2022年5月〜12月 非常事態令下の「一服いかが?」

<その10>


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非常事態令出しっぱなしで三年め日記

2022年5月17日(火)
(72)<ほぼ奇跡?リマで皆既月蝕>
   <中庭のサソリ座>
   <北斗七星つかまえた!>


2022年6月15日(水)
(73)<冷え込むリマ(いろんな意味で…)>

2022年7月4日(月)
(74)<ふたたび、みたびのペンキ熱 B中庭はいつも青空!>

2022年8月11日(木)
(75)<今度こそバラ園>
   <懐かし、モロッコのバラの谷>


2022年9月9日(金)
(76)<ベンハー君の苦労話>

2022年9月30日(金)
(77)<ガルーア(霧雨)のお仕事>
   <半端な小ネタ 三題>


2022年10月1日(土)
(78)<これはめでたい!!マスク強制(ほぼ)終了!>

2022年10月17日(月)
(79)<君は見たことあるか?! 「インターネットの断面」を…>

2022年10月29日(土)
ついに最終回!<樹脂粘土の沼 Dお化け増産>
コローナ騒ぎは一段落したものの…日記
2022年12月8日(木)
<また大統領が代わったよ〜(笑)>


2022年12月15日(木)
<ナントカのひとつおぼえ? またも非常事態宣言ですと>



2022年5月17日(火) 午後7時半の室温22.2℃ 外気温19.0℃ 快晴のち曇り
非常事態令出しっぱなしで三年め日記(72)
<ほぼ奇跡?リマで皆既月蝕>


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5月15日、夜9時半ごろ。
部分食が始まったばかりです。


 夜間は夏でも、靄がかかりがちなリマ。天文ショーとの相性は、たいへんたいへんよろしくない街です。私も移住してからは、月蝕や日蝕はもう何度も海霧のせいで見逃しています。
 なのでおとといの皆既月蝕を運よく見られたのは、ほとんど奇跡的?でした。
 それはもう嬉しかったですが、ただ月蝕は天頂あたりで繰り広げられましたので、くびはとっても疲れました。



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夜10時25分ごろ。
この赤色いいな。火星みたいですね。



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 そして10時40分、皆既食に入ってまもなく、海のほうから雲が寄せてきました。うーん、いつもこうなんですよね…
 今回もやはり、このへんでお開きにするしかないかな…



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なんとなく近くに座って、
つきあってくれるアルパカたち。
(うわーこのコヤチャ、
すごく大人っぽく写ってる!)



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午後11時40分


 でも今回は、皆既食が85分!と長いのが幸いしました!
 あきらめきれずに、深夜もう一度外に出てみると、赤銅色の月が雲の切れめから顔を出しています。下のほうが、うっすら明るんできているようです。


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 ああこれは美しいですね…ちょうどサソリ座の、すぐ上にかかっていますね。


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 皆既食が終ると、冷たい白い光が、赤い月面にじわじわと広がっていきます。
 火星赤と白い光のあいだの、珊瑚のような色が、たまらなくきれいです。


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 零時10分。本来の月の光が戻るにつれて、赤い光が見えにくくなってきました。名残り惜しいです。


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零時50分。


 あと少しで部分食も終りそうです。ふだんの月は、こういう欠け方はしませんから、とても神秘的に見えます。
 (この写真、コンパクトカメラの手持ちで撮りました、さいきんのカメラよく写りますねえ)



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 午前1時、もとの姿に戻ったところで、また雲に包まれました。
 冬も間近な今の季節、見られるとは期待していませんでしたので、非常に嬉しい夜でした!
 そしてあの赤銅色は、とうぶん夢に出つづけそうです。



<中庭のサソリ座>


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月蝕の数日前、5月10日も美しい晩でした。
この季節には珍しく、空がきれいに晴れ渡り、気温もどんどん下がって、
ロックダウン以来のきれいな星空が広がりました。



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 午前1時過ぎには、サソリ座が中庭の真上まで昇ってきました。
 サソリはペルーに来てから、初めて意識するようになった星座です。日本では低い南天に見えますが、こちらでは空高くまでぐいぐい昇っていくので、とても見栄えがします。

 大きな大きなサソリを、うちの中庭で飼ってるみたいです…

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ロックダウン時の澄み切った星空には、とてもかないませんが、
それでもこの晩はうっすら銀河も見えていたようです。
サソリ座の下に見える赤い点線は、飛行機の光跡です。
どこに行くのかな、コロンビアかな、スペインかな?



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 あたりはしーーーん…と静まり返り、私の中庭は、実は宇宙まで広がっているらしい…という不思議な感覚に包まれました。
 明け方までずっと、ひとりで見とれていました。鼻かぜひきました。




<北斗七星つかまえた!>


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良い機会なので、二年前、とうとう庭で
北斗七星をつかまえたお話もいたしましょう!
ロックダウン時に夢中になった星空観測。そのおかげで、
「アンデス山脈がじゃまして見えない」と思い込んでいた北斗七星の、
少なくとも柄のところは、うちから見えると気づきました。


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 2020年5月9日。
 北斗七星のうち、柄にあたる三つの星は確認できました。
 このぶんなら、七星すべて見えそうですが…でもすぐに雲が広がって、この晩は断念。


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数日おいて2020年5月11日、19時51分。
とうとう北斗七星をまるごと、北の空でつかまえました!
うちの庭の外壁の、すぐ上です。



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 大体この方角にリマの市街地があるので、うちから見る北の夜空は、いつも奇妙に薄明るいです。なので北斗七星も、肉眼では見えそうで見えない…くらいの弱い光です。写真でかろうじて確認できました。
 でもたとえはっきりしなくても、若いころ冬の凍てつく晩に仰いだ、あの懐かしい星座が、ちゃんとそこに、うちの庭にある!
 そうわかっただけで、私は満足です。



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後日、pacollamaさんから伺ったお話。
「インティライミ(6月24日)直後の出発のツアーで、
マチュピチュの帰りにオリャンタイタンボに寄り、クスコに戻る車窓から、
山際近くに、下向き、水をぶちまける格好で、北斗七星全景が見えて、
北極星は遥か地平線の下、南半球に居ることを実感しました。」
…ほんとにpacollamaさんがおっしゃる通りで、盛大に水まき中のひしゃく星ですね!


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 2020年5月11日、20時30分。
 ひしゃくの柄が、だいぶ上にあがりました。このあ
と、柄がまっすぐ立ったあたりで地平線に沈んでしまうので、パチャカマックでは永遠に水は汲めませんね!
 私も地平線の遥か下、決して見えない北極星を心に描き、南半球まではるばる来ぬる旅をしぞ思…ったりしております。


2022年6月15日(水) 午後6時の室温20.3℃ 外気温17.5℃ 快晴、これからまた冷えそうです
非常事態令出しっぱなしで三年め日記(73)
<冷え込むリマ(いろんな意味で…)>


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真冬はもうすぐ。
庭のミニ・ロマスの
アマンカイも咲き始めました。


 昨晩、満月のパチャカマックはきれいに晴れ渡り、気温はなんと12.3℃まで下がりました。
 リマでここまで冷えるのは、私は初めてです。いつもはせいぜい15、6℃止まりですから。寒いのは好きなので、大喜びしております。厚着のアルパカたちも快適そうです。猫たちはストーブをつけてもらって大満足です。
 さらに明けて本日も、ひんやりとした快晴!本来、ひたすら曇るはずの6月なのに!



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例年になく寒い…といっても、
ただいまブーゲンビリアは満開です


 近年パチャカマックのお天気が、じわじわ地中海性気候に近づいてきている…ような気がします。多分に希望的観測ではありますが。
 でも、夏は昔より湿気が少なく、爽やかにカラっと晴れ、冬は昔より小雨がよく降り、でもときどき今日みたいな快晴の日が混じる、という風ですので、確かにひと昔前とはだいぶちがいます。


 これはパチャカマックだけの微気候なのか、リマ全体がそうなってきているのかは、わかりません。いずれにしても夜間の珍しいほどの冷え込みは、まだしばらくは続くようです。


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 冷え込みと申しますと…ペルーのサッカー好きな皆様も、今はかなり寒いお心持ちのようです…
 写真はこの月曜、ペルーのワールドカップ出場をかけた試合中の、ガランとしたパンアメリカン道です。


 大事なサッカー試合があるときは、私たちは必ず外出します。街中が閑散として、おまわりさんまで中継に夢中で何も見てやしませんから、いつになく気分よくリマを走り抜けられます。
 この日もパチャカマックのうちからJockey Plazaまで、たったの20分ちょっとでした。別の試合時に叩き出した最速記録15分には、わずかに及びませんでしたが。まったく、いつもこうならいいのにねえ…



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 ショッピングセンターは期待通りガラガラで、ゆっくり落ちついて買い物ができました。
 少数の通行人とおひまな店員さんたちは、双方いっこうに点の入らぬ試合に釘付けでしたので、ますますもってしーん…としていました。



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 でも外の大画面前には、大勢のサッカーファンが集まって、賑やかに観戦していました。
 そして長引いた試合のあと…。赤ダスキ姿の人々が、三々五々、黙りこくって家路に向かう姿は、とってもさみしかったです…うう…こういう寒さは苦手…
 また翌火曜もパチャカマックは、ロックダウン時に匹敵するほどの、異様な静けさに包まれていました。みなさん早く元気出してね!



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試合前、ラルコ博物館が載せた応援画像。
中央に、ちゃんと赤ダスキをかけたモチーカ人…
(たぶん、種袋をたすきにかけた
農民像(か農耕神像)?)


 私たちはスポーツには関心がないので、おかげさまで変わらず元気にしております。
 が、もしまたペルーのワールドカップ出場が決まれば、前回みたいに赤白だんだらグッズが市場に氾濫するだろうなあ!と、けっこう楽しみにしてましたので、それはとても残念です。寒い冬の赤白赤グッズって、見るだけでもあったかくていいですものね。


 でもおそらく、赤白赤グッズはすでに各社デザイン済みかと思います。
 このさい7月の独立記念日用、ということでお店に出してくれるといいのですが。期待してます。そのときはまたレポートしますね!



2022年7月4日(月) 午後7時の室温20.6℃(ストーブつけてます) 外気温16.7℃ 曇りのち晴れのち曇り
非常事態令出しっぱなしで三年め日記(74)
<ふたたび、みたびのペンキ熱 B中庭はいつも青空!>


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 さる5月、中庭の塗り替えをしました。
 家の外壁に使った色もためしましたが、やっぱり同じじゃつまらないですね。狭い中庭では、もっと遊んでみたいです。



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南スペインの冬の青空の、
少し紫がかった水色が理想なのですが…



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 ペンキ屋さんの色見本には、ぴたっとくる色がないため、うちで調色することにしました。
 こういう色は、見ているだけで心が弾みます!



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 塗ってから8年もすぎて、ピンクが完全に褪せた中庭。
 作った色見本をここに貼って、数日検討しましょう…



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中庭のガラス戸の向こうにいるのは
ハスミニ猫



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ハシンタ猫のほうは、ポーチで
じりじり焼き目をつけてます



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 だいぶ迷ってから……決めました!
 こういう水色、わかりやすい地中海カラーにします。もっと紫に寄せたいところですが、退色しやすそうですし。
 …と、いうことで冬の青空色から、夏の青空色に変更です。気持ちとしては、わすれな草とつゆ草のあいだを狙って調色してみます。



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 さて、よく混ぜたペンキをベンハー君に渡すと、例によって即刻、仕事に取り掛かりました。
 世間一般のやりかたとは違って、すみっこを後から塗る方式なので、はじめは「あれっ?」と思いました。
 でも仕上がりに大差ないので、うるさいことは言わず、好きなように塗ってもらいます。気分よく仕事してもらうのが一番なので。



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 あいかわらず早い早い…
 それに今回も、「この色いいですねえ、天国みたいにきれいですね!」と、色彩を楽しみながら塗ってくれるのが、なんか嬉しいです。



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 ひさしのない中庭は、雨で壁が汚れやすいので、耐久性のある屋外&家具用のペンキにしました。なので少しつやがありますが、幸いさほどぎらぎらはしていません。


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 夜になると、しんみりと落ち着いた青に変わり、これもわるくないですね。
 ちょっとモロッコの宿っぽくなって、早くも中庭の空気は、すっかり変わってしまいました。明日が楽しみです。



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 翌日は、高いところを塗るために、宿六がハシゴを買いに走りました。
 ここに人がのぼるのは、なんと8年ぶり!ですが、意外にも砂埃がちょっとつもっていただけでした。(おそろしいことになっているのでは、とずっと心配してて損した!)
 ベンハー君はそれをてきぱきっと掃除して、それからまた塗装にとりかかり、結局たった二日で二度塗り完了です。



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 うわー、これはまばゆい!
 この別世界感、ちょっとすごいかも。まるっきり「よそのお宅の中庭」になってしまいました、バンザイ!
 引越しした並みの、大きな気分転換効果です。ペンキってすごい!



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ゼラニウムの花色も
ずっと鮮明に見えます



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 ペンキは本当に、四面を塗ってみないと、効果のほどがわからないものですね…
 紙の上で考えた色より、やや明るい青にして良かったです。晴れの日には、こんなに濃い青に見えるので。



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 壁におちる、濃淡さまざまな青い影が、なんとも美しいです。
 風に揺れるオリーブの影をぼうっと見ていると、それだけで地中海旅の気分です…
 それにこの水色は、アンデスでもよく使うので、日によっては懐かしい高地旅行の気分です。



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さいごの夏日の午前中


 しかも青い影の色あいは、時々刻々と変わっていくので見飽きません。
 「わかりやすい地中海カラー」、大成功です!



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初冬の朝


 ただ、冬になると水色は寒々しいかも、と思っていました。
 でも大丈夫でした、快晴を思わせる青なので、意外にもあったかさを感じるんですね!
 曇っていると、影のおもしろさこそありませんが、ゼラニウムはますます冴えて見えるのも、おもしろい発見でした。



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 海霧でまっしろの、うすら寒くて眠い朝も、中庭の青空色を見ると、ぱかっと目が覚めます。
 窓の青ガラスや、色褪せた水色の窓枠との相性も、かんぺきでした。



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 玄関側から見た中庭。さいきん裏庭の糸杉が、ここからもちょっとだけ、見えるようになりました。
 左手のスイカズラも、もう少しで中庭に届きそう。次の夏には、ずいぶんとかぐわしい中庭になりそうです。


 もともと青が好きだった宿六、さいきんよく中庭を見ては、嬉しそうにしています。
 これから室内も順番に、少しずつ水色に塗り替えようと思います。いつでも青空の下にいられるように!



2022年8月11日(木) 午後6時の室温20.1℃ 外気温16.9℃ 霧雨のち、ちょっと日が射してまた曇り
非常事態令出しっぱなしで三年め日記(75)
<今度こそバラ園>



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 裏庭の奥、矢印のあたりに、大きな堆肥コーナーがあります(…写真の生まれてすぐのコヤチャ、つくづくちっちゃいな!)
 もとは大量に出る芝の始末用でしたが、今はアルパカたちが毎日芝を食べて、すぐ肥料にかえてくれるので、ほぼ無駄になっています。
 なのでこの冬は、堆肥コーナーを半分に狭めることにしました。剪定枝をゆっくり分解させる場所だけ残して、あとはバラ園にしようと思います。


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 それではさっそく、楽しくバラ苗を選びに!…といきたいところですが、リマでは大問題があります。ぜんぜんバラの種類がないのですわ!

 たとえば、品種名のわかるバラを売っている、知るかぎり唯一のお店、Vivero Los Inkas。
 草木の種類はリマでいちばん多く、レジのお姉ちゃんの不愛想だけ見なかったことにすれば、とても良い店です。


 しかしバラ売り場は写真の通り。これっきりです。いつ行っても(たぶん25年は通ってますが、25年間いつ行っても)まったく同じありふれたモダンローズが、十数種あるかないか。とうの昔にぜんぶ買っちゃったよ。
 日本のオールドローズやイングリッシュローズ専門店の、すばらしい品ぞろえを見ると、涙にくれるほかありません…



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 期待はできませんが、いちおう近所の園芸店もまわってみましょう。
 パチャカマックには数十か数百か、数えきれないほど園芸店がありますが、でもバラはほとんど置いていません。あったとしても、決まり切ったこの写真の顔ぶれです。
 どの店も、まったく同じハイブリッドティーとミニバラ、まれにフロリバンダが少々。以上終り。です。


 なんというか……バラはバラでも、とっても古くさいのです。大昔の少女マンガで、主人公が横にくわえて出てきそうな、昭和のにおいのバラばかり。

 こうなるとさいごの頼みは、右の写真の、オアシス花市場(Mercado de flores Oasis)。
 ここもバラ苗はほとんどありません。ただ店ごとに仕入れ先が違うので、まめに見まわっていると、ごくごくまれに拾い物があります(今回も運よく拾いましたが、そのお話はすぐあとで!)



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 ほかに選択肢もないので、オアシス市場のわずかなバラの中から、香りのあるバラを選り出し、あるだけ買ってきました。
 挿し木や接ぎ木したばかりの、ごく小さな苗しかありませんが、そのかわり一本3ソルから8ソル(200円前後)ですので、費用面は気楽です。


 リマでのバラ栽培は、良いところと悪いところ、どちらも際立っています。
 種類がぜんぜんなくてつまらんかわりに、冬枯れの時期がなく、一年中緑で花もよく咲くのは、天国めいていてわるくありません。


 害虫も病気もほとんどなく、アブラムシとたまーのウドンコ病くらい。(むしろ最恐の害獣はアルパカ…)
 そのウドンコ病も、白くなった葉を取ってしまえば、常春のありがたさ、すぐ健康な新芽が出てきます。
 アブラムシのほうも、これはエヘン!私の発見ですが、トウワタを近くに植えれば即解決。アブラムシはみなトウワタに行ってしまって、バラにはよりつきもしなくなります。


 さらにうちの場合は、殺虫剤のみならず化学肥料も使いません。アルパカのフンだけで済ませています。別にがんばって無農薬&オーガニック栽培をやっているわけでは、全くないのですが、楽な道を選んだら結果的にそうなった、という運の良さ。
 おかげで剪定したバラは、ぜんぶアルパカのおやつにできます。



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 バラを探すあいだに、ベンハー君が堆肥コーナーをきれいに整理してくれました。おお、思ってたより広い!
 モージェの木の下に盛り土もしてもらい、そこに芝をはってパレット製のベンチを置けば、遺跡によくある「インカの玉座」みたいになりそうです。
 買ってきたバラ苗も、足元に並べてみます。


 …そのとき、ふっと強いダマスク香がしました。
 香りのもとをたどると、オアシス市場でほとんど気にもとめず、「まあ数のうちだから」と買っただけの、小さな地味な二本の苗です。



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 でもうちに来てから開いたつぼみは、みっしりと花びらがつまっていて、どう見てもモダンローズではありません。また色も香りも、どこかで出会ったことがあるような……

 もしかしてこれ、ダマスクローズ?!
 ダマスクローズには深い思い入れがあり、もう十年以上、リマで探していますが、手がかりすらなく諦めかけていました。それが新しいバラ園にとりかかったとたん、よく似たバラが忽然と出現するとは!



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 苗の計画生産なんて、たぶん誰もしてない当地では、「見たときに買っておけ!買い占めよ!」が鉄則です。
 そこでただちに宿六を、オアシス花市場に再派遣、残っていた苗を確保させます。お店の奥さん、地味であまり売れないバラがたくさんはけて、とても喜んでいたそうです。


 なお、さいしょダマスクローズと思ったこのバラですが、冬の今さかんに咲いている、ということは、たぶん四季咲きの別種なのでしょう。


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 またとても丈夫なバラらしく、地面におろすとすぐに、すいすいと伸び始めました。
 花は可憐なカップ咲きと、クォーターロゼット咲き(小さな渦を複数まいた咲き方)が混ざっていて、トゲはほとんどなく、つるはしなやか、ガクは長め…
 たぶんブルボンローズ?と見当をつけていますが、いずれ大きく育ったらわかることでしょう。わかんなくてもいいけど。


 今の時点で確かなのは、おそらくダマスクローズ以上に、私の好みにぴったりなこと。二度と会えないと困るので、さらに追加を取り寄せました。もうそこらじゅうに植えちゃいます!
 写真は、急な特需?にごきげんな奥さんが、「このいちばん小さいのは、ヤパ(おまけ)ね!」と言っているところです。


 その後、パチャカマックのイサベル奥さんの店でも、同じバラを見つけました。当地にはオールドローズという概念がないらしく、みなさんミニバラと言って売っていますけど…(ぜんぜん違うと思うんだけどな)
 出どころは、チョリージョスにある同じ農場らしいです。イサベル奥さんに頼んで、ほかのオールドローズかイングリッシュローズがないか問い合わせてもらいましたが、そこの店主さんもたまたまこの一種を栽培していただけのようでした。うーん残念。



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 でもなにしろリマなんですから、絶対ないと思ってたオールドローズが一種あっただけでも、ほとんど奇跡です!
 アルパカたちが興味津々で見守る中、嬉しく植えつけにとりかかります。


 (ついでながら、原種のバラRosa caninaとRosa eglanteriaは、アンデスに帰化しているようです。そのうち手に入れたいです)


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 さてバラ園といいますと、中央に何か水場を作りたくなります。そこで大きな洗濯桶を買ってきまして…


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 ででんっとそのまま置く………


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 …のはあんまりなので、ベンハー君にまたパレットで箱を作ってもらいました。
 中には余りまくっている熱帯睡蓮を入れました。(先だってイサベル奥さんに一本70ソルで売れましたが、まだ余っています)



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 さて、突然ですが、皆様にずっとご無沙汰している七面鳥たち。
 最終的に三羽すべてが卵を生みました!という笑い話も、たしかまだお伝えしていませんでしたね…それを受けてサルボ君も、エストレジータ(お星さま)と改名いたしました…


 しかしメスでも七面鳥はでかくて、今ではよたよた歩きまわるだけで、庭の草花をいためつけてしまいます。
 加えてペンタスやマーガレットが大好物ときて、とうとう先月、私の堪忍袋の緒が切れました。これ以上花を荒らされないように、堆肥コーナーの一角に小さな囲いを作って、閉じ込めました。



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 宿六もベンハー君も、「七面鳥はこれくらいの広さでじゅうぶん」と言います。でも急に狭いところに押し込んだので、やはり哀れがかかってしまい…
 「だったら堆肥コーナー全体を囲って、そこを自由に歩かせればいいのでは?」と、また私がよけいなことを思いつきます。
 幸いわが家には、一年前から「常設のすぐやる課」ができましたので、大丈夫です。課長のべンハー君がただちにとりかかります。



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 取り付け中の七面鳥の囲い。堆肥コーナー側から、新しいバラ園のほうを見たところ。
 夏場は堆肥に虫がわきやすいですから、それを七面鳥に退治してもらえば一石二鳥となりそうです。



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 いつものように、あっという間に完成。
 囲いの網には、これからいろんな種類のツタ植物をからませます。



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 七面鳥たちも、以前ほどの跳梁跋扈&好き勝手はできませんが、羽根を伸ばしてくつろげるようになりました。
 残る課題は、お年ごろのオス探しですね、メス三羽では非生産的すぎますので。
 ときどき生む無精卵は、ベンハー君一家が食べていますが、ほぼ鶏卵と同じ味だそうです。



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 その後も日々、少しずつ形になっていくバラ園。
 堆肥の目隠しに植えていたパンパスグラスやシェフレラも、もういらないので引っこ抜きます。
 青々とした実生のビワだけ残します、「ペルーナイト・ビワ」の大事なご子息ですので。



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 ちょうどこの段階で、ベンハー君が休暇に入ったので、パンパスグラスの藪は、私たち二人でやっつけます。思った以上の手ごわい藪で、身体じゅう痛いこと痛いこと。


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 でも成果には大満足!
 アマンカイのミニ丘とバラ園がつながって、庭でいちばん気にくわなかった堆肥コーナーが、「いちばん今後が楽しみな場所」に変わりました。


 盛り土の上に据えたベンチに、モージェの大枝がアーチ状にかぶさっているのも、とても気に入っています。あとはバラが育って、それから七面鳥の囲いに蔦が絡んで、堆肥が見えなくなるのを待つだけです。


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藪払いで出た刈り草の上で、
ころげまわって喜ぶコヤチャ



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 ところで、リマの気候では、たいていの草花が、常緑化、多年草化、四季咲き化、木質化します。
 従って、季節ごとの植え替えという、たいへんだけど気分一新できる楽しみはありません。
 まあ楽っちゃあ楽ですが、それに甘えていると、「強いものだけが生き残って、勝手に大繁茂するワイルドな庭」になってしまいます。うちのように。



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元バラ園。……どこが?!


 わが家でバラ園と称するコーナーも、すでに二つあったのですが、ひとつはペルシャ柘榴の挿し木に占拠され、もうひとつはデイジー&マーガレット園に化けました。昨年のいまごろ、むきになって挿し枝していたザクロとデイジー類が、ほぼぜんぶ根付いてしまったからです……
 一日中、青白い冷たい光に包まれるこの季節、かわいい花々はとてもなぐさめになりますが、にしてもバラはどこ行ったのよ??



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 それだけに新しいバラ園は、今度こそ本当にバラがあるバラ園に!(笑)
 またワイルド系ではなく、こじんまりと古風な一角にしたいです。せっかくならとことん古風に、イスラム式に四つに仕切って、石ころで素朴な小道を作っては?…などなど、いろいろためしているところです。
 これがちょっと異様なほど楽しくて、あたまの中が文字通りお花畑になってます。



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 色とりどりのバラのまわりに植えるのは、銀色の葉っぱ、イモーテル、ラベンダー、サントリーナ…がいいですね。
 今またその挿し枝中ですが、今度こそやりすぎないようにしなければ。


 気温は15℃〜17℃、湿度90%、薄日しか射さない今のパチャカマックは、挿し枝天国です。いくらでも増えてしまい、でもいったん根付いたものは、かわいそうで処分できなくなって困ります。とっても贅沢な悩みなのですが。


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霧雨の朝。
やっぱりリマの冬はいいな!



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 こちらは、少しずつ育ってきた石の小道。中世の石工の気分で、のめりこんでおります。


<懐かし、モロッコのバラの谷>



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モロッコのダデス谷


 2011年のモロッコ行以来、リマでずっと、むなしく探し続けたダマスクローズ。
 このたび、風情のよく似たバラがとつぜん見つかって、もう嬉しくてなりません。
 それで久しぶりにモロッコの写真をのぞいたら、まだご紹介していない写真があったので、少し載せますね。



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 ダマスクローズの精油蒸留所の前をゆく、バラ色の頬の娘さんたち。


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 道沿いの壁に描かれた「バラとカスバの谷」。たしかに風景はこのまんま!でした。


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 バラ尽くしのお土産品店の、手描きの広告。これはバラ石鹸かな?


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 麦畑のまわりを囲む、ダマスクローズの生け垣。
 離れていても、すばらしい香りが風にのって届きます。



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 うちの新しいバラ苗も、これくらいに育ちますように!


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 ルネサンス初期の絵のような、昔ながらのバラのこの咲きかたが、大好きです。
 長い茎の上に、どーん!とひとつ、大きすぎる花が咲くハイブリッドティーには、こういう力強くも優しい風情は、まったくないですものね。



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 オールドローズらしく、長いガクに包まれたかわいいつぼみ。バラはやっぱり、ピンクがいちばん。


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できることなら、この塔もうちに作りたい…


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 淡いバラ色のスカーフをかけて、朝のバラをつむ人。このあと蒸留所に運ぶのでしょうか。

 楽しい思い出ばかりではない、短いしんどいモロッコ旅でしたけど、今となるとすべて懐かしく、また五月に行ってみたい気がします。
 ああでも、次回はフランス語がちゃんと聞き取れるようになってから、ね!


 ここ数年、イタリア語のドラマや映画を見続けて、よく聞き取れるようになったので、今月からおフランス語に移行しました。大学でも四年やったはずですが、それは無に帰していた、ということだけはとりあえず確認できました。


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 ダマスクローズの茂みの近くに、これまた原種に近そうな白バラが咲いていました。
 見るからに強香のバラですが、肝心の香りが思い出せません…



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 マラケシュの香料店で、ダマスクローズのつぼみに再会。


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 こちらは前にも載せた写真ですけど、おかしくも懐かしいのでもう一度。
 新鮮なダマスクローズの花びらを連ねただけの、でも「香水かけたの?」と驚くほど香りたつ花輪です。



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 それが翌日、サハラ方面に向かう車内で、みるみるうちに干からびていきまして…
 まさに「あしたに紅顔ありて夕べに白骨となる」的情景で、暑いのになぜかぞくっとして、つい手鏡を真剣にのぞき込み、ガイドのアディルさんに大笑いされたのも楽しい思い出です。


 ダマスクローズは、触れるだけで砕け散るほどカラカラになっても、もとのまま香り高く、なんだかそれは心強かった?ですけれど!
 あれからもう11年。私も少しは香りを残しつつ、感じよく干からびつつあるといいのですがー。



2022年9月9日(金) 午前零時半の室温19.8℃ 外気温15.7℃ 曇り、霧雨
非常事態令出しっぱなしで三年め日記(76)
<ベンハー君の苦労話>



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ちゃんと水をやれば、なんでもよく咲くのねー


 庭師のベンハー君は、お勤め二年目に入りました。前の永吉君とは比較にならない仕事ぶりなので、この一年で庭が驚くほど庭っぽくなりました。
 「どうしてうちの花は、いまひとつよく咲かないのかな?」と、ずっと不思議に思ってましたが、単に永吉君が水やりをサボってただけでしたねー


 またベンハー君は、私の考えを察するのが上手で、たとえば「そろそろあの枝は切ったほうがいいな」と思っていると、翌日あたり「あの枝、切りましょうか?」とむこうから言ってくる、といったことがしょっちゅうです。要するにベンハー君は、庭をちゃんと、私と同じくらい熱心に見ているのでしょう。

 良い機会なので、ベンハー君がうちに来るまでの苦労話をお話ししましょう。
 ふるさとアプリマックでは仕事がないため、8年ほど前、思い切って一家で海岸部に出てきて、各地を転々としつつ、さまざまな仕事をしたそうです。
 ここパチャカマックの山寄りには、右の写真のような住宅地がありますが、ベンハー君が最終的に落ちついたのも、そういう昔からあるお屋敷で、そこで昨年までの6年間働いたそうです。



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パチャカマックのお屋敷町


 そのお宅では、馬11頭!と、めんどり22羽、犬2匹、雌牛1頭を飼っていたそうです。
 雌牛は朝夕15リットルずつミルクが出るそうで…と言いますか、つまりはベンハー君が毎日30リットル、手でしぼらないとならなかったわけです。
 またパチャカマックで馬といったら、caballo peruano de pasoに決まっていますから、定期的にパチャカマック遺跡近くのママコーナまで訓練に連れていかねばならず、それもベンハー君の仕事だったそうです。


 そのほか広い庭の管理もあって、大忙しだったそうですが、先代のご主人は厳しいけれど公正な人だったので、やりがいがあったようです。でもそのご主人はほどなく亡くなり、それからすべてが変わってしまったそうです。
 もとは三人の男手があった由ですが、ベンハー君がいくらでも仕事をこなすものだから、女主人(先代の未亡人)が節約のため二人クビにして、ベンハー君ひとりになってしまいました。つまりそれだけで、仕事は一気に三倍です。
 また女主人は、週末に家をパーティ会場として貸し出したり、ケータリングサービスを始めたりで、その細々とした手伝いや、料理の出前サービスまでやらされたそうです。


 それでも先代への恩義を感じて、がんばっていたベンハー君でしたが、そこに起きたのが、2020年と21年の長期のロックダウン。
 感染を異常に恐れる女主人から、なんとまあ一家全員「外出絶対禁止」を言い渡され…(これは完全に人権侵害ですが、雇い人に対してそういうヒステリーを起こしたお宅、当地では少なくなかったようです)
 おかげでベンハー君一家は、狭くて窓がなくて息苦しい上に、壊れた下水の前に建っている従業員小屋に閉じ込められ、あのしんどいロックダウンの日々を過ごしたそうです。
 食料品すら自分では買いに行かせてもらえないので、やむなく配達の高い商品を買うほかなく、それもたいへんだったようです。



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アンダワイラスから持ってきてもらった屋根の十字架。
うち二つを「小さな家」の屋根にのっけました。


 ベンハー君の奥さんゼラニウムちゃんも、もとは同じ家で台所を担当していましたが、ベンハー君と同じにキリなく仕事を増やされるので、妊娠がわかった時点で辞めたそうです。すると、「おまえの家族は、うちにただで住まわせてやってるのだから」といったいやみまで言われるようになり、ついにベンハー君の我慢も限界に達します。
 そしてひそかに仕事探しをはじめた時期が、ちょうど永吉君がうちを辞めた時期と、ぴったり一致したわけです。ありがたいことに。


 ベンハー君とうちの接点となったのは、近所の食品店主のココさんです。
 ロックダウンでリマ市内まで行けなくなり、仕方なく近所で買い物するようになって、初めて知ったお店ですから、人生なにが幸いするかわかりません。
 宿六が買い物ついでに、ふと思いついてココさんに事情を話したところ、日ごろは生真面目で無駄口ひとつたたかないココさんが、即答しました。
 「それならぴったりの人がいます。正直言って、非常にお勧めの人材です」


 それがベンハー君でした。あとで知ったのは、本当はココさん、自分がベンハー君を雇いたかったんだそうです。でもココさんは商店主で、従業員の住まいは持っていませんから、それで諦めたのだそうです。

 かくしてうちへの再就職が一瞬で決まり、ベンハー君が退職を申し出ると、女主人はいろんな手を使って邪魔だてしたそうです。
 なによりも、退職金の支払いをずるずる引き延ばし、ベンハー君を予定より一か月もよけいに働かせたのは、うちにとっても迷惑なことでした。
 その間、女主人は新人を順に三人雇ってみたものの、全員お気に召さずにすぐ辞めさせたそうです。(ベンハー君が笑って言うには、「そりゃそうでしょう、あの家で言われたままに働く人間が、そうそういるはずもないですから!」)



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アプリマック土産のパン・ワワ。
甘くてうまそうですが、お気持ちだけ頂いて
(=写真だけとって)百合子ちゃんに食べてもらいました


 それでベンハー君は、とうとう最終日の、ぎりぎり最後の数分まで、フルに働かされたそうです。そのくせ別れ際には、女主人とその家族が、「6年もいたベンハー君にすっかり慣れてしまったから、とても悲しい…」と言ってさめざめと泣いたそうで、ベンハー君もなんとも複雑な顔をしていました。
 そんなのは、自分がかわいそうで泣いてるだけだから、ほっときゃいいのです。何かというとすぐ泣く人って、大抵そうですよね。(やはり涙は、ここぞ!というときのために取っておいたほうが得策かと…)


 その後も時々、「給料を上乗せするから戻ってこい」と電話がかかってくる由ですが、「とても遠くで安定した職を得ましたので」と丁重にお断りしているそうです。ありがとうベンハー君。
 ベンハー君の給料じたいは、けっこう良かったようです、3人分以上働いたのだから、当然ですけど。でもうちに来たときは、馬11頭じゃなくてアルパカ2頭だけ、というのもあって、ベンハー君のほうからまけてくれました。
 私の気持ちとしては、昨今の物価高もありますし、少しも早くもとの給料レベルに戻してあげたいです。でも同時に、宿六がいつも言うように、「何事にもバランスというものがある」のも確かです。うちは「小さな家」の設備がいいので、ベンハー君もそれもあって、喜んでまけてくれたようですし。


 そこで今年前半はとりあえず、無料WI-FIサービスだけ、新たにおつけしておきました。
 ふるさとに電話しやすくなったので、よくゼラニウムちゃんがケチュア語で大声で話していて、それがまた風情があって気に入っています。永吉君時代には、奥さんの満里子さんのがなり声(失礼、でも事実だからしかたない)がちょっと聞こえるだけで、ピリピリしていましたが、今は「坊主憎けりゃ」の逆バージョンです。


 そういえば生後九か月のマグノリアちゃんまで、すでによく教育?されていて、毎日お昼ごはん前に、空腹で一瞬泣くほかは、いつもにこにこ大人しくしていて感心します。あの悪夢のようだった瞳ちゃん(永吉君の末っ子)と、同じ人類とは思えません…


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 先だってベンハー君は、「小さな家」の中庭に立派なかまどをこしらえました。これは作り付けで持ち出せませんから、ということは、まだしばらくは辞める気はなさそうですね?

 近年ペルーでは法律が変わって、個人宅で雇う女中さんや庭師さんにも、年一か月の休暇(ただし日曜祝日こみ)と、年二か月分のボーナス支払いが義務付けられました。少し前まではどちらも半分でしたから、出す側はけっこうたいへんになりました。はい。

 休暇はこの7月、ベンハー君が「ふるさとに残してきた土地問題を、解決しに戻りたい」と言うので、なんだか手間取りそうな話だなあと思って、三週間まとめて休みをあげました。
 しかし当地では、一軒家は一瞬たりとも無人にできません(…まあしてもいいんですけど、しないほうがいいです)。なのでベンハー君一家が三週間不在となると、私たちはかなり困るので、大いに身構えて事前にいろいろ準備しておきました。


 ところが、一家がアプリマックに戻って一週間が過ぎたころ、ベンハー君から電話がありました、「あと数日で帰りますので!」と。びっくり、三週間そっちにいるんじゃなかったの?!
 その理由がまた良くて、「旦那さんと奥さん(私たちのことです)が懐かしくなっちゃって。それに自分の庭も気になりますから」なのですと。お世辞でも嬉しいですね。


 そして休みの残り半分は、「ここがいちばん居心地良くて、どこにも行く気になれません」と、「小さな家」の庭で、のんびりごろごろしていました。それで必要なときは留守番も頼めて、こちらも大いに助かりました。
 求職時のベンハー君の売り込みセリフは、「私たちはほんっとうに外出しないんです。休日もほとんどいつでも家にいますから、便利と思います」でしたが、まったくもってその通りでした。



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 昨年ベンハー君が持ってきてくれた球根が、きれいに咲き始めました。以前、マンタロ渓谷で見て、ほしかった花なので嬉しいです。
 ベンハー君はこれを「白いアマンカイ」と言い、またマンタロ渓谷では「インカのユリ」と呼ばれていましたが、ほんとはアマリリスの親戚のクリナム、それも南アフリカ原産種のようです。いかにもインカ模様にありそうな花なので、意外でした。


 うっすらと良い香りもして、ミチカ桜が散ったあと、アマリリスより一足先に咲くようです。春の楽しみが増えました。


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近所にある清潔&トロピカルな果物屋さんは…


 お話かわって、百合子ちゃんのうさぎ、その後。
 メスのおミミちゃんは、出産時にあえなくおなくなりになり、生まれた仔うさぎたちも、小さすぎてすぐお母さんのあとを追ってしまいました…
 泣き暮らす百合子ちゃんに、ベンハー君は「そのうちもう一匹、うさぎ買ってやるから」と言ってなぐさめていましたが、当地ではその手の親の口約束は、まずめったに果たされることがありません。かの永吉君も、ハム君の死んだハムスターのかわりは、とうとう六年間買いませんでしたし。


 そこで私がかわりに探すことにしました。でも別に、親切心100%、というわけではまったくありません。
 だってペットを探すのって、いちばん楽しい部分ですもんね!嬉しく探しに行って、支払いは宿六がして、でも私が百合子ちゃんに感謝されて、しかもペットのお世話は何もしなくていい、というのはすばらしすぎます。



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…小型家畜店も兼ねてます


 この近所のお店には、「バリケン、めんどり、おんどり、ヒヨコ、うさぎ、クイ、などなど」という看板が出ていて、裏手の駐車場に行くといろいろ見せてもらえます。
 でも表のお店のほうも、様々な商品がちょっとずつ並んでいて、いかにもペルーらしくていいですよね!
 いつかうちの門前に、こういう店を作りたいのですが、宿六は「どうせ利益は出ないから、やめたほうがいい」と、ハナから否定します。


 私はこの、ペルーらしい長閑さが好きなのであって、これで儲けたいわけではないのですが。いわば趣味の一環、家のエクステリアの一部としてかわいいお店を作り、愛嬌のあるゼラニウムちゃんに店番でもしてもらえば、きっと楽しいだろうな…ということなのですが、商人の宿六には意味不明かしらね。
 ま、遅かれ早かれ、いつものように私の希望通りになることでしょう。



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 何匹か候補うさぎを見て、百合子ちゃんに写真を送って選んでもらいました。
 耳の垂れた、ちょっと高級なうさぎ(♀)…だそうです。



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 「あーーー、私の新しいうさぎーーっ!」と、全身で喜びをあらわす百合子ちゃん。なんだかタキーレ島の子供たちを思い出しますねえ。(あの懐かしくも恐ろしい酸欠島には、ちょっともう行けないだろうなあ…)
 新入りうさちゃんの左隣は、やもめのおヒゲ君です。



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 新入りうさちゃんは、太いのであやしいと思ってましたが、やっぱりすでに妊娠しており、名前をつけるより先に、6匹の仔うさぎを生みおとしました、ひゃ〜!
 ぜんぶ真白、コヤチャみたいに全身真白な仔うさぎです。


 右の写真は、仔うさぎを大事に籠に入れて持ってきて、芝の上にそっとおろしてやる百合子ちゃん。学校がひけたあとの、これが日課だそうです。
 なのでベンハー君が休暇をとったときも、百合子ちゃんは「たとえひとりでも私は家に残って、うさぎの面倒を見る!」と言っていたそうです。
 幸い近所の親戚が預かってくれたので、百合子ちゃんも旅行できましたけど。



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 仔うさぎのうち二匹は、故郷で所帯を持った薔薇子ちゃん(百合子ちゃんのお姉さん)に持っていってあげたそうです。
 薔薇子ちゃんは、「マイラビット」(笑)と呼んで、どこに行くにも連れ歩いているそうです。…ついでながら、薔薇子ちゃんも(うさぎといっしょにして、「も」というのもなんなのですが)、すでにおなかが大きくなってきたそうです。ゼラニウムちゃんは、30代でおばあちゃんになるのですね。



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これはもう無敵のかわいさ…


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 花の管理にはうるさいゼラニウムちゃんも、仔うさぎが食い荒らすのは、笑って許しているようです。
 でも、「あんまり殖えすぎたら、食べるのもいいかもね。うさぎってとてもおいしいから」と口走り、百合子ちゃんが凍り付く一幕もありました。
 ややあって気を取り直した百合子ちゃん、「私にとって、うさぎを食べるのは共食いに等しいの!だからお母さん、ぜったいやめてよね!」と、ゼラニウムちゃんにぐさっと釘を刺していました。



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 その後もときどき「小さな家」を覗きに行くと、うさぎを抱っこした百合子ちゃんが、アンデスの子らしい高くふるえる声で、「セニョ〜ラ・キョウコ〜、ブエナス・タルデ〜ス!」と挨拶してくれて、するとそれを聞いたゼラニウムちゃんも、極彩色の手織り布で赤ちゃんを背負って出てきます。
 そして芝の上ではうさぎが跳ねて、にわとりのコッコッコッコ…という声も絶えず聞こえ、奥の中庭からは、薪で料理中のキヌアスープのにおいまで漂ってきて、いえもうここは完全に小アンデス!


 ほんとこの家族が来てくれて、良かったです。おかげで今までになく心安らかな、とても良い一年でした。
 写真は、チャスキの茶色い毛を紡ぐお母さんを、百合子ちゃんが一所懸命まねしようとしているところ。(昨年の写真なので、マグノリアちゃんはまだお母さんのおなかの中です)。
 はずみ車の棒のところ、回転軸はゼラニウムちゃんに持ち合わせがなかったため、ミチカ柘榴の太い枝で作ったそうです。
 そしておもりは、よく見てくださいね、わかります?…そう、削ったジャガイモです。やっぱりここは、まちがいなくアンデスのようですー



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閉じ込められ損だったおヒゲちゃん。


 ところで………
 ずっとオスと思われて、悪さをしないようメスや仔ウサギから遠ざけられ、囲いにひとり閉じ込められていたおヒゲ君…
 その後、メスだったことが判明いたしました…


 ベンハー君のところは三人娘ですし、コヤチャもメスだし、七面鳥もみなメスだったし…どうもうちは、全体的に女系家族のようです。
 やれやれ、オスの七面鳥だけじゃなく、オスのうさぎも探さなくちゃ!




2022年9月30日(金) 午後6時の室温19.9℃ 外気温17.9℃ 曇り
非常事態令出しっぱなしで三年半日記(77)
<ガルーア(霧雨)のお仕事>



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 急にふわっとあったかくなってきました!
 リマ名物ガルーア(海から寄せてくる、こまかなこまかな霧雨)の翌朝は、庭がたいへんきれいですが、それも今年はそろそろ見納めかな。



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アフリカンデイジー


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ペルペトゥア(イモーテル)


 この冬、庭ではしっかり霧雨が降りましたが、近くのパチャカマックのロマス(冬だけの沙漠の花園)は完全なハズレ年、ほとんどカラカラのまま春を迎えました。わずかな標高の差で、ここまで違ってくるものでしょうか。ちょっと不思議です。
 ただロマスは、一、二年ハズレが続いても、次の冬にたっぷり降れば生き返るので、心配はしていません。



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セリンセ


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クリナム


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試験管ブラシの木(カリステモン)


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アルパカ用ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)


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ヘーベ


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フェンネル


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 霧雨は、庭のすべてを美しく変身させます………ね?


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 コヤチャのひたいに貼りついた葉っぱは、母チャスカが目ざとく見つけておいしく頂きました。


<半端な小ネタ 三題>

1.懐かしい車


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 去年のお話ですけれど。
 4月はじめに、むかしクスコで聞いたこわーい幽霊話を絵に描こうと思い立ち、古い写真をひっくりかえしているうちに、「そういえばタクシーのフェルディナンおじさんの愛車って、なんだっけ?」と、急に気になり始めました。


 写真は、95年に撮ったこれ↑しかなくて、どこの車メーカーだったかも思い出せません。
 そこで、特徴あるリアバンパーを頼りに、70年代マッスルカーに総当たり(こういう作業わりと好き)。そして4月13日に辿り着いたのが、1974年のDodge Coronetという車です。



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 こちら決め手となった広告ですが、車の角度が左の写真とみごとに同じ。やっぱりリアバンパーのデザインが売りだったのかな?
 車体カラーの選択肢には、あの忘れがたい黄色も入ってますし、たぶんこれでまちがいないでしょう。


 大むかし父親が、これと同じトーンの黄色の車に乗っていて、よくタクシーと間違えられていました。なのではるばるクスコまで行って、フェルディナンおじさんの黄色い車に出会ったときは、どうも妙な気分でした。イチョウの落ち葉色とでもいいますか、自家用車にはあんまりない黄色ですものね。


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 さて、モデル名をつきとめてから6日後の、昨年4月19日…
 パチャカマックのまんなかで、なんとまあ出くわしたのですわ、同型の車に!!
 95年のクスコでも、ほぼ唯一無二だった珍しい車です。よくぞまあ更に27年もたってから、すごいタイミングで目の前に出てきてくれたものです!それもわが家のすぐそばで!


 しかもこちらのダッジさんも、オリジナル塗装のようです、大事にされてるんだろうなあ。昔の自動車の、この馬車みたいにがっしり作られた頼もしさ、いいですよね。


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 以前リマでは、こういうカラフルな車?によく会いましたが、いつのまにかぜんぜん見なくなっちゃいましたよね。
 運転手さんが、ワーゲンを分解しつつ熱心に修理しているところを、95年にラ・モリーナの借家から撮ったのですが、これももう27年も前なんですね。


 幼少期、母がねんじゅう「戦争中の話」をするので閉口していましたが、思えばそれも、当時から「ほんの25年ほど」前の話だったのですよね。つまり私が今、リマに来た当時の話をするのと、まったく同じなわけです。
 この年齢になるとよーくわかりますが、母にとっての戦争中は、「きのうのことのよう」だったのでしょう。そもそもが時間じたい幻想ですから、それがあたりまえなのですけれど。



2.スーパーTottusの特売品


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 先日スーパーで、50キロ袋詰めのお砂糖を、それも山積みにして特売してました!驚愕!

 ここ業務用スーパーじゃないですよ、Tottusという普通のスーパーマーケットです。つまり一般人で、砂糖をまとめて50キロ買う人が、少なからずいるってことなんでしょうか。うちでは5年前に買った砂糖の1キロ袋が、ほとんどそのまま冷蔵庫で眠っていますけど…(たまに虫用の毒の調合に使います)。
 でも、かつて女中のアントワネットちゃんは、実質二人家族で、週3キロずつ使い切っていましたから、もっと大きな家庭なら50キロ袋もせいぜい1,2ヵ月分、大したことない…のかも?
 永遠に終らない・終らせたくないコローナ警戒時代もけっこうですが、ペルーはそれより先に、このへんをどうにかすべきですよね。


 お砂糖の上に書いてあるpreciazoとは、まあ大出血価格くらいの意味あいでしょうが(50キロ砂糖もこれで30ソルくらい節約になるもよう)、このスーパーTottusの特売品のうち、チーズコーナーは一見の甲斐ありです。
 ひごろ驚くべき高値がついている輸入チーズ…当地では需要が少ないため、しかたないのですが、それにしても無茶な価格設定になっている輸入チーズ…ですが、それもとっかえひっかえ特売になるのは嬉しいです。



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 先日はブルターニュの生クリームたっぷりなチーズを、80%オフで買いました(…それでやっと適正価格ですね、という気もしたけど)。
 戸棚のすみっこに残っていた蜂蜜をのせたら、とてもいいデザートになりました。


 Tottusには、ちょっと味のわかるバイヤーがいるようですね。チーズもWongよりずっとマシな品揃えですし。あ、もちろん日本の都会と比べちゃだめですが。
 またお手頃価格のスペイン産無添加サルチッチャとか、よく選ばれたおいしいおみかんとか、ときどき見に行くと拾い物があります。


 私たちの食事のほうは、その後もグルテンぬき、低糖質、高たんぱく&高脂質、自然塩たっぷり、というのが、何の気構えもなく淡々と続いています。
 変化がなさすぎて、「リマでグルテンフリー」のページの更新もできません。


 宿六も私もどこもわるくないので、別に少しくらいお米や麺類を食べてもいいのですが、ぜんぜん興味がわきません。宿六のかつての大好物、親子丼も、食べたいときは言うよう伝えてありますが、ついぞお声はかかりません。
 でも、ついにリマでも買えるようになった♪スペルト小麦粉で、たまにパンは焼いています。年に二斤ほど。



3.今年のミモザ


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 この冬の庭のミモザ、もはや神々しかったです。


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 晴れた日には、ミモザの下のベンチで、甘い香りに全身で浸りました。
 萎れてぽろぽろ落ちる花のほうは、チャスカがおいしく頂いていました。たぶん花も甘いのでしょうね。
 そのミモザも終って、とうに散った桜はもう実が熟し始め、さて次はそろそろハカランダの開花ですね。



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 今度の春夏が楽しみな新バラ園は、まだ支えの棒ばっかりで寂しいので、すきまにアリッサムを植えました。
 当地ではアリッサムも、もっちろん四季咲き多年草です!
 蜂蜜みたいな強い香りもすばらしいですし、タネが落ちて勝手に増えますし、言うことなし…なのですが、七面鳥とアルパカの大好物ゆえ、ここ数年は栽培をあきらめていました。



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 「いずれ海の家を建てたら、楽に地中海っぽくなるアロエ鉢をたくさん飾ろう」と思い、中庭で増やしていたアロエ鉢。
 しかし、なかなか家を建てるところまでいかず、鉢だらけでうっとおしくなり、考えたすえ新バラ園にもってきました。
 それをこうして並べてみると、急にあいだに小道があるように見えてきて、うん、これはなかなかわるくないかも。



2022年10月1日(土) 正午の室温20.5℃ 外気温19.0℃ 快晴!
非常事態令出しっぱなしで三年半日記(78)
<これはめでたい!!マスク強制(ほぼ)終了!>


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リベンジ消費の真の原因は、マスク強制でした!
ということにしておこう。


 こちらペルーでは本日10月1日より、マスク強制が(ほぼ)撤廃されました!わーーーーい!
 まったくもっておありがたいことです!腰抜けペルーのバカヤロー!(27年税金払ってますからこれくらいは言わせてもらいます!)
 スーパーマーケットやレストラン、ショッピングセンターなどでのマスクがいらなくなるので、ほんと助かります。


 例外は病院内や、バスなどの公共交通機関を使うとき。私はどっちも使わないので無関係。
 また「換気されていない屋内」でもマスクが義務だそうですが、どんな小さなお店でも窓か換気扇くらいあるでしょうから、誰も留意しないであろう無意味な但し書きですね。


 去る5月、まず「屋外でのマスク使用義務」がなくなったときは、その後もほとんどの人が外でマスクをしているので、とても驚きました。
 マスクを使い続ける人の半分は「まだなんとなくこわいから」。そして残り半分は、「お店に入ったりバスに乗ったりするとき、いちいちマスクを着脱するのが面倒だから」。たぶんそういった理由でマスクを使っているのかな、という印象を受けました。


 私たちはもちろん、直ちに屋外でのマスクをやめた圧倒的少数派のほうですが、だからといっていやな顔をされたりは、全くなかったですね。
 法令でマスク強制が撤廃された以上、ペルーの人たちは互いによけいな気遣いなんかしませんから、あっさりしてて助かります。



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リベンジ消費の主な受益者。
(これ猫ベッドが入ってた大箱ですが、
ベッドより箱がお気に召したという、
猫オーナーにはおなじみの状況)


 2年半も続いた強制でしたが、とうとうマスクにはなじめませんでしたねえ。

 喘息はとうのむかしに、薬なしで制御する技を身につけましたが、でも生まれつきの体質が変わったわけではないようです。ちょっとしたことで気道が狭くなるので、マスクをつけて歩けば即・酸欠、頭がぼうっとなります。
 スーパーで1時間ほどうろつくのも気絶ものの苦行なので、買い物はほとんど宿六に任せるようになり、よって外で無駄遣いできない私は、ネットでの消費に走ることとなりました…。例の大きな箱がいっぱい届いて、猫大喜びです。


 なお非常事態令じたいは、また1か月延長だそうです。いちおう出しとくと、なんとなく安心なんでしょうね…マスクさえ使わなくていいなら、私はもうどうでもいいですけど。

 あす日曜は、残念ながら選挙で世間がざわざわするので、まあうちにいますけど、週明けはぜひどっか行って、のびのびマスクなしで呼吸じたいを楽しんでこようと思います!ほんとうに嬉しいです!


2022年10月17日(月)) 午後5時半の室温19.8℃ 外気温17.7℃ 曇り
非常事態令出しっぱなしで三年半日記(79)
<君は見たことあるか?! 「インターネットの断面」を…>


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 数週間前に、わが家の電話回線が突如死んでしまい、ネットも不通となりました。
 テレフォニカの回線はわりとよく落ちるので、はじめはあまり気にせず、自然蘇生を待っておりましたが、丸一日過ぎても戻ってきません。
 そこで苦情を申し立てると、点検担当者がわりとすぐ来てはくれたのでしたが…


 その人から送られてきたのが、上の写真。うちの近所で、電話回線の束がザックリ切られ、そこにあった交換機か何かが盗まれてしまったのだそうです。
 プーチンのせいだかカスティージョのせいだか知りませんが、金属価格の値上がりのため、最近よく盗まれるのだとか。そして、「これは私では対応できないので、担当者にまわします、さようなら」ということで、連絡が途絶えました。


 それからは毎日、テレフォニカとの空しい戦いです(担当宿六)。
 電話をかけるとまず出てくるのが、信じられないほど馬鹿なロボットで、そこをなんとかクリアして、生身の人間が出てくるまで数十分。
 でもテレフォニカの生身の人間も、問題解決能力においては、あまりロボットと大差なく…


 かくして、
 「今日もまだ電話使えないんですけど」
 「担当者は明日、もしくは明後日に伺うようプログラムされております。私にはそれ以上はわかりかねます。担当者からの連絡をお待ちください。さようなら」
 という全く同じやりとりが、10日以上続きました。


 しかたないので次は、「上役を出せ」攻撃に移ります。
 そしてタライまわしにされながら、数時間かけてやっとつかまえた「上役」の説明で判明したのは、
切られた回線が復旧する見込みは(今のところ)ない、という驚くべき事実でした(笑)
 盗難されたのはとても古い設備で、直してもすぐ盗まれるので(笑)、できればもう直さずに契約客をすべて新サービスに移行させたい、というのがあいつらの本音のようです…
 でもそこにも、別の大問題があったのでした…


 その新サービスとやらには、うちはもうずっと前から申し込んでおり、遅くとも二週間前には取り付けに来るはず…来ていたはず…だったのですが、今にいたるまで誰も来ません。新サービスに移行さえすれば、切断された旧回線とは縁が切れてめでたしめでたし、なのですが、まったく来る気配すらありません。

 かくして、
 「今日もまだ取り付けに来ないんですけど」
 「担当者は明日、もしくは明後日に伺うようプログラムされております。私にはそれ以上はわかりかねます。担当者からの連絡をお待ちください。さようなら」
 というやりとりを、やはり10日以上続けました。(つまりテレフォニカへの二つの苦情電話を、同時進行で毎日し続けているわけです。宿六おつかれ)


 そしてこれも「上役を出せ」攻撃に移ったあとで、やっと判明したのが、すぐ新しいサービスに移行できる見込みは(今のところ)ない、という驚くべき事実でした(笑)
 うちの近所ではキャパシティいっぱいで、今は無理なんだそうです。じゃなんで、申し込み受け付けたのよ…



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見事な切り口ですが、
どんな道具で切ったんでしょうね?
これで何軒分くらいなのかな?


 いえね、ここまではまだしも理解できるのですよ、物理的な困難がいっぱいある、わけですから。しかしなんでもう何週間も、「明日か明後日に修理します」「明日か明後日に取り付けに行きます」と、テレフォニカはしょうもないウソをつき続けたんでしょう?そういうところがとってもいやです。
 で、結局どうするテレフォニカ?何も善後策はないの?要するにやる気ゼロなの?(ま、それは今に始まったことじゃないけど)


 まあそんな状況でして、ずっと電話回線なしで暮らしておりますが、でもテレフォニカの請求書は、請求書だけはちゃんと来るんですよー!
 もちろんまた電話して、大馬鹿ロボット&受付嬢(「大馬鹿」はロボットのみにかかります、ねんのため)の後でやっと辿り着いた「上役」がいうには、「では、特別に20ソルの割引クーポンをさしあげます」ですと。


 いや、ちょっと待った、そういう話じゃないと思うんだけど。それに20ソルでは、苦情のため費やしたスマホ通信料と時間代にすらなんないですよね。
 テレフォニカ社が、スペインの粋を集めたひどい会社なのは、昔からよく知ってるつもりでしたが、これはもはや別次元のひどさです。逆に感心しちゃいます。


 今回の事態で、大いに迷惑しているのは宿六です。
 私は苦節58年、ついに「社会とほぼ関わりを持たない夢の暮らし」を実現しましたので、ネットがなくてもさしたる痛痒は感じません。でも宿六は仕事がら、固定電話とネットをフルに使うので、大弱りです。


 もちろん最初にやったのは、Claroのスマホ回線をパソコンにつなぐこと。でもそれがまた、どうにもうまくいきません。
 日本のスマホはペルー市場から撤退してしまったので、つい先だってやむなく買ったGalaxyスマホですが、いったい何の問題があるのか、接続が不安定で使いものになりません。


 悪戦苦闘する宿六を、私は(自分はほぼ関係ないものだから)10日ほどぼーっと見ていましたが…
 あ、そういえば私、古いSonyのスマホ持ってた!と思い出し、それをホットスポットにしてみると、これがもう笑っちゃうくらい絶好調。テレフォニカの固定電話回線より快適なんじゃないか…と思うほどで、早く試せばよかったです。
 とりあえず今はそれで、宿六は息をついています。


 しかしこの状況、この見事な切り口、いつ解決するか見当もつきませんので、古いスマホ一台では不安です。そこで宿六はねんのため、テレフォニカのスマホも一台新たに契約してきました。
 が、それも買った晩から使えなくなり、またもテレフォニカの無能なロボット&受付嬢と大攻防の末、夜中にやっと「上役」が出てきたものの埒が明かず、結局自分で直しに持ってかないとならないそうです。テレフォニカやることが徹底しているねえ。
 まあついでなので、ClaroのGalaxyスマホもいっしょに持ってって、修理に出すそうです。ほんとにもう、どいつもこいつも、です。


 日本人は円安のせいなんでしょうか、このところ妙に自虐的になってる気配がありますが、やっぱり日本の技術ってまだまだ捨てたもんじゃないですよ。
 ここペルー談話室も、今日は古いSony君のおかげで、久しぶりに更新できます。



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 時節柄ぴったりな写真をネットで見かけました。ネット不通は、おばけなんかよりずっとこわいってことですね。
 ネット不通になったときの、太古の昔に戻ったかのようなえもいわれぬ虚無感が、カボチャ上にみごとに彫り出されていますね。


 (追記。さきほど一時的に、頼みの綱のスマホまでダウンして、それで初めて知ったのですが、これってネット不通のとき出てくるゲーム画面なんですね。
 ふだんスマホ使わないからぜんぜん知らなかった!)



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 こちらにも、おばけより怖いものいろいろ。
 いずれも恐ろしいですが、右下のエンジン警告灯がいちばんいやですね、それも赤く光ってるみたいだし…(すぐ停車せよモード?)
 当地でティクリオ峠(標高4818m)のような、極端に高いところに車で行きますと、これがよく灯るんですよね…
 そういうときの絶望感は、ネット不通なんぞの比ではございません。




2022年10月29日(土) 午後7時の室21.1℃ 外気温17.6℃ 曇り
非常事態令下の日記(80)…ついに最終回!
<樹脂粘土の沼 Dお化け増産>


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今年もハロウィン用の
お化けを少し、作りました。
こちらはコウモリチーム


 当地の「コローナ非常事態」は、やっと昨日28日に、正式におしまいとなりました。
 2年7か月にわたって出しっぱなし!だった非常事態令が取り下げられ、マスクを含むすべての規制がなくなりました。
 実に長かったです。やれやれです。



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カボチャチーム


 それでも外では、まだ2、3割くらいの人はマスクを使っているように思います。ショッピングセンターの店員さんなども、使用を強制されているようですし。
 でもまあこれから夏になったら、自然と消えるでしょうね。



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白シーツの幽霊チーム


 わが家のほうの非常事態(テレフォニカ回線の物理的切断)は、いまだに何も解決していません。
 先が長そうなので、ともかくスマホ環境だけ整えてやり過ごしています。



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黒猫チーム



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昨年のお化けたちといっしょに
「クルス・パタ」に飾りました。



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クルスパタの緑も、
一年でだいぶ育ちました。


 「小さな家」の面々に見つからないように、そーっと飾っておいたら、夕方になって、
 「わーーーっ!お母さん見て、お化けが出たよ!」
 「うわ、びっくり!…まあ去年より増えたのね、かわいいお化けねえ!」
 という大きな声が聞こえてきて、ちょっといい気分です。こうなるとクリスマス飾りも、増やしたくなっちゃうなあ…



2022年12月8日(木) 午後1時の室温 23.0℃ 外気温22.3℃ アンデスのクリスマスっぽい曇り
<また大統領が代わったよ〜(笑)>


 昨日、平和にお昼のしたくをしてましたら、宿六が急に、
 「なんかまた変なことになってるから、ペルーのニュース見なくちゃ!」
 と言い出しました。ペルーのTVニュースは、下らなすぎるのでうちでは一切見ないことにしてますので、いったいなにごと?!と驚きました。


 すると、大統領(当時(笑))のカスティージョ君が、とつぜん議会閉鎖&臨時政府への移行(要するに独裁政権への移行)を宣言し、夜間は外出禁止となる、というのです。

 私はとりあえず、「ちょっと待ったーっ!午後は買い物に行きたいんだから、今日はやめてよ!」という非常に低レベルな反応はしたものの、なんと申しますかこの手の状況には、もう慣れっこですので…
 ただちにいつもの「高みの見物」モードに戻り、「おーやっとるやっとる!」と、久々のペルーのTVニュースを楽しみましたが、あっけなかったですね。
 昼食を終えるより前に、カスティージョ君はとっとと罷免されました。


 その罷免決議のようすも中継していましたが、議員はみな平静な様子で…というよりほとんどニコニコしている人も多く、また外では警察も軍隊も落ち着き払っており、どうも「すべて打ち合わせ通りですねー!」というにおいがしていたような…
 これはカスティージョ君、まんまとはめられたかな…?そそのかした三浦義村は誰だ?


 その後、カスティージョ君はメキシコ大使館への逃亡を試みましたが、その前にあえなくお縄頂戴とあいなりました。そして、私たちが食後に買い物に出かけたときには、すでにラジオで新大統領の就任演説が流れていました。早い早い。
 「非常事態令下の日記」が終ったばかりですから、すぐまた「カスティージョ臨時独裁政権下の日記」を始めなくて済んで、まあ良かったです。


 きのう午後、リマのセントロ地区ではごくごく小規模なデモなどあったようですが、ミラフローレスやスルコ界隈はまったく平穏でした。やはり念のため外出を控えた人が多かったとみえて、自動車も人出もふだんの半分以下、おかげで私たちは快適に買い物ができました。
 ワールドカップとクーデター未遂は、もっとちょいちょいやってもらえると、そのつど街が空いて助かるでしょうね……(なお、マスクを使っている人は、すでに一割を切ったように感じました)


 なんでもペルーはこの六年で、六人もの優れた大統領を輩出!したらしいですが(ほんと?!)、長い目で見れば、それは満更わるいことでもないと思います。要するに、ひとりの人間に全権をまかせる大統領制じたいが、もう古くさすぎて限界にきている、ということでしょう。

 今回いちおうすみやかに、無血廃城(カスティージョ=城)がなされたのも、いくら南米でも(笑)もはやクーデターとか通用する時代じゃないよ〜、ということを世界に(ほとんど誰も気づいてない気もするが)示せたわけで結構なことです。
 あの中国ですら、ついに国民が政府に怒りをぶつけはじめたのと、おそらく同じ大きな潮流の中にあると思います。



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「メキシコ大使館@リマの外塀で」
(昨日SNSで流れてきた作品)


 カスティージョ元大統領はメキシコ大使館へ逃げ込もうとして失敗したので、それを揶揄したものです。どなたの作品か知りませんが、よく思いつくなあ…
 ロバは愚か者の代名詞で、そのロバが(厳密にはこれ、ロバよりラバっぽく見えるけど)、カスティージョ君のトレードマークだったカハマルカ帽をかぶっています。


 かわいいロバも、あの帽子を愛用するカハマルカの人たちも、ここんとこほんとに大迷惑でしたよね!
 (ロバ…じゃなくてカスティージョ君に激似の永吉君(うちの先代の庭師さん)も、この一年あまり、きっといらぬ苦労をしてたんじゃないかなあ?ご本人は筋金入りのフジモリ贔屓なので、そこが更に気の毒で…)



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 きのうのニュースでは、同じ大統領による「じぶんクーデター」ということで、92年フジモリ時代の議会閉鎖がさかんに引き合いにだされていましたが…
 さすがにそれは、時代背景も手回しの良さもカスティージョ君とはダンチで、比較じたいが無礼というものでしょう〜(笑)


 …と思ってたらこんなのがまわってきて、これはフジモリアレルギーの人もフジモリを評価する人も、どっちもクスリとできていいですね。
 下の写真は、きのうあえなく捕縛された後すぐのカスティージョ君で、なぜかのんきにゴシップ雑誌など手にしておられます。




 「権力に溺れた人間は必ず自分で自分を食いつぶす」、という宇宙の絶対の法則を、カスティージョ君は実にペルーらしく、たいへんショボい形で見せてくれました。
 プーチン君はもうちょっとねばりそうだけど、遅かれ早かれ似たり寄ったりな結末となるはずです。


 ただペルーの場合、せっかくの次の大統領も(今回も名前覚える前に代わるかもしれないから、覚えないでおこっと…)、カスティージョの元副大統領ですから、同じ穴のむじなにすぎません。
 女性である、ということだけは、まあ対外的な利点でしょうけれど。(かのケイコ・フジモリさんとしては、「ペルー初の女性大統領」の名誉を、とんだトンビにあぶらげで、チッ……というところかな?)


 政治家としてはカスティージョ同様のド素人のようですし、すでに脛にキズもお持ちのようですし、一切期待はできませんね。きのうの就任演説もしどろもどろでパっとしませんでした。新大統領の勝負カラーは黄色らしい、というのはよくわかりましたけど。
 60歳で思い切ったまっきいろコーデ、というのだけは私は大いに評価します、人生じぶんのものなんですから、どんなに似合わなくても好きなものを押し通すのは正しいです。


 この新大統領、つい数日前までは、「カスティージョ大統領がやめるなら、自分もいっしょに出ていく」と言ってたそうですが、その割にはと〜っても嬉しそうに就任してましたね。すると即刻、
 「たぶんあれは、『カスティージョがメキシコのリゾート、カンクンに行くときは、私もいっしょに行きます』という意味だったんだね!」
 というジョークが流れてきました。


 私はペルーに来た直後の数年間(90年代後半)、政治ネタを大いに楽しみました。
 当時はなぜか、インテリであればあるほどフジモリを嫌う、という傾向が顕著で、「でもそれ変じゃないかな、大事なのは国民の暮らしで、それが良くなってるなら何でもいいじゃん?」という思いも、とても強かったですね。
 でもその後、トレドの馬鹿面には一目でうんざりして、完全に興味を失いました。ペルーで長く暮らすあいだに、政治屋たちの動向はじぶんの人生には一切影響ない、という揺るがぬ自信が身についた、というのもありますし。


 でもきのうはひさびさに、政治のゴタゴタを楽しませてもらいました。少々お話の進展が早すぎて、映画一本分くらいしかなかったですけど。
 しかしまあカスティージョ君自身は、一年以上もつとは思いもしませんでした。意外にねばったね、と褒めて?あげたいです。


 そういえばカスティージョ君には、まだ十代の子供がふたりいるらしく、きのう大統領官邸を出たあと、いったいどこに行ったのやら…
 たまたま12月7日は、私の父の誕生日。お父さんで苦労する、という意味では、若干似てなくもない経験をしましたので、ちょっと同情しています。下の女の子のほうは、女性ですから必ずいつか開き直ると思いますが、ティーンエイジャーの男の子はかわいそうだなあ…
 でもどんなことでも、貴重な経験だからね!よく味わっておいてね!と、ひそかに応援しています。


2022年12月12日(月) 午後11時の室温22.5℃ 外気温20.8℃ 晴れ
毎度おなじみ<「政情不安のペルー」より>


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 95年にペルーに越してきてから、記憶にある限りもうずーっと、ペルーは「政情不安」ってことになっていますね!もはやペルーの枕詞です。
 本日は、「前大統領じぶんクーデター未遂事件」のわずか二日後の、緊迫した??リマ市内の様子をお伝えいたします。


 同じリマでもセントロ地区や、アレキーパなど地方都市、およびパンアメリカン道のあちこちで、カスティージョ支持者(まだいたのね…いえたぶん雇われデモ隊ね…)が暴れているようです。
 でもリマの落ち着いた地区は、まあこんなもんです。私たちもクリスマス気分でいっぱいの街角で、去年のイルミネーションを修理してもらってきました。



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これはきっとサッカー好きの店主が、
クリスマスはまあおいといて、
贔屓チームのイルミネーションを
作っちゃったんですね。青がきいてます。



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 帰路のパンアメリカン道に入る前に、スルコ区のLa Amistad公園に寄ってみました。いったい何年ぶりでしょう。
 昔はこの公園の塔が、窓からちらっと見えるあたりに住んでいたので、なかなか懐かしいです。



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 クリスマス向けの出店も並んで、大いに賑わっています。
 うーんこれは、クーデター未遂から二日後、の絵とは思えませんねえ…



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 みなさんとっても楽しそう。
 クーデター未遂当日は人出が少なかったので、まさか二日後にみなさんここまでリラックスするとは、私も想像できませんでした。
 やっぱりペルーの人たちも、だいぶ政情不安慣れしてるんでしょうね。…そりゃしますよね、いいかげん。



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 昔懐かしい池のボートも大盛況で、お客さんが長ーい列を作って、順番を待っています。
 係員が、「〇番ボート!もう時間です、すみやかに戻ってくださーい!」とメガホンで叫ぶのも、昔と同じです。



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 こうして夜ながめると、マドリードのレティーロ公園の、縮小版っぽくないこともない…ですね。
 規模は四十分の一くらいですが。でも心底楽しそうにしている人の数は、むしろこっちのほうが多いかも。



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 ご家族連れに大好評の写真スポットも、あちこちに作ってあります。


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 リマの古風な町並みを模したお食事処も、あいかわらず小ぎれいに維持されていますね。


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 …しかし私たちが食べたいもの、食べられるものはないなあ。ここでちょっと食事できると、楽なんですけど。


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 夜風に吹かれてぶらぶら歩いていたら、派手な電車に轢かれそうになりました!
 これはかわいい、子供は喜ぶでしょうね!



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 1926年の小型機関車も健在で、午後のもっと早い時間帯に、今でもお客さんを載せて走っているようです。


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 みょうちくりんなトピアリーもだいぶ増えました。スルコ区ってなんか昔からトピアリー好きね。
 うしろのラクダ科動物トピアリーは、私には見慣れたシルエットです。うちでもこんなの作ってみたいですが、完成前に本物にくわれますね…



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 出口へ向かうと、木立の影に、なにやらたいへん楽しそうな色彩がチラチラと…


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 あらまあ、回転木馬まで設置したんですね。乗っている子供たちの…いえ大人も多いですけど、その嬉しそうな顔を見ていて、数年前のサラゴサのクリスマス市を思い出しました。
 宿六も木馬にのってみたかったようですが、列が長かったので、また次回にでも。


 このとき話のついでに、スペイン語では回転木馬のことを、carrusel(カルーセル)やcaballitos(おんまさん)のほかに「tiovivo」とも呼ぶ、と初めて知りました。
 tio vivoねえ…なんか「抜け目のないおっさん」みたいに聞こえて、子供の遊具にはそぐわない気がしますが…
 宿六も語源は知らなかったので、帰宅後ネットで調べると以下のようなお話でした。


 19世紀、マドリードで回転木馬を生業としていたTio Esteban(エステバンおじさん)が、コレラ流行で亡くなり、お得意さんだった大勢の子供たちが、とても悲しんで葬列に加わったそうです。
 ところが、一行がおじさんの回転木馬近くにさしかかったとき、お棺の中から「Estoy vivo ! わしゃ生きとるぞ!」という叫び声が聞こえ、あわててお棺を下ろして確認すると、エステバンおじさんがめでたく息を吹き返していたそうです。



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 以来おじさんは(ご本人は不本意だったようですが)、「El tio vivo(生きてるおじさん)」と綽名されるようになり、それがいつしか回転木馬の呼称として定着した、のだそうです。

 その「tiovivo」もあるこの公園、入場無料で清潔で、ほんとにリマにはめずらしく良いところです。しかし夜9時に閉園というのだけは、ちょっと早すぎません?
 ただあまり厳しくはないらしく、9時を過ぎると門は閉められますが、中の人たちはまだまだ帰る気ゼロらしく、ゆったり過ごしていました。



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 「政情不安」の中、パチャカマックもわが家も平穏です。今は、年々りっぱになるハカランダが満開です。
 マグノリアも今年は早く咲き始め、熱帯スイレンやイモーテルの芳香とまざりあって、日中はクラクラするほど良い香りです。
 そして日暮れ時からは、スイカズラとジャスミンが、私の「香りの庭」の主役となります。



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 台所前のぶどう棚には、今年は大きな房が17もつきました。真夏に色づくのが楽しみです。


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お裁縫に便利な
「コロコロオープナー」ってご存じ?
知らなかった日本人は私だけ?


 多忙をきわめる暇人であるわたくしが、このところ熱中しているのは、カーテン作り。
 パチャカマック暮らしも九年半、家のあちこちが古びてきたので、まずは目立つカーテンからきれいにします。


 でも当地では、ろくな布が手に入りません。特に木綿は、色といい柄といい、幼稚園児のお弁当包みだったらぴったりね、みたいなのばっかりで…
 そこでインドに直接注文してみたところ、すぐ届きました。送料は高いですが、ある程度まとめて買うなら、リマで変な布をがまんして買うよりむしろ安いかもしれません。



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古カーテンの幅を計っていると、
期待通りハスミニが邪魔しに来ました


 今年のリベンジ消費で裁縫道具も一新したので、たいへん気分良く作業をすすめています。
 中でも感動したのが、このたび初めて知った「コロコロオープナー」(クロバー社)なる商品。


 縫いものをする前に、布にアイロンで折り目をつけるのが面倒すぎて、それでほとんどお裁縫をしなかったのですが、この便利グッズさえあればアイロンいらずです。コロコロするだけで、布にしっかり折り目がつくのです、すばらしい!ついでに手近の猫も、コロコロマッサージしてやれますし。
 やはり日本の便利グッズは、ときどきチェックしとかないとだめですね。



2022年12月15日(木) 午後5時の室温23.0℃ 外気温20.7℃ 晴れのち曇り
<ナントカのひとつおぼえ? またも非常事態宣言ですと>


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昨日のパネトン(ペルー版甘すぎパネトーネ)売り場。
巨大パネトンのディスプレイ、ちょっといいですね。
商品本体は、年々ステルス値上げが進行してますが…


 さきほどNHKで、「非常事態宣言が出されたペルーでは、抗議活動が全土に広まり、各地の空港が閉鎖され、云々」みたいな恐ろしげなことを言っていましたので、念のため更新しますね。すでにみなさまご想像の通りで、私たちの生活圏はふだんと同じに平穏です。

 非常事態令が出されたきのうも、リマ市内(スルコ、サン・ボルハあたり)をうろちょろしていましたが、写真のようにまったくいつもどおりの雰囲気でした。


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 よくタイヤ燃して封鎖されちゃうパンアメリカン道(南)も、ありがたいことに(ありがたがってはいけませんが)、騒動が始まるのはふつうプクサーナ以南です。
 私たちが出入りするルリンあたりでは、なにも起きたことないですし、パチャカマックも大規模デモなどしない土地柄。きょうも一日静かでした。
 (あ、いま近くでシュプレヒコールが……と思って一瞬緊張しましたが、違いました、どこかでやっているサッカートーナメントの歓声でしたわ…)


 もちろんコローナ・ロックダウンの苦い経験から、アルパカと猫のエサは多めにストックする、程度の配慮はしております。

 上の写真は、きのうサン・ボルハで見かけた自動車です。
 荷台に大きな「クリスマスの籠」(あれこれ籠盛りにしたプレゼント)を、六つか七つくらいも積んでいました。季節の風物詩ですねえ。
 ただ本当の籠や木箱ではなく、実用的なプラスティックの洗濯かごに詰めてあったので、お歳暮ではなく従業員さんへのプレゼント用でしょうね。


 うちも24日は、ベンハー君一家のためにまたクリスマス会を開きますが、プレゼントは11月中に揃えてしまったので気楽です。あとはボーナスと七面鳥代を振り込むだけ。
 このところ、一家の三人に会うたびに、ものすごーーく期待されているのがビリビリと伝わってきます。
 ところで宿六君、私のボーナス…じゃなくて、長年の投資家たる私への「配当」は、今年はあるのかね?



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こんなときでもペルーのトップニュースは…
そっちですか!


 こちらはおとといのニュースサイト。右のほうには、「新大統領が国民に平静を保つよう呼びかけている」とか(わざわざあーたに言われんでも、いたって平静ですよ…)、「どこかのお役所が燃やされている」とか、物騒なニュースが並んでいますが、トップニュースはワールドカップなんですねえ。
 まあね、パワーゲームという意味では、たしかにどっちも似たようなものですが。


 今年はペルーは出られなかったので、当地のサッカーファンはまず隣国ブラジルに期待したらしく、ベンハー君も、宿六のブラジル土産の黄&緑の帽子をずーっとかぶっていました。
 でもブラジルも敗退した今は、みなさんアルゼンチンに感情移入しているようです。(なお宿六は、ブラジルの取引先が気落ちしていて迷惑してます)



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 やれやれ12月も、もうなかばですね…
 うちはまだクリスマスツリー出してません。今年はもう、これ↑だけでいいんじゃないかな…
 でも宿六はぜったい出すって言い張るでしょうね。自分では上手に飾れないくせに、出したがるんですよね。


 このツリー型ろうそくも、ひいきのLuminara製品です。ほかのメーカーもいろいろ出しているので、いつもチェックしていますが、このチラチラ炎が揺らぐ感じはまだうまくコピー…いえいえ表現できていないようです。パテントの問題もあるのかな。
 炎型の白いプラスティック片に強い光を当てて、ランダムに揺らす、という単純な仕組みですが、夜などちゃんと炎らしく見えるのでふしぎです。ハスミニも見入っています。



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 ペルーのおバカニュースにうんざりしたので、今日はフリントストーン風のお肉でも焼きましょう!
 こちらではおいしい豚肉の入手が、ちょっとむずかしいです。でもついに、総合飼料なしで豚を育てている農家を見つけ、そこからおいしいお肉を買っていました。が、先々週から急に、その農家さんと連絡がとれなくなり…(ペルーあるある、です)。


 年末こそ、スペイン風の豚肉料理をいろいろ作りたいのに…とがっかりでしたが、きのうスーパーTottusで、真空パックしたデュロック豚をバーゲンしていたので、おそるおそる買ってみました。
 開封した感じは、わるくなさそうです。ワインと塩、オレガノで味付けして、鉄のフライパンでジューっと表面を焼いてから、野菜と庭のローズマリーを添えてオーブンへ。


 そうそう例のおいしいカボチャ(Hokkaido)は、同じスーパーTottusでも、庶民的なAtocongo店でははやばやと売り切れたそうです。
 でも、高級住宅街が近いJockey Plaza店では、12月になってもまだ山積み。さいごはキロ0.5ソルまで下がったので、ゼラニウムちゃんにたっぷり10キロ分買ってあげました(10キロでも180円ですから!)。でもきのうはまたキロ4ソルまで値上がりしていました、うーんよくわからない。



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 さて豚のトマホークのほうですが、出来上がりは……良かった、じゅうぶんおいしいです。これなら使えます。
 むかしスーパーTottusが開店したとき、ちらっとだけ中を見て、大味なスーパーだなと思い、それから行くこともありませんでした。まだ食い気旺盛なうちに品揃えに気づいて、よかったです。


 そういえば今年のクリスマスと大晦日、料理はいったいどうしたらいいんでしょうねえ。
 うちの食事は実質お昼だけで、動物性たんぱく&脂質と野菜が中心です。なので一年中だいたいこんな感じの、どことなくクリスマスメニューっぽいものになりがちで、正直もうネタ切れもいいところ。365日作ってますし。


 これより更に簡単で、なにかどーーん!とごちそうっぽいもの、ないかなあ…
 何を出そうが宿六は喜んで食べますが(猫とアルパカのほうがよっぽど気難しいです)、でもそれじゃ自分がつまらないので。



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