいました。
 でもじぶんの娘との関係がわるく、ついには家庭内暴力事件に発展したため、やめてもらいました。


 それで次はぜひとも、「のんびりした人でもかまわないので、とにかく家族と仲良く暮らしてくれる人がいい」と、強く願いました。(そう天に注文を出すとき、「のんびりした人でいい」という部分を、いささか強調しすぎたようです)
 そうしてやってきた永吉君は、注文通りにのんびりとした、家族が大事でならない、とっても良い人でした。でも同居家族のだらしなさや不愛想さは、少々常軌を逸していました。


 こうして経験を重ねたおかげで、私も注文の出し方が上手になったのですよね。今回はほしい人材のイメージが、非常にはっきりしていました。
 「仕事への意欲と体力があり、でも何か不満や希望があるときは、卑屈にならずにはっきり言える明るい人。
 またついてくる家族は、植物やアルパカや蝶やクリスマスをいっしょに楽しめる、好奇心旺盛でかわいい人たちでありますように!」


 今のところばっちり注文通りです。


<歴代住人の庭>



211122-03.JPG


 一代目、アントワネットちゃんの庭…というか、もろこし畑。


211122-02.JPG


 年末年始は、「リアル・アンデスのおばあちゃん」もやってきて、とても風情がありましたが、いかんせんこのおばあちゃん、まったくスペイン語が通じず、交流不可能なのは残念でした。


211122-01.JPG


 二代目、永吉君時代の悲惨な庭先。
 永吉君一家は6年以上うちにいましたが、とうとう靴をきちんと並べることすら、覚えませんでしたねえ…



211122-04.JPG


 そして三代目、ベンハー君の庭。
 家の右手の菜園は、前回お目にかけた通りで、こちら左手は芝生のご休憩コーナーとなっております。
 そこでは毎夕、こんな心なごむ情景が繰り広げられています。まさに三度目の正直。「小さな家」も喜んでいますし、私も嬉しい。



2021年12月8日(水) 午後6時の室温23.4℃ 外気温21.4℃ 快晴のち曇り
非常事態令まだやってんのかーいペルー日記(58)
<ふたたびのペンキ熱 A外壁の青>



211012-03.JPG


 リマの花屋さんには、青い花ってあまりありませんね。
 その少ない選択肢の中から、できるだけ青い花を選び出しては、庭に植えています。



211012-06.JPG


 特に期待できそうなのが、丈夫でよく増えるブルーデイジー。
 家の外壁も、こんな印象の青にしよう!と思いつきました。



211012-09.JPG


 ただブルーデイジーは、少し紫に寄りすぎなので、もう少し灰色寄りの、こんな色はどうかな…と、試し塗り。


211206-15.jpg


 気に入ったのでゴーサインを出すと、ベンハー君早い早い!
 ポーチを塗ったときと同じに、あたりはまったく汚すことなく、テキパキと塗り進んでいきます。



211206-19.jpg


 そしてたった数日で、外壁四面の塗装が終り、家が生まれ変わりました!
 やや控えめな青かな、と思った色も、晴天の正午にはこれくらい冴えた青に見えて、それがまたいい感じです。



211012-28.JPG


「おいしそうな良い色だこと!
私が(食べるのが)好きなルリマツリ色ね」



211206-20.jpg


 少し離れて家を見やると、遠くにちょっと青空がのぞいている…ようにも見えます。
 どんよりした曇りが続く冬にも、これなら気分が明るくなりそうです。



211206-01.JPG


 今年はたくさん花をつけたハカランダ。
 この花の色とも、なかなか相性の良い水色です。



211122-06.JPG


 夕焼け空との組み合わせも、わるくありません。


211122-05.JPG


 良かった、オレンジ色のイルミネーションも、けっこう映りがいいですね。
 さて次は、どこを塗りましょう?



<ワクチンいやいや二回目接種とドノフリオ傘>



211206-08.JPG


パチャカマックの注射会場は
ちょっとだけクリスマスになってました


 昨日、しぶしぶワクチン二回目を打ってきました。
 前に会った係の人が、双方マスク姿なのに覚えていてくれて、別れの言葉は、「じゃあ次は、三回目接種の時に会いましょう!」
 いやいやいやいや…また会えたら嬉しいですけど、注射会場では会いたくないよー


 ペルーではこのままズルズルと、三回接種が義務になりかねない雰囲気ですが、次は五か月後だそうですから、そのころにはうやむやに立ち消えてるかもしれませんね。だといいな。
 今さら二回だろうが十回だろうが、わたしゃどーでもいいですけどね。黙ってアホらしさに耐えるのみです。



211206-09.JPG


 注射だけで、手ぶらで帰るのもつまらなかったので、表通り(旧パンアメリカン道)の古物屋さんへ。ここ変なものがたくさんあって、楽しいんです。
 で、前からほしかった「アイスクリームのドノフリオ(DONOFRIO)」のパラソルを買いました!
 あまり使った形跡のないパラソルが、本体50ソル、しっかりした台が20ソル。もっと高い市販品よりずっと丈夫そうです、満足満足。


 とはいえ、これを自分の庭に据える勇気はありませんが、明るい黄色で塗ったばかりの「小さな家」には、たぶんぴったりです。
 ついでにインカコーラ印の、黄色い椅子セットもほしかったのですが、お店の人が、「あれは日に当たりすぎて脆くなっていて、危ないので売れません」とおっしゃるので諦めました。たしかにプラスティック製品は、リマの直射日光下では寿命が短いですね。


 かわりに今度、木で簡単なベンチを作ろうかと思います。それを黄色く塗ってドノフリオ傘と並べたら、若いベンハー一家向きな楽しい雰囲気になりそうです。
 ちょうどいま宿六が、大工道具の購入に乗り気になりかかっているので、グイっともう一押ししておきましょう。
 いえ宿六自身は、できれば釘一つ打ちたくない人ですが、私やベンハー君が日曜大工をやるだろうと、あてにしているようです。



211206-13.jpg


マンタロ渓谷ミト村のドノフリオ傘


 そうそう、ドノフリオのパラソル、といっても、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんね。
 ほらあれですよ、ペルーでスナップを撮ると、よく勝手に写り込んでる、あの派手な赤と黄色のパラソル!



211206-16.jpg


ワンカベリカのドノフリオ傘


 私もあのパラソルを意識して撮ったことは、一度もありませんが、探したらもうちょっといい写真がありました。
 なかなか強烈なデザインですが、ここまで来るとむしろ好きです。ペルーの夏!という感じがします。



211206-18.jpg


 そういえばドノフリオの、イチゴ・ルクマ・バニラの三色アイスとか、懐かしいですね。
 私が今生さいごにドノフリオ・アイスクリームを食べたのは、2009年のカハバンバでしたねえ…



211206-17.jpg


 そのカハバンバのお隣のテーブルでは、両側からの熱視線で、パフェが溶けそうになっていました。(お二人とも、アイスクリームの紫と合わせたみたいなお召し物がすてきです)


211206-11.jpg


 溶けそうな話といいますと…
 12月15日から実施される…はずだったワクチンパスポート。
 ペルー政府が五日も早めやがった!(失礼)ので、施行直後の混乱を避けるべく、年末年始用の買い物を早々に済ませました。


 とりわけ魚介類の入手は、パチャカマックでは無理なので、もうずっとこのSEAFROSTの冷凍品に頼っています。
 スーパーでも扱っていますが、大抵保存がわるいですから、スルコ区にある工場直営店で買うのがおすすめです。(以前は殺伐とした工場内で買うほかなく、変な気分でしたが、外にお店ができて入りやすくなりました)



211206-10.jpg


 さてそこで大活躍いたしますのが、わが日本の誇り、氷点下パック!(日本のAmazonからペルーまで取り寄せ可能!)

 たとえばですね、真夏の朝、リマで地鶏を一羽買い、氷点下パック入りクーラーボックスにおさめ、午後遅くパチャカマックに戻ってみると、地鶏がまるごとカチカチに凍っていて困ってしまう……というすばらしい商品です。
 私はおおげさではなく、この氷点下パックのおかげで、片田舎のパチャカマックでも不自由なく暮らせております。



211206-12.jpg


 スペインの生ハムのお店、Selectos Ibericosにも行きました。このお店が、コローナパニック期を生き延びてくれて嬉しいです。
 どんぐりハムやカタルーニャのサラミ(Fuet)、チーズなどを買いましたが、これは氷点下パックに近づけたら台無しなので要注意。



211206-14.jpg


 もちろんお猫さまの好物もたっぷり確保。
 さいきんのお気に入りは、このスペイン製カリカリ。山猫リンセの写真がいいな。



<お月さんの修理>



211206-21.jpg


お月さんを歓迎するハスミン一世


 今年とうとう灯らなくなった、お月さんのイルミネーション。
 写真をさかのぼってみると、2006年に買ったようです。けっこう長持ちするものですね。



211206-22.jpg


リマ市内のアパートでは
こんなふうに飾ってました。
(このイルミネーションの向こうには、
一世猫たちがいたんだなあ…)


 あら…この写真の2011年時点で、すでにお月さん、半分つかなくなってますね…
 なんとそのまま十年も、だましだまし使っていたのか私たちは。なんたるめんどくさがりでしょう!



211206-02.JPG


 やはり今年中に、お月さん、直しましょう。ここを逃したら、すぐまた十年が過ぎそうですから。
 ということで実に久しぶりに、リマ市内サン・ルイス通りのイルミネーション横町へ。


 昔、型紙を渡してお月さんを作ってもらったお店が、今も健在でした。
 LAVALUXという、電飾も扱う不思議な洗濯屋さん…です。お店のキャッチコピーは、Lavado que luce bien!(輝く洗い上がり!)だそうで…なるほど…



211206-03.JPG


 お店の人のお話では、コローナ元年たる去年のクリスマスは、イルミネーションが売れに売れて、大助かりだったそうです。
 「コローナが流行して、いつ死ぬかわからなくなったので、仲違いしていた家族がみな和解して、その機会にイルミネーションも新調したようです」
 というのが、この奥さんの顧客心理分析。


 うーん、コローナが登場するずっと前から、人の致死率はもれなく100%だったと思うのですがねえ…でもそれが商売繁盛につながったなら、結構なことです。
 また昨年、にわか仲良しになった家族のみなさんも、失礼ながらこの年末あたり、そろそろまた決裂しているんじゃないかな?(むしろそのほうが健全でしょ?)なんて思ったりもします。
 もともと気が合わない同士が、コローナだから、クリスマスだからと、無理していっしょに過ごすほうがどうかしてますもん。



211206-04.JPG


 修理を待つあいだに日も暮れて、ほかのイルミネーションも気になってきました…
 右から二番目に、たぶんリマでは一番人気の、聖家族のイルミネーションがあります。
 これ、出産間近の「小さな家」にぴったりじゃないの!と、良い口実を思いついたので、小さいのをひとつ買いました。
 ただ、人物を青白い光でかたどっているのは、幽霊めいて気になるので、そこは暖色にかえてもらいます。



211206-06.JPG


猫たちの厳しい取り調べを
受ける聖家族…



211206-07.JPG


 お月さんは青色にしてもらったので、それに合わせて、青い雪印も新調しました。


211206-05.JPG


 オレンジと青のイルミネーション、塗りたての水色の壁によく合っています。
 とても夏のクリスマスらしくなりました。夏でも冬でも、やっぱりクリスマスはいいものですね!



2021年12月18日(土) 午後1時半の室温23.9℃ 外気温23.5℃ 雲ひとつない快晴!
非常事態令まだやってんのかーいペルー日記(59)
<樹脂粘土の沼 Aお告げの天使>



211218-01.jpg


 その後も樹脂粘土を大いに楽しんでいます。聖家族の次は、ナシミエントには欠かせない「お告げの天使」ですが…


211218-02.jpg


 …指にちょっと力が入りすぎて、「マリアよマリア、お前さんのことだよ!」ではなく、「こっちお勘定よろしく!」になってしまいました。


211218-03.jpg


 すぐに聖家族と合流させました。
 ファンシー系過ぎず、かといって写実的でもなく…というあたりを狙いましたが、初めてにしてはうまくいったかな?
 安定のわるい「クルスパタ」(ナシミエント用の丘)に飾りやすいよう、彩色した板に貼りつけてから、庭にもっていきます。



211218-04.jpg


 クルスパタでは、植えたサボテン類が早くも育ち始め、だんだんいい感じになってきています。
 マヌエリート(幼子イエス)はまだ座らせません。たぶん24日深夜に生まれる予定です。



211218-06.jpg


 夜は、ソーラースポットライトとソーラー豆電球で照らしています。
 初めて点灯したときは、ベンハー君一家が歓声を上げてくれました。



211218-09.jpg


 ナシミエントのうしろの木に飾る、雨雲と月と太陽も製造中です。


211218-10.jpg


 残るは三賢王ですが…
 米国Amazonが粘土の色をまちがえて、ベージュのかわりにグレーが届いてしまいました。
 白く塗っても、表に少しグレーがひびくので、ちょっと使いにくいですが、まあ結局は無料でもらいましたから、とりあえず使い切ってしまいます。



211218-05.jpg


 三賢王の乗りものは、ウマ三頭、またはラクダ三頭でも良かったのですが、同じものをいくつも作るのは苦手です。
 そこでラクダ・ゾウ・ウマのフルメンバーでいくことにしましたが、今それを後悔しています。ゾウなんて近くで見たことない…むずかしい…


 しかもクリスマスは急接近中ですし、更に困ったことには、宿六が百合子ちゃんに「次は三賢王も来るから!」と言ってしまったんですよね(まだ出来てないのに言わないでよ…)
 でも理論上は、「イエス誕生の晩、空に現れた星を見てから旅路についた三賢王が、新年六日にやっと聖家族のもとに辿りつく」のですから、さいあくクリスマスイブまでに完成すればいいか…と。


 そしてその晩は、クルスパタのいちばん下に置いて、それから毎日じわじわと山を登らせ、六日に聖家族の前に勢ぞろいさせたいです。この古く床しい習慣、前からまねしてみたかったので。
 今年は樹脂粘土と百合子ちゃんのおかげで、クリスマスを本当に楽しんでいます!



<箱庭アンデス>



211218-07.jpg


これ、ちょっといいでしょ?


 大鉢がひとつ、盛大に割れたので、その中に箱庭アンデスを作ってみました。
 手持ちの小物と多肉植物を飾り、うしろに雪山を描いてから、クルスパタのとなりに黙って置いてきました。
 するとじきに気づいた百合子ちゃん、
 「動物がいっぱい入った植木鉢、とてもすてき!リャマとビクーニャと鴨と羊と山羊と……えーっとそれからオウムもいた!」
 と報告に来てくれました。



211218-08.jpg


 私はこのあたりが気に入っています。
 雪山のふもとを並んで行くリャマ隊と、それを遠くから、「家畜はたいへんね…私たち、半野生でよかったわ」と眺めるビクーニャです。
 クリスマス前にはナシミエント用に、こういう小物がたくさんお店に並ぶので、今のうちにもっと仕入れておこうと思います。
 いろいろ作ってみたい箱庭の風景が、浮かんできましたので…これもはまり込みそうだなあ…困るなあ。



2021年12月26日(日) 午後10時半の室温25.0℃ 外気温21.6℃ 雲ひとつない快晴!のち薄曇り
非常事態令まだやってんのかーいペルー日記(60)
<樹脂粘土の沼 B三賢王がやってきた>



211225-03.jpg


 クリスマスシーズンに入ったこちらパチャカマックは、毎日さらっとした快晴にめぐまれ、とても爽やかです。
 少々手こずっていた三賢王は、なんとか24日午後に間に合いました。
 まずは長老のメルチョール。ヨーロッパを代表し、騎馬での登場です。



211225-04.jpg


メルチョールの後ろ姿。
馬は大好きな灰色ブチに。



211225-01.jpg


 次に中堅どころのガスパール。
 インドから白象に揺られてやってきました。



211225-02.jpg


ガスパールの後ろ姿。


211225-05.jpg


 さいごに若手のバルタサール。チャスカ…ではなくヒトコブラクダを操って、はるかアフリカから駆けつけました。
 スペイン語圏の子供たちには、大抵このバルタサールがいちばん人気のようですね。


 乗りものには諸説あり、アジア代表のガスパールはフタコブラクダ、アフリカ代表のバルタサールはアフリカゾウ、ということが多いです。
 でも私は、いろいろとご縁の深いインドと北アフリカを表現したかったので、この組み合わせにしました。



211225-11.jpg


バルタサールの後ろ姿。
(ちょっとよろけておりますが、
それもご愛敬)



211225-06.jpg


 大きさはこれくらいです。
 私たちがクルスパタに飾り付けていると、百合子ちゃんがひょいっと覗いたので、「三賢王が来たよ!」と声をかけるとすっとんで来ました。かわいいねえ。



211225-07.jpg


 百合子ちゃんはよく、こんな風にぺたっと芝の上に座りこみ、じーっとナシミエントを眺めています。おかげで私も、たいへん作りがいがあるというものです!
 (来年は、うしろの小石が積んであるあたりに、お城がそびえるスペイン山を作ろうと思っています)



211225-09.jpg


 背景の太陽とお月さん、雨雲も、樹脂粘土製。バロックな感じを狙ってみました。


211225-08.jpg


 これから三賢王は、毎日じわじわとクルスパタを登ってゆき、年があけて1月6日、めでたく幼子イエスへの礼拝がかなう…はずです。
 この三賢王には、まだ百合子ちゃんにはナイショの、ちょっとした仕掛けがあります。それはまた新年にお目にかけますね!



2021年12月30日(木) 午後12時半の室温25.7℃ 外気温25.1℃(この夏いちばんの暑さ) 快晴!
非常事態令まだやってんのかーいペルー日記(61)
<クリスマス会>



211227-02.jpg


見るたびに花と緑が増えている「小さな家」


 クリスマス前に「小さな家」の長女、薔薇子ちゃんが里帰りしてきました。
 薔薇子ちゃんのお相手は、あいにく職場で休みが取れず、今年は訪問が叶いませんでしたけれど。



211227-03.jpg


全員仲良くシマシマ


 娘三人!と奥さんに囲まれ、菜園の手入れをするベンハー君。
 上の娘ふたりに、「おいおい、お父さんが植えたばかりの苗、踏んでるぞ!」と注意しつつも、とっても嬉しそう。
 次女の百合子ちゃんは、この半年でぐーっと背が伸びたようです。庭のケールをたくさん食べているから、かもしれません。



211227-11.jpg


 うちの裏庭に増設した「第二菜園」も、ベンハー君の手で着々と緑化が進んでいます。
 こちらは私も利用するので、エンダイブや食用タンポポなど、リマでは手に入りにくい野菜も植えてもらおうと思います。



211227-04.jpg


百合子ちゃん用に準備したクリスマス籠


 この24日は、幼稚園以来?のクリスマス会を開き、一家のじいさんばあさん気分を満喫してきました。やはり近くに子供がいると(子供の種類にもよりますが…)、クリスマスって楽しいですね!


211227-05.jpg


 宿六がスペインのカウベルをカランカラン鳴らして、ホーホー言いながら、プレゼントを抱えて「小さな家」に向かいます。(贈り物に使えそうなものは、いつもなんとなくストックしてあるので、今年はその中から選びました)

 「さいしょにプレゼント欲しい人〜!」と聞くと、意外や次女の百合子ちゃんが、「まずお母さんに」と言います。てっきり「百合子がさいしょ!」と言うかと思ったのですが、今月お姉さんになって、少し意識が変わったようですね。
 お母さんのゼラニウムちゃんへのプレゼントは、花模様の青いお皿セット。こういう表情を見せてもらえるのは、大きな喜びです。



211227-25.jpg


おとなしく自分の番を待ちながら、
お姉さん用のプレゼント包みを
そーっと触ってみる百合子ちゃん


 百合子ちゃんの指示で、次はお姉さんの薔薇子ちゃん。
 地元アプリマックで使えるように、若夫婦ふたりぶんのマフラーと…



211227-06.jpg


 日本の木綿スカーフ数枚(だいぶ前に目白通りで購入したもの)と、かわいいロウソクセットをあげました。
 すると薔薇子ちゃん、彼女には地味かと思ったこのフクロウ柄スカーフが、いちばん好きだというので、頸に結んであげたら似合う似合う!
 日に焼けたつやつやの皮膚には、こういう色が映えるのですね。若い人が抑えめの色を使うと、かえって若さが引き立ちますね!



211227-26.jpg


 あんまり紫が似合うので、あとで手持ちのアクセサリーもあげちゃいました。
 インカ風の花のネックレスなので、ますます薔薇子ちゃんにはぴったりです。(厳密には彼女はチャンカ族の末裔ですが)。


 薔薇子ちゃんは、お母さん似の百合子ちゃんとは少しちがう顔立ちで、お父さんのほうにそっくりです。
 ここまで自分に似ていたら、お父さんもさぞかわいいでしょうから、とつぜんの嫁入り話でベンハー君が取り乱したのも、無理もないですね。
 でもこの年末の訪問で、二人がきちんと仲直りできて本当に良かったです。



211227-10.jpg


 さて次がお父さんの番です。お父さんが三番目、というところに、家庭内での力関係がしのばれますね…
 ペルーのこういう働き盛りのおうちでは、大抵お父さんの衣類があとまわしになるので、ベンハー君にはスペインで買った帽子やTシャツをたくさん。
 中でもこれは見るなり、「ペリグロ!危ないぞ!」と叫んで喜んでくれました、アンデスの人は雄牛大好きですもんね。



211227-07.jpg


 そしてさいごに百合子ちゃん。たぶん居合わせた全員、百合子ちゃんがプレゼントを開ける姿を見るのが、いちばん楽しみだったはず!
 ところがさいしょに、オマケの画用紙と絵の具を引っ張り出したので、あらら…と思ったんですけど、細い声をはりあげて、「あーーー私の画用紙と絵の具〜!これほしかったの〜!!」とたいへんな喜びよう。(ここで宿六が日本語で、「ペルーは紙が高いからね…」と冷静なご意見。ありがとう…)


 次がリャマ柄Tシャツで、「え〜なにこれかわいい!リャマに飾りもついてる!えーどうしよう、どうしよう?!私これ好き!」
 でも、籠にまだいろいろプレゼントが残っているのに気づくと、百合子ちゃん少々錯乱(笑)しはじめたので、周囲から「落ち着けっ!深呼吸!」と声がかかります。



211227-08.jpg


 ミニチュアのナシミエントや、ツリー用の飾りも、ぜんぶ大喜びしてくれましたが、やはり最高に気に入ったらしいのが、クスコの布人形。
 手織布をたっぷり使って、よくできてるんですよね、これ。



211227-09.jpg


 お母さんが横から、「たぶん背中に赤ちゃんがいるんじゃない?」と指摘すると、背負い布を探って「ほんとだー!」と百合子ちゃん。
 この人形の名は、たぶんマリアかジェシカにして、赤ちゃんのほうはベレン(ベツレヘム)と名付けるそうです。女の子だそうです。



211227-23.jpg


 そして末っ子のマグノリアちゃんには、この毛糸帽子。大きいですけど、じきにぴったりになることでしょう。

 彼女は相当の大物らしく、お母さんのおなかから出てくる気配が全くなくて、11月中はみなソワソワと落ち着きませんでした。
 でも12月4日が新月だったので、そろそろかな?…と思っていたら大当たり!
 4日の夕方6時ごろ、「いよいよ陣痛が強くなりました」と、近所の診療所へ急いだ夫妻。が、7時半にはベンハー君がふらっと戻ってきたので、「忘れ物?」とたずねると、「おかげさまで無事生まれました!」との返事に、私たちもびっくり仰天の超安産!
 さすが三度目の余裕、ゼラニウムちゃんは生まれるぎりっぎり直前まで、静かに家で待機していたのですね。


 マグノリアちゃんは、この日はまだわずか三週間、でももう一か月半くらいの赤ちゃんに見えます。
 生まれた瞬間からしわひとつなく、髪もふさふさで(おかげで嘘はなしに「かわいいね!」と心から言えて、助かりました(笑))、たぶんおなかの中で完全に育ち切ってから出てきたのでしょう。
 そして実にアンデスの赤ちゃんらしく、うるさく泣きわめいたりは全くせずに、いつもゆったり構えています。



211227-14.jpg


ドノフリオのかわいいパラソルが
よく似合う一家です!
想像した通り。



211227-12.jpg


 私たちも嬉しい気持ちで引き上げます。クリスマスの食事は年々粗略化をすすめており、本年もかんたんにすませました。
 なんと申しましても、今年はとうとう外食ゼロ。365日、家で食事しました(というか私が料理しました)しね…
 (いえ、リマのレストランはふつうにやってるらしいのですが、いかにも変な消毒薬とか料理に混入してそうで、どうにも行く気になれません)
 料理はあいかわらずの低糖質ですが、クリスマスと誕生日だけはスペルト小麦の極上パンを焼きます。



211227-15.jpg


 恒例の特製アーモンド粉ケーキは、初めてのメーカーのサイリウムを使ったら、残念、粘りが強すぎて大失敗!
 そこで急遽、超簡単なpan de higoを作りました。やわらかな干しイチジクとクルミを細かく刻み、アーモンド粉、炒りごま、シナモン、オレンジの皮、アニス、好みのお酒少々(アニス酒やラム酒など)を入れてよく練り、160℃で30分ほど焼くだけ。


 冷めてから小さく切って、カーバやコーヒーといっしょにちびちびと食べます。
 たいへんスペインのクリスマスらしい、異国情緒あふれる大好きな味です。(糖質はイチジクのがしっかり入っていますが、グルテンはナシ)



211227-22.jpg


 そして、食べすぎたー!…と言っていたところに、ゼラニウムちゃんから差し入れが来てしまいました。
 近所に住むいとこが、良いエサで自分用に育てた豚を、今朝さばいて届けてくれたそうです。そこでさっそく、チチャロン(粉なしのディープフライ)を作ったそうです。
 熱々であんまりおいしそうなので、これも少しつまんでしまいました…。リマではおいしい豚肉がめったに手に入らないので、久しぶりのおいしさでした。



211227-18.jpg


パチャカマック町内にある
こっぱずかしい「歴代インカ通り」。
やれやれ…先に作るべきもの、
他にあるでしょ…


 あまりにおなかいっぱいなので、近所へ散歩に出ます。
 前の庭師の永吉君一家には、クリスマスは夫婦それぞれが実家に戻り、ばらばらに過ごすという謎習慣がありました。従って「小さな家」は無人になるため、私たちはいつも留守番役でした。
 でもベンハー君一家は、「クリスマスこそ、居心地のいい『小さな家』で過ごします、できるだけ出たくないです」というので、私たちも気楽に出歩けるようになりました。



211227-21.jpg


 うちを出たところで、パン屋さんから焼きあがった七面鳥を引き取ってきた、ゼラニウムちゃんと娘三人に出くわしました。(末っ子のマグノリアちゃんは、ちょっと心配になるほどぐるぐる巻きにされて、背中の風呂敷包みにおさまっています。これぞインカ式子育て)

 ゼラニウムちゃんは、大物七面鳥を抱えて笑いが止まらない様子です。そして百合子ちゃんは、早々に味見モード…(手つきがかわいい…)
 前の勤め先では、7キロの七面鳥をもらっていた、と聞き、宿六が張り合って?晩餐費用を多めに振り込んだので、今年は10キロの七面鳥をゲットしたそうです。



211227-16.jpg


 近所のお店も、どこか昔懐かしいような、かわいいクリスマス。
 あ、右はしにあるアルミのオーブン皿は、もちろん七面鳥用です。


 ペルーの人はしばしば、イブの零時直前になって足りないプレゼントを買いに走ります。まあ大家族だと、つい甥っ子や姪っ子をひとりふたり、忘れたりするのでしょうね。なのでこういうお店は、クリスマスであっても深夜まで開けています。


211227-13.jpg


 スマホグッズ店が開いた臨時の花火屋さんで、線香花火など少し買ってから…


211227-19.jpg


 ささやかにクリスマスの飾りつけがされた広場を散歩。すーっと風が吹きわたって良いお天気です。
 クリスマスイブは必ず、どこからかお香のかおりが漂ってくるのも風情があります。来年は私も、うちの幼子イエスに焚いてあげましょう。



211227-24.jpg


 パチャカマックの黄色い教会前には、例年通り、大きめのナシミエントが作られています。


211227-20.jpg


 ここにいつも飾られる背景画が、なんだか雰囲気があって好きなんですよね。この空がいいな、そのうちまねしよう。


211227-17.jpg


 今年のクリスマスイブは、23時から朝4時までだけの、ムダな外出禁止令が出ていました(それって、ただのいやがらせ、でしかないですよね…)
 家族での集まりも禁止、だそうですが、まあそれは誰も守っていないはず。
 でもご法度のせいか、花火もちょっとしか上がらず、なんともうら寂しい晩となりました。


 それでなんとなーくもの侘しく、宿六と二人で線香花火(luz de Bengala)を燃やしていたら、百合子ちゃんが起き出して来て、生まれたての幼子イエスに花火であいさつしてくれました。(百合子ちゃんは天然タイプと見えて、実はけっこう私たちに気を使ってくれてる気配もありますね…)
 百合子ちゃんのおなかが、別人みたいにポンポコになっているのが笑えます、たぶん大量の七面鳥がつまっているのでしょう。毎年クリスマスイブは、夕食後にみんなで仮眠をとってから、零時に起きて今度はパネトンをたらふく食べるそうですー!うわー聞くだけでめまいが…


 さいごに百合子ちゃん、ちょっと改まった様子で、
 「あのね、今日は私にとって、人生でいちばんのクリスマスなの。プレゼントをいっぱいもらって、ごちそうもたっぷりで、お父さんもちゃんとゆっくり、みんなと一緒に休めたから。
 前のおうちでは、お父さんはイブの晩も、何度も何度も仕事に呼び出されて、ぜんぜん一緒に過ごせなかったの。それに25日は、朝4時にはもうお仕事だったから……でも今年はお父さんがゆっくりしていて、私もほんとに嬉しいの。」
 というので、私たちもちょっとしんみりしてしまいました。



211227-01.jpg


 25日もさわやかな快晴。
 近所中が二日酔い、または継続的な糖質過剰摂取による血糖値乱高下のせいで、しーーーんと静かな一日です。


 ふだん、きのう24日みたいに「大勢の人」に会うことは、私はまずありません。
 なのでとても楽しかったですが、でも翌日ひとりになったとき、正直なところ非常にホッとしました。少なくとも二、三日は、誰にも会わずに過ごします。
 やはり私は、大家族向きにはできていません。こうしてたまーに、自分の気が向いたときだけ、人さまのかわいい子供を構わせてもらうのが、私には理想的です。


 と書きつつも、「来年のクリスマス会用に、トナカイの着ぐるみとエルフの衣装を、今のうちに用意しとこう、ちょうどアマゾンでバーゲンしてるから…」なんて話もしています。なんだかんだ言って、クリスマス会は二人とも嬉しかったのです。
 前のbeforeigner一家のときは、永吉君以外はみな不愛想で、まったく張り合いがありませんでしたが、これからはちょこちょことプレゼントを揃えていく楽しみもできました。



このページには何も有益な情報はないので、まさかここで被害に遭う方もいらっしゃらないとは思いますが、念のため・・・
【当サイト内のあらゆる情報の無断転載等は、固くお断りいたします。
また、当サイト内の情報をご利用なさることで、万一なんらかの不利益を蒙られることがあったとしても、私こと当資料室管理人は、一切責任は負いかねますので、その点はあらかじめご了承ください】


casita.pngペルー談話室 玄関に戻る