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クリスマスを待つ
ローマ、パレルモ、シラクーザ…

(2024年12月23日)


ROMA


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 三週間のイタリア旅行から、先週戻りました。去年の息苦しい東京行とくらべると、もう夢みたいに気楽でおもしろい旅でした。
 イタリア語はまだうまく話せませんが、聞き取りはばっちりゆえアウェイ感もなく、食事もグルテンフリーを「一時停止モード」にして楽しみました。


 私も宿六も、それぞれ去年と今年に、順当に実家が消滅しました。なので二人ともよけいな雑念なしに、目の前のイタリアに浸ることができました。
 特にシチリアの、冬の緑の中のギリシャ遺跡からは、強烈な印象を受けました。
 でも本日のところは、クリスマスらしい写真だけ拾い出し、お目にかけるといたします。



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 11月23日。
 サンピエトロのクリスマスツリーは、まだ準備中。
 バチカンとサンタンジェロ城のあいだの地区も、イルミネーションはぽつりぽつり…という程度。



SIRACUSA


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 11月25日。閑古鳥の啼くシラクーザへ。
 じゅうぶん泳げるあったかさの中、オルティージャ島ではイルミネーションの取り付けが始まっていました。



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なるほど、こういう車両で作業するのか!


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 さっそくその晩から、明かりが灯りました。三色の電球の使い方、さすがイタリア、お上手です。


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 オルティージャ島内の夜のお散歩。日が暮れても、たいして寒くなりません。


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 「アレトゥーザの泉」という奇妙な名所?を見下ろす、おもしろい立地の民泊に宿をとりました。
 向かいのレストランでは、お客さんぜんぜんいないのに、一晩中イルミネーションを灯していて、かえってさみしさが際立ちます…



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 オルティージャ島はごく安全そうでしたが、人気がなさすぎて少々不安になってきます…


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 お店も、観光客が少ない時期だからでしょう、休暇をとって閉めているところもけっこうありました。おかげで安心してウィンドウショッピングが楽しめます!
 年々スーツケースの重量制限がきびしくなるので、重い陶器は特に、見るだけにしておかないと。



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 とてもイタリア南部らしい気がする、ルミナリエ風のイルミネーション。


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 LEDの光には、いまだに抵抗がありますが、でもここまで色とりどりだとちょっといいですね!


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 でもどうやらイタリアでは、黄色の電球がいちばん人気のようですね。古き良き時代の白熱灯の色に、多少とも近いからでしょうか。
 この藤の花のようなイルミネーションも、ちょっと風情がありますね。



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 あんまり静かなので、人影が見えるとほっとします。
 レストランも閉めているところが散見されましたが、幸い開いているお店だけで、じゅうぶんおいしく食事できました。



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 オルティージャ島のちっちゃなメインストリートも、閑散としています。
 それでもどこも、イルミネーションは朝までつけっぱなしです。豪勢でいいねえ。



SCICLI


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 私どもはこのたび、珍しくミーハー精神を発揮しまして、モンタルバーノが座っていた警察署(セット)見たさに、ちょっとシクリに立ち寄りました。
 本当は、後期バロック建築を見に行くべき集落らしいのですが。
 ここでも夕方5時ごろ、薄暗くなりはじめると、かわいいイルミネーションがぽっと灯ります。



RAGUSA


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 近くのラグーザも、後期バロック建築の聖地らしいです。でも私たちは、ただのモンタルバーノ狙い。


PALERMO


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 11月29日。ブラック・フライデーの夕刻という、レンタカーで行くには最悪すぎるタイミングで、パレルモに到着。街のカオスっぷりとばっちさに、大いにショックを受けました。

 ノルマン時代の栄光ばかり思い描いていたので、到着した瞬間に帰りたくなりました。
 でも、すぐに居心地のいいエノテカを見つけて、そこに通って何とか楽しく過ごせました。ワインさえ切らさなければ、この世はどこでもほぼ天国。イタリアならなおのこと!
 それに、「リマよりばっちく、リマより自動車マナーがひどい街が、なんとヨーロッパにある!」という事実には、奇妙な満足感もあったりします。パレルモ君ごめんなさい。



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 パレルモの目抜き通りにも、ルミナリエ風イルミネーションが取りつけられています。


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 週末のマッシモ劇場前。よっぱらった若者たちがつめかけ、だれもが車を、平気で道ばたに二重三重に停めちゃってます。
 民泊のご主人が、「パレルモ市内で車を運転するのは、割に合いません」という表現をしていましたが、意味がよくわかりました。



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 この街のクリスマスイルミネーションで、おもしろいなと思ったのは…
 お店がそれぞれ勝手?に、道のまんまんなかに、広告を兼ねたイルミネーションを飾っちゃっているところ。Auguriとあるこの電飾も、よく見るとドルマークが入っていて、両替店のものらしいです。
 あるいは、お役所が担当する大通り以外では、自由にしていいことになってるのかも知れませんね。電気も公共のを使っているのかな??ちょっと気になります。



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 郊外からの帰路、渋滞にまきこまれたので、ゆっくり鑑賞できました。


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 この道をまたぐ大きなイルミネーションも、サンドイッチ屋さんの宣伝らしい。


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このかわいいのは傘屋さん?


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サンタ・テレーザ修道院の三賢王


 パレルモは、そのばっちさに恐れをなして、郊外にばかり出かけていました。
 でも市内の、伝統菓子で知られる修道院は、気になってのぞいてきました。



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 この元・修道院のお菓子屋さんは、修道女たちが作っていた古風なお菓子の、再現プロジェクトで有名です。
 アーモンドが主原料の、日持ちしそうなクリスマス菓子があったので、うちとゼラニウムちゃん用にふたつ購入。幼子イエスは残念プラスティックですが、細かなバラはアーモンドペースト製。
 これをこわさずリマまで持ち帰れたのは、ほぼ奇跡!
 中はピスタチオクリームらしいですが、まだ切っていないのでわかりません。年末の楽しみです。



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 フルッタ・マルトラーナ(中央の果物をかたどったお菓子)も少し持って帰りました。
 スペインのマサパンから卵白を抜いて、焼き目はつけずにきれいに彩ったバージョン、というところ。
 マサパンほどの強烈な甘さはなく、そのぶんアーモンドの甘い香りが強く感じられ、かなりおいしいです。



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気になる陶器屋さんのウィンドウ。
危ないので閉まってからじっくり見物。



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 とても心惹かれた、陶器製のウチワサボテン。鉢植えになっているところが、サボテン好きにはたまらないかわいさ。
 しかしですね、うちの庭で本物のウチワサボテンが繁茂してるのに、なにも60ユーロ出してこれを買わなくても…という、ごく冷静な判断に至りました。もちろんちょっと後悔もしてますけど。
 ヤコ陶土でこういうの作ってみようかな…



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 ピスタチオ色の瞳の猫と、ピスタチオ入りパネトーネ。
 シチリア島で、ピスタチオはたぶんもう一生分、いただきました。売るほど余ってる?のか、なんとパスタソースにまでピスタチオ使うのね。



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 パネトーネというと、へんなもの見てしまいました。パネトーネの箱に印刷された、この強烈なおすすめレシピ。
 横に薄切りにして、生ハムやスモークサーモンなどなどを挟んで食べましょう、っていうんですが…無理にいっしょに食べないほうがおいしいんじゃないかと…
 しばしばグルメ界の人々は、考えすぎて妙なこと思いつきますね。



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 ナツメヤシの硬い樹皮の上に飾られた、聖家族のひとそろい。
 うちの庭でもよく、この皮が落ちてるのでわかります。ときどきチャスキが齧ってるやつです。
 私の庭は、シチリア島の植生にかなり似通っていて、その意味ではシチリア島、意外に新鮮味はなかったかも。



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パレルモ空港でも
クリスマスツリーの準備中


 旅の計画時、ちょうどエトナが派手に噴火していました。それで行きも帰りも、エトナから遠いパレルモ空港を使うことにしました。
 そのため、だいぶよぶんに走りまわることになりましたが、シチリア島の道路はとても快適で、たっぷりドライブできたのは返って良かったです!
 パレルモなど街はばっちくても、郊外の緑(冬の雨でぜんぶ緑)の風景や、その緑の中の遺跡の美しさは、期待以上でしたし。



ROMA


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 12月5日にローマにもどると、キラキラとクリスマスらしくなっていました。これはトラステベレ界隈。

 右の写真は、往年の人気俳優、アルベルト・ソルディの名を冠したショッピングセンター。宿六がユニクロに行きたがるので、やむをえず。
 これで宿六は、マドリード、デュッセルドルフ、ローマ、銀座、池袋のユニクロを制覇したことになります。日本以外の旅先で、わざわざユニクロで時間をつぶす気持ちが、私にはまったく理解できませんが……


 しかもローマのユニクロさんは、タックス・フリー用紙に書きまちがいをしてくれて、おかげで空港での返金は受け取れずじまい(係の人が、「ユニクロはいつもそうです、なんて会社だ!」と悪口を言っていた由)。


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 加えて宿六は、主としてユニクロ荷物のためにスーツケースを一個買い足し、航空会社にも追加料金を払い…

 だったら米国の転送会社を使って、米国ユニクロからリマに送ってもらったほうが、よっぽど安いんじゃないですか?宿六君?
 次回からは、日本じゃない旅先でのユニクロ厳禁とします!(ただし私の同行時に限る。ひとりのときは勝手にせえ)



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 ショッピングセンター内のウインドウも、きれいですけどありきたりで、そこに大混雑のユニクロ疲れもあいまって(私は何も買ってないし)、だんだんきげんが悪くなってきましたが…


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 百貨店リナシェンテのこのウインドウを見て、一瞬で上機嫌になりました!
 インテリア雑貨店Selettiの宣伝らしいです。



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 クリスマスらしさはゼロだけど、これいいなあ!猫の愛すべき不気味さが、よーく表現されています。


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 こちらは、アブダクションした人間の心臓をとりだし、心のありかを探る、心を持たないグレー宇宙人…?かなりその方面に詳しい人が企画したようですね。
 (あとで調べたら、心臓型の花器、ほんとに売ってました。実物大の猫型ランプも商品で、ほしい!と思ったけど270ユーロだそうで…ハハハ高すぎ)



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 カンポ・デイ・フィオーリは、思ってた以上の観光客トラップ市場でした。当初、広場近くの民泊を考えていましたが、やめて良かった。
 でも花屋さんには、さわやかな空気が漂っていました。
 クリスマスらしい、半透明の実がついたヤドリギもありますね。



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 本当の野菜や果物をあしらったリース。
 これ、リマだったら一日ともたないよ。やっぱり寒いクリスマスはいいなあ。



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 12月5日。宿六へのおつきあいで、(なかばいやいや)地味かわいいローマのオペラ座へ。

 演目はヴェルディのシモン・ボッカネグラ。
 オペラのすじはどれもあれなので、何でもいいんですが、衣装が華やかさゼロの、現代の労働着だったのには、心底落胆しました。右のカーテンコールのスナップからお察しくだされ…



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 プリマ・ドンナが特にひどくて、前半はずっと素足に七分丈のワークパンツ風、その上にだぶだぶの木綿シャツという、コンビニにだって行くのを憚られそうな格好。これじゃ歌声があたまに入ってきません!
 古風に着飾って来ているお客さんもちらほらいるのに、主催側は失礼とは思わないのかなあ。
 宿六は音楽じたいを楽しんだようなので、まあ良かったんですけど、豪華さゼロの色彩に、私は死ぬほど退屈しました。衣装は大事です。



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 それでも、桟敷席から舞台を眺める経験は、まあわるくはなかったです(椅子は拷問なみの座り心地でしたがね…)。
 むかし読んだ桟敷席の出てくる小説や、ルノワールの絵などを思い出しながら、長すぎる公演時間をじっと耐えました。


 次回からは、私はオペラはパスします!
 テベレ川が見えるすてきな民泊で、ひとりでワインでも飲んで待ってたほうが、ずっと良かったわ。



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かわいいクロワッサンツリー。
テルミニ駅構内のパン屋さんで


 さて今年のローマは、聖年に向けての修復工事で、そこらじゅうひっくり返されています。主な噴水もすべて閉鎖されて、味気ないこと限りなし。
 そこで急遽、二泊ほどポンペイに行ってしまうことにしました。
 12月8日、テルミニ駅のSIXT(ドイツ系の、実にテキパキしたレンタカー会社)で、また車を借りて…



NAPOLI


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 …まずはナポリへ。祝日と日曜が重なって、冷たい雨の下でもみなさんとても楽しそう。


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 ナポリもまた、期待?をうわまわるばっちさ。
 でもパレルモの、どこか投げやりなばっちさとは違い、ナポリのはもっと確信犯的な、けっこう演出された、創造性と活気のあるばっちさ…ですね?たぶん?



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 ナポリには名品ぞろいの博物館がありますが、博物館にはいいかげん疲れました…
 アレクサンダー大王には会いたかったですけど、先々に譲ることとし、かわりに年中クリスマス用品を売る、サングレゴリオ・アルメーノ通りに来ました。



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 今日8日から正式にクリスマスが始まるので、たまたまですが、なんともぴったりな日に来たものです。
 クリスマス飾りを毎年集めている人たちが、家族で新作を物色に来ているらしく、テレビドラマでいっしょけんめい耳ならししたけど皆目わからない、ナポリ訛りらしきおしゃべりも聞こえてきます。



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ナポリの象徴、道化のプルチネッラと、縁起物の赤い角。
(てっきり坊さんが地獄の業火に焼かれている…
…のか、と思ったけど、違いました)



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 聖家族のまわりに飾る、魅惑的なミニチュア群。
 こういうものは際限なくほしくなるので、できるだけ見ないように…立ち止まらないように……
 でも、ペルーともスペインとも微妙に違って、特にチーズやパンの形には土地柄がよく出るので、どうしても気になります。



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 こちらは有名人シリーズらしく。わかる人が見たらおもしろいのでしょうね。


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私でもわかったのは、若き日のマラドーナだけ。


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 ナポリの聖人たるマラドーナ・グッズを、ベンハー君へのおみやげに買いました。
 なにもかも高くてびっくりのイタリアですが、このシャツは一応イタリア製と書いてあって(真実はわからないけど生地はしっかりしてます)、10ユーロだったので、かなりお買い得感あり。
 マラドーナ人形は、持って帰ってみるとけっこうかわいくて、うち用にも買えばよかったなあ。



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聖マラドーナとプルチネッラと赤い角が、
ナポリの三種の神器らしい。



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 良い品物が揃った、こちらのお店(Originalita di Pulcinella)。
 「ペルーから来ました」と言っただけで、たいそう喜んでくれました。ご主人のいとこが、明るいペルー人女性と結婚したので、家族みんながとても幸せなのだとか。
 そういえばシラクーザでも、「ぼくの彼女、ペルー人なんだ!」と自慢する青年に会いました。イタリア南部の人とペルー人は、じっさい相性が良さそうな気がします。



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 ご主人いわく、「うちの工房は古いです、このパンだけでも、作り続けてもう四十年!」とのこと。たしかに年季の入った、おいしそうな仕上がりです。
 こういう工房を見ると、クスコの懐かしいサンティアゴ・ロハスさんを思い出します…



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 奥には大作も飾られています。これは繊細な蝋細工の、干しダラ屋さん。
 こういう古典的な大物こそ、ほんとは欲しいのですが、ペルーまで持ち帰れるはずもなく…



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 スーツケースの余裕を考えながら、小物を選びます。
 以前ネットでちらっと見て、欲しかったのがモカ(コーヒーメーカー)の聖家族。「これはうちのオリジナル、まだ誰もコピーに成功していません!」とのこと。
 豆電球を通す穴もあるので、帰ったら細工します。


 縁起物の赤い角とすてきな化粧箱は、おまけで頂きました。


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 桶に入った赤いお魚(金目鯛?)の目が、ちゃんと生きてるところがすばらしい。


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 うさぎとニワトリの、幅わずか4センチの籠も、とてもよくできています。
 百合子ちゃんのペットそっくりなので、あげようかどうか迷っています(←24日にあげました、とってもうけました)。



POMPEI


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 今度の旅で、唯一泊まったホテルがこちら。ポンペイ遺跡の隣にあるワイナリー併設の、まあぼちぼち…レベルのお宿でした
 クリスマスシーズンが始まる12月8日ということで、何か賑やかなパーティをしているようでした。



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 シチリア島ではエトナ山のワインを大いに味わったので、今度はベズビオ山のワインを楽しみにしていました。
 ところが隣席に、某大国のおそるべきマナーの人々がやってきて(うわさはいろいろ聞いていましたが、まさかあれほどとは…)すっかり意気消沈…
 (日本だって、ノーキョーさんが世界を震撼させた過去がありますし、また各国の食事習慣は尊重すべきと思いますが、しかし外食する以上は、せめてその国に合わせたマナーをお願いしたいものです…)
 幸い、気配を察したウェイトレスさんが、コーヒーとデザートを静かなテイスティングルームで出してくれたので、助かりましたー!



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 ちょうどそこに、パーティ会場の仕事を終えたサンタクロースと助手がやってきて、写真を撮らせてくれて、子供に戻ったような嬉しさです。
 この晩は、ウェイトレスさんとサンタさんに救われました。ありがとう。



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 ホテルの庭には、オレンジやみかん、レモンの木がたくさん植えてあります。
 実が鈴なりのオレンジの木にイルミネーション、というのは、初めて見る組み合わせのような?



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氷雨に濡れるシクラメン。


 冬の地中海世界ですので、旅のあいだ雨はちょいちょい降っていましたが、なぜか私の頭上は(ほぼ)いつも晴れ!
 傘をさすのも一、二回で済みました。自由な良い気分で旅していると、ほんとにお天気まで協力してくれます。



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 翌晩は、ポンペイの町に食事に出かけて、イルミネーションのかわいさに大いに感心。
 小さな通りごとに、違うデザインのイルミネーションが灯っています。凝ってますねえ。



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 お役所前は特にキラキラ。ほとんど人気もないのに、昼のような明るさです。


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 現在のポンペイの町は、広大なポンペイ遺跡のまわりに、遠慮がちにはりついているかのようです。
 表通りからいっぽん裏道に入ると、小さな果樹園つきのおうちばかりの、かなり小さな町ですが、住宅地の小道にまで、気のきいたイルミネーションが輝いています。きっと観光収入で余裕があるのでしょうね。



ROMA


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 12月10日、ローマに戻ると、聖年のための工事が、やっとちょっとばかり進んでいました。
 ナヴォナ広場の噴泉も、両はしのふたつはとうとう囲いがとれて、水音がしています!
 宿六はローマ観光は初めて。それなのに噴水をまったく見ずに帰るのでは、あんまりですから、まにあってくれて良かった。



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 この広場のクリスマス市は、とてもささやかですが、一軒だけ、良い作りの小物を扱うお店がありました。


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 誘惑に負けて少しお買い物。
 ひとつひとつは2ユーロ、4ユーロでも、夢中になっていると、あっというまにけっこうな金額になります。
 それに私の飾り棚は、こういう小物ですでにいっぱいです。なので、この晩ここにいたことを思い出せるだけの、最低限の小物を選びます。



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 まず目が合ったのがこれ。アルパカのコヤチャ似の、くるくる巻き毛の山羊。
 美人店主さんにもちょっと雰囲気が似ていて、見るたびに懐かしくこの晩を思い出せそうです。



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 何もかもほしい、というのが本音ですが、そうもいかないので、スペインのクリスマス市とは違う風情の小物を探します。
 ねずみを取り押さえて誇らしげな猫は、連れて帰るほかありません。(猫ってほんと、こんな物言うまなざしで、こっちを見るんですよね)
 また銅やアルミの小物も、とてもよくできています。



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 いちばん気に入ったのが、指先サイズのガラスのカラフェとデカンタ。
 特にカラフェは、こんなに小さいのに、ちゃんとカラフェらしい丸いマークが入っているのが、ちょっと感涙もの。



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 そろそろ帰国の日が近づいてきました。こちらのお店なんか、もう丸ごと持って帰りたい。
 自宅でのクリスマス用に、ボッタルガ(からすみ)を買いました。あまりの高さに、宿六が一瞬だけひるんでました。ホホホ…



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 また近くのお店で、アルタムーラの硬質小麦パンを売っていたのも幸運でした。
 もしかして古代小麦なのか、ぜんぜんおなかにずしっと来ないので、大きなのを丸ごと買って、だいじに背負って帰国しました。ベンハー君にも少しあげたら、味わいの深さに感動してました。残りは小分けして冷凍。年末年始は、薄切りにしてオリーブオイルでこんがり焼いて楽しみます。


 この旅行中、小麦製品はようすを見ながら、少しずついろいろ試してみました。すると、長年のグルテンフリー食が効いたのか、不耐性がすっかり軽くなっていたことが判明。万歳!
 今後はクリスマスや誕生日くらいは、得意だったパスタ料理をまた作ろうかと思います。手始めにこのクリスマスは、ボッタルガのパスタです。


 まあふだんはやっぱり、小麦は食べないほうが調子がいいですが、でも気が向いたらいつでも大丈夫、というのは良い気分です。またひとつ、よけいなこだわりから解放されました。


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 ボッタルガとパンを抱えてお店を出ると、雨上がりで寒いこの晩も、人々はコートを着込んで外でお食事。
 その気持ちが、どうにもわからないんだなあ…



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 12月11日、さいごの晩は、宿六をイルミネーション見物にお連れしました。
 と申す私もローマはほとんど知りませんが、うんと若いときに来たおかげか、ふしぎとあちこち脚が覚えていました。
 まず向かったのはバルベリーニ広場。トリトーネの泉のうしろでは、アンデルセンが見たら卒倒しそうなイルミネーションがぎらついております。



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 ペルーにはない、大好きなプラタナスの木々。今度の旅でも、各地で黄葉を堪能しました。
 これでまた数年、プラタナスと秋なしでも生きて行けそうです。



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 ローマも思うよりは小さくて、すぐにスペイン広場に出ます。古舟の泉にもちゃんと静かに水が溢れていて、ほっとします。
 さすがにこのあたりは、少し人が多いです。



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 といっても、まだ9時前なのに、ここまで人気の少ないスペイン階段は、この時期限定かもしれません。


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 19歳の初ローマで、たしかスペイン階段を下りて左へ行ったあたりに、マンダリンダックというカバン屋さんがあり、そこで買った水色のバッグを長いこと愛用していた…ような気がします。それを急に思い出して見に行くと、ちゃんとお店がありました。
 ゴージャスなバッグではなくて、好みの軽くて機能的なカバンが多そうで、閉まっていたのは残念なような助かったような。



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 さすがにお美しいDIOR様。
 このあたりでは、すれ違う人々から、もれなく香水の強香が漂ってきます。



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 DIOR様は立派でお美しいけれど、クリスマスらしさは薄いですね。
 老舗ティールームの、この素直な飾りのほうが、長く記憶には残りそうです。



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 カフェグレコも閉まってました。


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 高級ブランドばかりのコンドッティ通り。ぜんぜん知らないブランドが増えていて、40年の時の流れを感じます…
 なんというか、電器店に迷い込んで周囲を見まわしながら、「私が食べるものは、なにもないわね…」と思っているチャスカ様(アルパカ)のような気分です。



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 たしかにイタリアは、黄色のイルミネーションが多いですね。
 くせが強くて平板なLED光を、ずいぶんと上手に扱っていると思います。それでもやっぱり、深みのある白熱灯の時代が懐かしい…



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 ただ、こういうパキっと鮮明な表現は、LEDならでは、でしょうか。


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 わりとありきたりな気がする、FENDI様の飾りつけ。まあクリスマス飾りも、いいかげん出尽くしてるでしょうから。


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 コルソ通りの、長い川のような照明に惹かれて、もう少し歩きます。


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おや、ここはまだ取り付け中。


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 からんでくる酔っ払いさんなど、ぼちぼち出没し始めたので、脚を早めて終点予定のポポロ広場へ。


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 ポポロ広場は、まだまだ改修工事まっただなかのようです。こうして現場に背さえ向ければ、じゅうぶんきれいですけれど。
 それにしても、たしか聖年はクリスマスイブに始まるはず。ほんとに工事、それまでにぜんぶ終るのでしょうか。
 さっき乗ったタクシーの運転手さんに、ご意見を伺ってみると、「われわれには今こそ奇跡が必要です」と笑っていました。



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 ポポロ広場の噴水も、一部は工事が終ったらしく、ライオンがきれいな水を噴き出していて満足です。
 水音は、あたりの雰囲気をがらりと変えてくれます。やっぱり噴水がないローマは、ぜんぜんローマじゃありません。
 さいごの数日、いくつかの噴水を見て、やっと本当にローマに来た、という気分になりました。
 すべて楽しく、そして平和な(=私がほとんど怒らない)良い旅でしたが、終りが良ければなおけっこう。めでたしめでたし。



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 それではみなさま、穏やかな良き年末年始(もしくは華やかなクリスマスシーズン)をおすごしください。
 やっと旅疲れがとれてきた私は、今は「ボッタルガ(からすみ)をどう使うか?」であたまがいっぱいです。



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