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アルパカのいる庭

(6)チャスキとチャスカの大統領選(2021年1月〜4月)


<最新記事はこちら!>

アルパカのいる庭


2021年1月18日(月) 午後4時半の室温25.5℃ 外気温24.5℃ 曇り(この夏はまだ最高気温が25℃止まり。楽です)
<アルパカ小ネタ 興福寺八部衆>


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 昨年末、毛刈りの前のアルパカたち。
 かなりのロングヘアでしたので、日々アレンジを楽しんでおりました。まずはオールバックのチャスカ。



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 こちらは前に撫でつけ、河童風チャスキ。
 (それだけで、なんでこんなにおっさんぽくなるんだろう??)



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 やはり、うしろに撫でつけたほうがかわいいですね。
 こうすると二頭とも、生え際が興福寺八部衆像ぽくなるところが、とても気に入っております。



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 ファンタジーの世界にも、こういう架空の動物、いかにもいそうですね。
 いくら丁寧に撫でつけても、すぐ元に戻ってしまうのだけが残念です。



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「いいかげんにしなさーーい!アルパカはおもちゃじゃないの!」

やはりこの顔がいちばん、架空のクリーチャーっぽい。

(次回こそ、アルパカ毛刈り2020のご報告をします。)



2021年1月20日(水) 午後6時半の室温25℃ 外気温23.7℃ 小雨
<アルパカ全身床屋2020>


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 2020年12月15日。ふたたび運命の日が巡って参りました。
 折悪しく前の晩は雨。チャスカは大喜びで、早朝から水たまりで転がって泥だらけになってしまいました。
 ここまでよごれた毛を刈るのは、大変そうだなあ。



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 チャスキのほうがちょっとマシ。
 それにしても、よく一年でここまでフサりましたよね、毛刈り後の変身が今から楽しみです。



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 ハイビスカスの花を使って、毛刈り会場となる駐車場へアルパカたちを誘導。


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「し、しまった!」


 扉がガチャンと閉められ、やっと異変に気づいたチャスカとチャスキ。


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2020年12月15日



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一年前の2019年12月23日


 その既視感は……これですね。
 Fさんの毛刈り用戦闘服も、「あれ、どうしたのかな?バリカンの調子悪いなー」というセリフも、全部同じ。
 アルパカたちが大人になったのと、Fさんのマスク姿だけが、前回との違いですね。



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わが家の超小規模
chaccu de alpaca(アルパカ囲い込み)



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 二頭ともがっしりしてきたので、すぐ捕獲できるか危惧しておりましたが、哀れチャスキ君、耳をつかまれ、容易にねじ伏せられました。
 永吉君は、極端に忘れっぽかったり…しますが、家畜慣れしているのは確かで、こういうときは大いに頼りになります。



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 前回同様、やっぱりFさん持参のバリカンの調子がわるく、手で刈ることになりました。
 バリカンちゃんと直してから持ってくるか、さいしょから持ってこないか、どっちかにすればいいのに…と思いますが、Fさんの本音の本音は、どうやら手で刈るほうがお好きみたいですね。


 でも手刈りはバリカンより時間がかかるので、いやがるお客さんも多いのでしょう。
 そこで一応、調子のわるいバリカンを持参し、「やっぱりだめですねー、今回は手で刈りましょう」と持っていくのが、Fさんの毛刈りパフォーマンスの一部となっているのかもしれません。


 Fさんのハサミがチャキチャキ鳴り始めると、チャスキはただちに空しい緑スライム攻撃を開始しました。
 さいきんどこでも売ってるフェイスシールド、買っておけばよかったなあ。(恐らく一年後にはもう手に入らないでしょうから、今のうちに買っておかねば)。
 またビニールシートも、次回はモスグリーンのを使おうと思います、たぶんそのほうが緑スライムが目立たないので。



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 身体が大きくなったぶん、前回より迫力を増したチャスキの大絶叫の中、Fさんは大きなハサミでざっくざっくと刈り進みます。
 今日はFさん、息子君は連れてきませんでした。前回まったく役に立たなかったから、でしょうね。


 でもせっかくこうして、お父さんが経験と固定客とを持っている仕事なんですから、若いうちに試しに教えこんでみればいいのに、と思うんですけど、そういうところ主張できない親御さんが、今のペルーにはとても多いような気がします。永吉君もその典型ですが。

 こういう手仕事は、小さい子には楽しい遊びでも、ある程度の年齢になると、めんどくさいが先に立ちますから、時機を逃すと難しいのはわかります。
 しかし子供のほうも、今や授業に至るまですべてがスマホ経由で、手仕事の楽しさをまったく知らずに育っていくのは、少し気の毒だなあと思います。



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このまま着られそう。


 大きなお世話な夢想にとらわれているあいだに、チャスキ君どんどん身軽になっていきます。


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 刈った毛はよく縮れていて、見るからに保温がよさそうです。
 このところアルパカたちは、日陰にばかりいましたが、初夏にこれだけ着込んでいたら、そりゃあ暑かったことでしょう。



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 チャスキの変わり果てた姿?に、ショックを受けるチャスカ。


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 おそるおそる様子を見に来たチャスカですが、チャスキのすさまじい叫び声にすぐ退散。


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 なんたる被毛の分厚さ!チョコレート風味のスフレケーキを切り分けているみたいです。
 アルパカたちの毛色、どうにもおいしそうで困ります。



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 だんだんと、刈り取った毛の嵩のほうが、本体より大きくなってきました。


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 頭部の仕上げに入ります。
 チャスキは最近おっさんじみてきたので、「できるだけ若々しい感じに」と注文しました。



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今回は洗髪サービスつき。
お顔が緑色ですので…


 チャルキ…じゃなくてチャスキはきっと、「毛をむしられて、洗われて、……いよいよ次は鍋か?丸焼きか?!」と思ったでしょうね。


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 チャスキの耳をつかみ、情け容赦なくぎゅーっとしぼるFさん。
 頸すじをご覧ください、実にみごとな水の弾き具合です。
 アルパカたちが、リマの雨なんぞ気にもとめないのは当然ですね、こんなに高性能な撥水コートを着ているのですから。地肌まで濡れるなんてありえませんね。



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「よーし!一丁上がり!」


 1時間と2分にわたった毛刈り、終了の瞬間です。
 チャスカは恐縮しきって、隅っこにべったりと座っています。落ち着いているようにも見えますが…



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 あらあら、口をあけっぱなしにしています。
 これ、緊張や怖さ、興奮などで、心臓がバクバクしているときの顔です、かわいそうに。



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そんなチャスカに駆け寄るチャスキ。


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 と、言ったかどうかはわかりませんが、いずれにしても心の余裕ゼロのチャスカ嬢。


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 無事の再会を喜ぶ間もなく、すぐに取り押さえられました。


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 チャスキ(矢印のところにいます)は、もう駐車場から出してやっても良かったのですが…
 チャスカ嬢の想定外の大々々々絶叫!に度肝を抜かれ、つい忘れてしまいました。
 一年前には、もっとかわいらしく、途切れ途切れにか細く叫んでいたチャスカですが、今回は物凄かったです。しかもチャスキより音程が高いので、頭に突き刺さるように響きます。



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 この程度の絶叫には慣れっこのFさん、「若くて元気な証拠ですよー」と、まったく動じず刈り始めます。
 そしてまもなく、チャスカのかわいいブチ模様に再会。
 そういえばいつのまにか、毛が伸びて見えなくなっていましたね。



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 そのころチャスキは…
 自身の毛刈りショックと、チャスカのすさまじい叫び声との相乗効果で、完全に呆然自失。
 (新しいヘアスタイルはどうでしょう?アルパカというより、テリア犬みたい?)



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 宿六がなぐさめようと、大好物の桑の葉をとってきましたが、反応なし。


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でもチャスカの毛束には、少し反応。
(宿六も意地の悪いことを…)



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 そして、寂しく去っていったのでありました。


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 その前に、チャスキの背中をそーっと撫でてみました。
 毛刈り後の手触りは、やはり格別です、ウレタンフォームのような、柔らかくしっとりとした触り心地です。
 今回もひどい虎刈りですけど、それがまた、ザクザクと雑に切り出したウレタンフォームそっくりですね。(ソファのある空間で猫を飼っていると、「ザクザクと雑に切り出したウレタンフォーム」を見る機会、とても多いんですよね…)



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 チャスカの金属的絶叫に疲れ果て、私はいったん家で一休み。(家の中でも絶叫が聞こえて、猫たちがオロオロしていましたが…)
 そのあと現場に戻ると、ちょうどヘアスタイルの仕上げに入るところでした。
 このところ頸まわりがゴージャスすぎて海獣化していたので、「マダーム風ではなく、もう少し女の子らしく」と注文しました。



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 今回はチャスカもかなり緑スライムを製造しましたので、ざぶざぶと洗ってもらいます。
 あ、また耳をつかまれてる……これ、なんかかわいそうで私たちはできないのですが。



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 チャスカのほうは、57分で毛刈り完了。
 ロープをほどいてもらったあと、しばらくは呆然と座り込むチャスカ嬢。



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 でも、チャスキは食べなかった桑の葉を見せると、ただちに正気に返りました。
 そしてものすごい勢いで食べ始めます。さすがチャスカ。



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「こんなひどいめにあって…
やけ食いでもしなきゃ、やってらんないわ!」



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 そして1ダースの桑の葉を一気食いすると、憤然と去っていったのでありました。


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 前回よりはるかにパワーアップした、この世の終りのような大騒ぎでした。横で見ていただけで、その後数日間は全身が痛かったです。
 でもアルパカたちのほうは、小一時間あとにはすっかり落ち着いて、いつも通りに機嫌よく迎えてくれました。


 さて今回の仕上がりは、いかがでしょう?
 2019年は、右の写真のように、あまりにも頭でっかちな仕上がりだったので、今回はもう少し刈り上げてもらいました。
 また頭部や頸まわりも、少し毛をそいでもらいましたので、もうちょっとこなれ感?抜け感?エアリー感??のあるヘアスタイルになった…でしょうか?



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一年前の2019年12月23日


 こちらは前回の毛刈り直後。
 アルパカたちもまだ小さかったので、大きすぎる頭部の唐突感が半端なくて、これはこれで楽しかったです。


 次の毛刈り2021は、どうしましょうか。
 チャスキは、耳の下まで刈り上げてもらって、ロックな感じを狙うか、あるいはモヒカンもありかな。
 チャスカは、無難にかわいくしておきたいですが、チャスキではもっと遊んでも良さそうですね。



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チャスキ


 そしてあとに残ったアルパカ毛の山。
 前回のベイビーアルパカ毛も、まだ袋に入れたままおいてあります。(ロックダウンのせいで、手がつけられませんでした)
 アルパカの毛色ってやっぱりおいしそうですよね、チョコレート、バニラ、カプチーノ・アイスクリームの盛り合わせです。



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チャスカ


 この状態から毛糸に撚ってくれる人を、先日紹介してもらったので、近いうちに持って行こうと思います。
 Fさんによると、大人のアルパカ一頭分で、セーターが1枚編めるとか?(Fさん談話は、半分くらいに聞いといたほうがいいですけれど)
 でもこういう色調は、私たちにはたぶん着こなせないので、まずは気楽にひざ掛けでも試してみようかな?それなら猫も包めますし。





アルパカだって夏をあきらめない!2021

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そんなあなたに、驚異の脱毛痩身法!
今なら洗髪サービスつきで、お値段はなんと据え置き!


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<施術前>
厚着のマダーム・アルパカから…

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 <施術後>
…儚げなアルパカ少女に!

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<施術前>
暑苦しいおっさんアルパカから…

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 <施術後>
…涼しげなアルパカ少年に!

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<施術前>
地響きのする走りから…

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 <施術後>
…アンデスの風のような走りに!

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今夏こそあなたも、プキオのFさんのゴッドハンドで身軽になって、
草原?をバンビのように走りまわりませんか?


2021年2月4日(木) 午後6時の室温26.3℃ 外気温24.7℃ 晴れのち曇り
<チャスキよりハンサム再開のお知らせ>


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「ファンの皆さま、
お待たせしてしまいましたね…」


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 ある日、ふと気づいたら、チャスキがハンサムに戻っていました!
 やっぱり顔の毛がふさったり抜けたりするのは、季節的なものなんですね。



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12月上旬のチャスキ。
顔がこんなに毛だらけ。



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「ニコッ!」
(その営業スマイルは何?)
現在のすっきりチャスキ君。



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12月下旬のチャスキ。


 愛敬があってかわいいけど…およそハンサムとは言えませんね。


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現在のチャスキ。


 今では、ハンサムには写しにくい角度で撮っても、けっこうすっきり見えます。


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 いつからハンサムに復帰したのか、毎日見ていても気づきませんでしたので、写真にあたってみました。
 これは今年2021年の1月1日。まだチューバッカ顔ですね。



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 でも1月7日にはもう、鼻すじにもしゃもしゃ立ち上がった金髪?が、ほとんどなくなっています。
 1月第一週に、一気に抜けた、と思ってよさそうですね。


 …しかしいったいどうして?!
 アルパカは1月から3月ごろが繁殖期ですが、それとなんか関係あるのかなあ?
 まさかアルパカのメスが、顔のすっきり度で相手を選ぶとも思えないのですが。



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 顔がすっきりしたところに、木漏れ日を浴びて、まつげが際立つチャスキ君。
 上の密生まつげも見事ですが、下側の、あごまで届く長いまつげにもご注目。



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「あらお隣さん、こんにちは!
お宅の芝ったら、
格別においしいわね!」


 チャスカのほうは…あいかわらず食い気に生きております。もしほんとにこんな隣人がいたら、いやだろうな…


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 今日のチャスカは、ハンサムに復帰したチャスキの、あくまで引き立て役です。
 その役柄にふさわしい写真を載せましょう。



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「私のリンゴ、どうしたのよ?!
早く出してよ!」



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「ムラサキウマゴヤシじゃないの!
リンゴってさっき言ったでしょ!」



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「フン……
ひどい写真ばっかり!
こんな美人をつかまえて、
ずいぶん失礼だこと!」



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クローバーにかぶりつくチャスカ


 そういえばチャスカは、一年中、美人度に特に変わりありませんよね。
 1月1日のこの写真を見ても、チャスキみたいにヒゲだらけには見えないし…
 地色が明るくて、目立たないだけかもしれませんが。



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スイレンの茎を
ポリポリかじるチャスキ


 1月12日の写真では、チャスキは見違えるようにすっきりしていますが、チャスカは別に変わってませんよね。
 でもムダ毛があってもなくても、さいきんいくらでも撫でさせてくれる、かわいいかわいいチャスキです。


 このたびの無意味なロックダウンも、アルパカたちのおかげで、また軽ーく乗り切れそうです。
 とはいえまさか、二度もアルパカといっしょに幽閉されるとは、思っていませんでしたけど!
 我ながら、なんとまあ数奇な運命なのであろうか…と、呆れます(笑)あーあ…



2021年2月11日(木) 午後5時の室温27.4℃ 外気温27.2℃ 晴れ
<ビクーニャの毛刈り>(2000年12月カハマルカにて)


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カハマルカ、ポルコン農場のビクーニャたち
(2000年12月)


 2月14日までの予定だった第二次ロックダウンが、昨日またコマコマと二週間(つまり2月末まで)延長されました。
 昨年と同じ悪夢を、また見させられているような気分です。


 まあどうせこうなるとわかってはいましたが、それでもムカッ…ときたので、気分を変えるべく古い写真箱に首をつっこみ、懐かしいプリント写真のにおいに浸っていたところ、ちょっと珍しいスナップを見つけました。
 ビクーニャの毛刈りのようすです。2000年のクリスマスにカハマルカを訪ねた際、郊外のポルコン農場で見せてもらいました。



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 1995年に初めてポルコン農場に行ったときは、まだビクーニャの頭数も少なく、「実験的に飼っています」とのお話でした。
 でも2000年の再訪時には、毛刈りのための囲い込み(チャク)の最中でした。つまり、囲い込みが必要なほど殖えたのですね。


 左側には、チャクに使う長いロープや木の枝を手に集まった人々が、そして右側には、ビクビク警戒しているらしいビクーニャたちが写っています。
 結局この日は、ビクーニャのあまりの敏捷さに、「一日がんばったのに、とうとう一頭もつかまらなくて、くたびれもうけでしたよ」とのことでしたが。



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 でも前の日につかまえて、囲いに入れてあったビクーニャの毛刈りを、運よく見ることができました。
 (おお、今となると見慣れたこの毛刈りバサミ!プキオのFさんが持っているのと同じですね。
 これを使いこなすには、かなり握力が必要そうです)


 ビクーニャはなにしろ身体が小さいので、あっというまの毛刈りでした。
 縛りもしないで、背なかと胴の両側だけ、ざっと刈っていました。たぶんストレスが少ないからでしょう、ビクーニャも無言だったような?
 少なくとも、うちのアルパカみたいな耳をつんざく大絶叫では、ぜったいになかったです



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 ビクーニャの毛はとても短いですね。まず毛糸にするだけでも、たいへんそう。
 しかも6頭分を集めて、やっとセーター1枚。コートだと25頭から30頭分!も必要らしいです、30頭ったらもはや立派な群れですね。


 そういうコートは、ペルー国内ではたしか100万円くらいだったと思いますが、欧米に行けば軽く倍にはなるらしいです。(目立たない風貌の人に着せて、密輸出とかできそうな…?)
 欧米の政治家なんぞがよく着るせいで、「ビクーニャのコート」というと賄賂イメージが強いのは、ビクーニャの美しさを思うと残念なことですが…
 ああでも、そのぶん高く売れるなら、ペルーのためには良いことですね。



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 小さいから、予防注射もささっと終了。うちのコブナシラクダとは、ずいぶん違うなあ。
 でも、フラッシュをたくと、大きな瞳が紫がかった色に光るのは…


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 …うちのアルパカと同じですね。
 (これだけ光るということは、フラッシュはとても眩しいはずなので、その後は使わないようにしています。
 なので目が紫に光った写真は、子供時代に撮ったこれしかありません)



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 こちらはレトロなバリカンかな?それとも、お世話が終った印でもつけているのかな?
 この小さなビクーニャは背中の毛がふわふわしているので、たぶんは毛は刈らず、注射だけで放免となったようです。
 アルパカとは違って、ビクーニャの毛刈りは三年に一回程度だそうです。


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生まれて初めて
触らせてもらったビクーニャ!
あったかい、のひとこと!


 ポルコンがあるペルー北部では、もともとビクーニャ飼育の習慣はあまりなかったはずです。
 なのでここでは、ひたすら試行錯誤を重ねて、土地に合った飼育法をさぐっていったそうです。
 ビクーニャを飼い始めた当初は、胸元の白い長い毛まで刈り取ってしまい、風邪をひかせたこともあったそうです
 胸やおなかの毛は、質が低く売りものにはならない上、ビクーニャたちの保温には欠かせないので、切ってはいけないんだそうです。



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 毛刈りの終ったビクーニャを運び出す人たち。
 このときはキーキー鳴いていました。これじゃ丸焼きスタイルだものね…



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 さようなら!
 明日からはまた、ポルコン農場の広大な敷地を、自由に走り回って暮らすのですね。


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 夕方、雨脚が強まる中、じっとうずくまってやりすごすビクーニャたち。


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 雨雲と白い霧がまざりあうポルコン農場。
 見わたす限りに植林されたメキシコ松の、少しつんとする良い香りも忘れがたいです。



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うさぎは囲いに入っているのに、
ビクーニャは放し飼い!
なかなかシュールな情景です


 2008年に農場を再々々?訪したときは、状況がガラっと変わっていました。
 もともとは、観光客が脅かしたりしないように、囲いの向こうで暮らしていたビクーニャたちですが、このときはもう犬みたいに、そこらじゅうを自由に歩きまわっていました。


 非常に音に敏感で、臆病な野生動物のはず…ですが、ひとたび人慣れするとこうなるのですね。
 もしかすると、ポルコン農場でずーーーっとビクーニャを飼い続けるうちに、自然と先人の品種改良の道を辿ることとなり、さいごには全部アルパカになってしまったりして?!まさか?



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 思えば、やはり2019年末の毛刈り直後のチャスカとチャスキが、ちょうどビクーニャ・サイズでしたね。
 顔もぜんぶ剃ったら、もっとビクーニャそっくりになるのかどうか…試したいような、試したくないような。
 アルパカのかわいさの四割くらいは、髪型にありますからねえ。


 そうだ、ビクーニャの写真に、チャスカの頭髪?を合成してみる、というのをあとでやってみよう…


2021年2月12日(金) 午前11時の室温27.9℃ 外気温27.6℃ 高曇り
<チャスカとビクーニャ、カツラを取り替えてみた>


 (ロックダウン疲れなのか、昨晩はどうにも寝つけなかったので、朝までこんなことしてました)


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ポルコン農場のビクーニャに…


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チャスカのカツラをかぶせてみました。


 あれ?なんでチャスカのカツラで、ヒトっぽくなるわけ?!
 頭髪があると、ビクーニャ特有の宇宙人っぽさは薄まるけど…これ夢に出てきそうだなあ…


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いっぽうチャスカには…


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ビクーニャのカツラをかぶせました。


 アルパカの先祖は、こりゃほんとにビクーニャなのかも。わりと説得力ありません?
 (ロックダウン疲れによる不眠には、こういうバカげた手作業がいちばんです。まだ朝にならないのでチャスキもいじってみましょう)



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「ハンサム期の僕に、
笑いを取る必要はないのさ…」
と言いつつ…



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 おお!なかなかいいですね!
 次回の毛刈りでは、これくらいバブリーな感じにしたいです。昔こういう人、よくいましたよね。



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 毛刈り後は、なぜだかバブル期の、意味不明なポスター風になりがちなチャスカとチャスキ。ぴったりなコピー、何かないかな…
 「アルパカの2歳は、一度目のハタチ」?……とか?



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 チャスキの上まぶたの、金茶色のハイライトがしゃれています。顔のもしゃもしゃが抜け落ちてすっきりすると、急に目立つようになります。
 きのう宿六が、「冬場もときどきチャスキの顔を剃ってやれば、一年中ハンサムなんじゃないの?」と言い出しました…
 出しっぱなし非常事態令(きのうで333日!)と、ずるずる小出しに長引くロックダウンの疲れが、宿六も少し出てきたようですね。



2021年3月5日(金) 午後6時の室温27.0℃ 外気温25.9℃ 晴れのち曇り
<チャスカのめばちこ(ものもらい)>


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あれチャスカ…
右目、どうしたの?


 まだロックダウン中だった、先月なかば。
 チャスカが右目をしょぼしょぼさせているのに気づきました。おそらくゴミでも入って、軽い炎症を起こしたのでしょう。



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 (長年の猫経験からの推測で)これはほっといても治る、と思いましたが、宿六は大いに心配して、すぐさまいつものFさんに連絡。
 すると翌朝にはもう、Fさんうちまでやってきましたよ、いちおうロックダウン中だったんですけど…何故かまったく問題なしに。
 そしてムラサキウマゴヤシに釣られたチャスカは、駐車場の隅で、あっさりと捕獲されました。



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これだけ瞳が大きいと、
二階から目薬の逆バージョン?


 ロックダウン疲れ中だった私は、めんどくさくて顔を出さなかったのですが、やっぱり見に行けばよかったかな。
 アルパカの、あの特大の瞳に目薬をさすところなんて、なかなか見られませんから。



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どさくさ紛れにチャスカの
おしりチェックをするチャスキ


 さらにFさんは、抗生物質の注射もしていったそうです。
 いえ、それはぜったい不要でしたね!この朝にはもう、ほとんど炎症おさまってましたから。


 ペルーの人は、抗生物質信仰がすごいようですが(ただの風邪でもすぐ飲んじゃうという…)、動物に対してもそうなのか。
 まあチャスカは若いですし、一回くらいどうってことないでしょう。でも次回からは、必ず私が出て判断しなくては。



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治療後すぐ、
ムラサキウマゴヤシの
やけ食いをするチャスカさん



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雑草…いえ季節の野草サラダ
(トマトの野生種)を
おいしく召し上がるチャスカさん


 翌日にはこの通り、いつもの特大ツヤツヤ真黒お目々に戻っていました。めでたしめでたし。


2021年3月14日(日) 午前10時の室温27.7℃ 外気温27.6℃ 快晴
<七面鳥サルボにお嫁さんが来た!>


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3月現在のサルボ君


 オスの七面鳥がうちにきてから、もう三ヵ月が過ぎました。
 来たばかりのころ(右の写真)よりも、ふたまわりは大きくなって、顔つきもだいぶいかつくなりました。でも変わらず人懐こいです。
 エサはトウモロコシをやっていますが、ほとんどの時間はあちこちの藪の中で、いろんな虫や草をつついて過ごしています。



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昨年12月のサルボ君。
今と比べると顔が幼いですね。


 名前は、宿六がサルボ(Salvo)とつけました。
 なぜかというと、「クリスマスに食われることなく、命拾いした(Se salvo' de ser comido en Navidad)」…からです。


 命名してから気づきましたが、今見ているイタリア・ドラマに、サルヴォ君(綴りは同じ)という、七面鳥みたいにすぐ顔が真赤になる若者が出てきます。
 また同じイタリアの、サルヴォ・モンタルバーノ刑事のハゲあたまにも、けっこうよく似てますね。意外にぴったりな名前でした。



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うちの庭にメス初上陸。
脚をぴん!とさせてかわいいな。


 年末年始は、サルボ君、わびしい独身生活を送っていました。毎日悲しそうに、ピーポーポー、ピーポーポー…と鳴きつづけ、どうやら仲間を探しているようでした。
 でも1月なかば、とうとうお嫁さんがやってきました!それも二羽!
 届けてくれたのは、前回と同じ七面鳥屋さんです。



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 庭に放すとすぐ、きょろきょろとあたりを調べ始めたメスたち。
 サルボと同じ黒い七面鳥ですが、メスのほうが色が薄く、顔も青白いです。首すじの灰色がかったベージュが、とても感じのいい色です。



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 と、そこに、向こうからサルボ君が、たいへんもったいぶった様子で、しずしずとご登場!
 これまでは、いつも寂しそうに尾羽根をひきずって、トボトボ歩いていたのに、メスを見たとたん驚くべき大変身!
 こんな七面鳥らしい気取りかえった姿、見るのは初めてです。まったく正直なやつだなあ…



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 サルボ君、黒い羽毛を思い切りふくらませ、まだ生え揃っていない尾羽根も、せいいっぱい孔雀のように立てて、全身をブルンブルンと震わせています。
 よほど嬉しいのでしょう、顔も真赤になっています。



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このふくれあがった姿…
右の写真と比べてください。



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前日までのサルボ君はこう(↑)でした。
完全に別シチメンチョウ状態。



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しかもけっこうしつこい!


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「わたくしサルボは、これこの通り、
みなさんより年嵩で大柄です!
よろしく!」


 サルボは二羽のメスを、何度かクチバシでつつきます。初対面で力関係が決まるので、一種の儀式のようなものらしいです。
 というのもメスのほうも、決して大人しいばかりではなく、たとえば年嵩のメスのところに若い小さなオスを連れて行くと、メスが怒ってつつき殺してしまうこともあるとか。(鳥にはどうもそういう、冷血なこわーいところがありますね…そこが魅力でもあるんですけど)
 だからサルボ君としても、嬉しいだけではなくて、いわば命がけの会見でもあったのでしょう。



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 このお嫁さんたちは、サルボより少しあとに孵った、少しだけ若いメスです。
 それもあってお見合いは上首尾で、三羽は一瞬で仲良くなり、サルボ君もじきに羽根を畳んで通常モードに復帰。
 そのあとは日が暮れるまで、三羽いっしょに芝草や虫をつついていました。



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「またなんか変なもの、連れてきたのね…
私たちというものがありながら…」


 メスたちは、ディナとビビ、と命名しました。
 さいしょ片方のメスの目元が、恐竜(dinosaurio)そっくりに見えたので、そちらがディナ。
 またもう一方は、年末の生き残り(sobreviviente del fin de anho)…ということで、ビビとしました。
 …でも二羽とも、ちょっと育ったら全く同じ顔になってしまい、従ってどっちがディナでどっちがビビなのか、誰にもわかっておりません。



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 七面鳥屋さんが、別のお宅に届けるという、かわいいニワトリのヒナを見せてくれました。
 「もし欲しければ置いてってもいいですよ?」と言ってくれましたが、ニワトリがいかに草花を荒らすかは、アントワネットちゃん時代に経験済み。
 その点七面鳥は、もっと肉食寄りらしく、花には興味がないようで助かっています。


 七面鳥屋さん、虫食べほうだいの一か月で、がっしりと太ったサルボを見やって、もう舌なめずりせんばかりの様子です。
 「こういう放し飼いの、虫や草を食べてる七面鳥は、本っ当においしいんですよ………お宅ではなんで食べないんですか?!
 これを食べたら、もうスーパーで売ってるブロイラー七面鳥なんか、二度と食べられませんよ。
 あーあ、うちがもっと近かったら、七面鳥のヒナをみーんなここに連れてきて、放し飼いさせてもらうんだけどなあ!」


 なお、サルボ君と同時期に孵ったヒナたちは、来たる5月までの命、と決まっているそうです。
 七面鳥屋さんの弟が結婚式を挙げるので、その祝宴のご馳走となる運命だそうです。アーメン。



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クチバシにバナナを刺したビビ
(かディナ)


 さて、七面鳥も三羽に増えたので、翌日からはしっかり働いてもらおう!(カタツムリや害虫駆除をやってもらおう!)と、大いに期待していたのですが…
 メスたちは来るなり、とりあえずやらかしてくれました。そうなんです、アルパカのチャスカと同じで、ディナとビビも厄介なフルーツ女子だったのです。


 小鳥用にバナナやサボテンの実を出してあるのを、目ざとく見つけたビビとディナ、クチバシにぐさっと刺して走って逃げて、藪の奥で食べてしまいます。
 小鳥とは比較にならない大きな鳥ですから、こいつらにまで果物を食べさせていたら、もういくら出しても足りません。
 しかもサルボまで、今までは果物には見向きもしなかったくせに、奥さんたちがおいしそうに食べるのを見て、味を覚えてしまいました…



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「庭の王子様の僕ですら
バナナはもらったことないのに!
なんでシチメンチョウが!!」



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バナナを丸飲みにするディナ(かビビ)。
それ、小鳥たちの
一日分なんですけど!(涙)



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「フルーツパーラー千羽屋の
入り口はどちらですかー?」


 ほかに方法を思いつかず、やむなく小鳥用のエサ場を、ざっくりと金網で囲ってみました。
 するとサルボはすぐ諦めましたが(諦めたサルボは右奥に座っています)、メスたちはその後も毎日、首をながーくして、もしや入り口が出来てやしないかと調べにきます。
 見ていてちょっとかわいそうになったので、それからは小鳥の食べ残しを、翌朝七面鳥にやることに。これが名案でした!
 果物のムダは一切なくなり、また七面鳥はバナナの皮まで食べ尽くすので、ゴミも減って言うことなしです。


 唯一、雑な囲いが見苦しいのだけが難点です…


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 その後、ついでに大食い鳩(写真右上)も締め出すことに。囲いの上も金網で覆って、小鳥用にいくつか小さな穴をあけました。
 小鳥たちは、さいしょの数日間は警戒していましたが、すぐ入りかたを覚えたので、これも大成功。
 乱暴な鳩がバサバサ飛びまわらないので、かわいい小鳥たちも落ちついて食事できて嬉しそうです。


 でもやっぱり見苦しいな…
 ニワトリ小屋用の古風な金網(ハチの巣もようになった金網)を手に入れて、もう少し気のきいた囲いに作り替えよう…と思いますが、うーんたぶんこれが崩壊するまではやらないかな……



2021年3月22日(月) 午後5時の室温26.7℃ 外気温25.9℃ 快晴のち曇り
<アルパカ VS. 七面鳥>


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 メスの七面鳥、ビビとディナがやってきた翌日。
 サルボは庭のすみからすみまで熱心に二羽を連れ歩き、おいしいエサのある場所を教えているようでした。


 「ちゃんと家長の自覚があるんですかねえ!」と、庭師の永吉君、感心することしきり。
 (永吉君は、「献身的な夫、献身的な親」ネタに弱い。身につまされるのかな?)



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「サルボ父さんはどこ?!」


 ビビとディナは、いつも首をながーく伸ばして、あたりをうかがっています。見るからに心配性です。
 特にサルボとはぐれたりすると、互いに「どこにいるのーー?!」呼びかけあって、大騒ぎになります。



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暑い午後、日陰で休むサルボが、
目を細めて満足そうに見やる先には…



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…砂浴びする若奥さん二羽。
いやーサルボ君、
これはほんとに天国ね。



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「サルボ父さーーん!いい砂だから、
こっちにいらっしゃいよ!」



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「では……
奥さんたちのお言葉に甘えて、
私サルボも一浴びいたしましょう」



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 しかし!サルボたちの平和な昼下がりは、突如チャスキに踏み散らされたのでした!

 砂場から囲いの中に戻ろうとした三羽を、チャスキが全速力で襲撃します。
 ま、襲撃といっても追い回すだけですが、七面鳥から見たらアルパカは未確認巨大生物。三羽ともギャーギャー大騒ぎして逃げ惑います。
 チャスキにはそれが楽しくてならないようです。



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 チャスキもチャスカも、七面鳥の声が聞こえると耳をピンと立て、
 「あ………おもちゃが来たな!」
 とでも言いたげな、ちょっと意地わるそうな顔になります。



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「奥さんたち、早くこっちへ!」
サルボの先導で、
急ぎ足で避難する一家。



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「うわ!
こっちにも出たアルパカ!」


 七面鳥(pavo)というと、スペイン語では気の毒に「まぬけ」の代名詞です。
 イタリア語でも、メスの七面鳥のおつむ(cervello di tacchina)=頭があまりよくまわらない人、だとか。


 たしかに七面鳥には、オウムやインコのような賢さは全く感じられません。もっとずっと単純で、個性もほとんどなさそうです。
 でも記憶力は良いらしく、囲いがあってアルパカが入れない場所は、三羽ともすぐ把握したようです。



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 そして日暮れ時には、目が見えなくなる前に、早めに池のまわりに集まって、三羽仲良く並んで眠ります。
 (こういう水回りはカタツムリ等増えやすいですが、それもすっかりきれいになって、飼い主ただただ感涙…)



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 七面鳥夫妻の円満さに、ちょっとあてられたのかな?
 めずらしくチャスカとチャスキが、仲良さそうにじゃれあっています。
 ふだんチャスカはちょっとチャスキが近づくだけで、キレてつばを吐きつけ、追い払います、かなりヒステリー女っぽいです…
 でもこのときは、向かい合って芝に座って、互いに長い頸をすりすりさせて、二頭ともごきげんでした。



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 チャスカの頭のうしろを、頸でなでなでするチャスキ。
 いつもこれくらい仲がいいと、ほほえましくていいのですけどねえ、まずめったに見ないですね…



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 チャスカもお返しに、チャスキの頭をなでなで。

 でも思った通り、愛情深いすりすりは、じきに険悪なクビ相撲へとエスカレート。
 そしてさいごはいつものように、つばを吐きあって終ったのでした……



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チャスキがしつこいので、
怒り始めたチャスカ
(2020年2月撮影)



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そしてクビ相撲勃発!
(2020年2月撮影)


 いったん相撲が始まってしまうと、誰にも止められません。
 ラクダ的な「グエーッ」という、かわいい顔に似合わぬ声を出し、互いに耳を噛んだりつばを吐きあったりしながら、しばらくこうして長い頸で戦います。そのうち双方くたびれてその場に座り込み、いつのまにか平和が戻る、というのがいつものパターン。


 世間一般には、アルパカはきわめて無力で平和な生きもの、白くふわふわした毛玉のような優しい動物、とみなされていますが…
 ぜんぜん、ぜんっぜん違いますので!!
 武器も、長い頸、つば吐き、噛みつき、後足蹴り(メス)、前脚を使った飛び蹴り(オス)と、けっこう各種取り揃えており、無実の飼い主もしばしば誤爆されます。



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サルボの恐竜めいた脚。


 ところで、うちの庭では年ごとに、それぞれ違う虫が大発生して興味深いのですが、この春はカタツムリが増えすぎて往生しました。草花への被害甚大でした。
 また奥の堆肥コーナーでは、いったい何がいけなかったのか、最も歓迎しがたい某虫が増えてしまいました。
 実害はないものの、夜になると何匹かうちに走り込んでくるのが、本当にいやでした。猫たちはもう狂喜乱舞してましたけど……


 しかしそこに救世主が降臨しました!わが愛すべき七面鳥一家です!
 まずサルボが来てすぐに、カタツムリほぼ絶滅!
 次いでメス二羽が加わると、わずか一週間で、歓迎しがたい虫もぱったり姿を現さなくなりました(猫は落胆)。
 (その後もまれに、大きなコオロギやカナブンくらいは家に入ってきますが、それは猫が仕留めてくれます)


 また、モナルカ蝶の食草トウワタにつく、気持ちわるい赤と黒の派手なカメムシも、いつのまにかいなくなりました。
 さらに、庭でたまに出くわしていた小鳥のご遺体も、ぜんぜん見なくなりました。なぜだろう……
 永吉君によると、どうもサルボが環境に最も優しい方法で処理してくれているようです……


 七面鳥ってそこまで肉食なんですか?!…と、少しゾっとしないこともないですが、でも結果としてはありがたいことばかりです。もう七面鳥は一生切らしません。


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瞳もよく見ると怖い。


 七面鳥部隊の恐るべき掃討能力を日々まのあたりにするうちに、恐竜と鳥が同じ獣脚類に分類されていることが、自然に無理なく納得できるようになりました。
 特にヴェロキラプトルなんて(映画に出てきた狡猾な中型恐竜ではなく、もっと小型の羽毛恐竜)、ほぼ七面鳥サイズだったそうですね!
 そう思って改めて眺めると、サルボもいかにも羽毛恐竜めいて見えてきます。木漏れ日を浴びるシダの上に座っていると、ますます太古の動物っぽい。


 瞳もひんやりとした光があって、恐竜みたいです(恐竜の目は、少なくとも今生では見たことないけど)。
 むかし色とりどりのセキセイインコを飼っていたときも、ときどきチラっ……と冷たい横目で見られると、背筋がひやっとすることがありましたが、七面鳥はでかいだけにもっと迫力があります。


 でもそんな七面鳥たちが、人を見ると嬉しそうに走り寄ってきて、ピーポーかわいく鳴いてエサをねだります。
 また仲間同士、姿が見えないと必死に呼びあったりする様子を見ていると、もしかすると恐竜たちのあいだでも、そういうある種、やさしく温かな交流があったのかもしれないな、なんて思ったりします。



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横で寝ていたハスミニが、
急に目をあけ申します。


「え?七面鳥の目がどったの?
まひるの私の瞳のほうが、
怖いに決まってない?」



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そこにチャスキも割り込みます。

「…本当にそうかな?小猫くん?
ハンサム期の私の瞳ほど
美しく恐ろしいものは、
この世にないはずだ…」



2021年3月24日(水) 午後6時の室温26.8℃ 外気温24.5℃ 晴れのち曇り
<ビビはただいま抱卵中>


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二羽しかいない!


 七面鳥一家は、その後も三羽仲良く暮らしていましたが、2月の末に、とつぜんメスの一羽が行方不明となりました。
 数日間、藪をつつきまわって探しても見つからず、心配しておりましたが…



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 壁ぎわの柘榴の下で、巣ごもりしているのを発見!!
 近づくと、「シュー、シュー、シュー!」と蛇のような音を立てて威嚇するので、そっとしておくことにしました。
 ついでにこの機会に、こちらをビビと呼ぶと決めました。



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 ビビは二日に一度、食事しに出てきます。そのときは元通りの人なつこい様子です。
 巣の近くにも水とエサ入れを置きましたが、慣れた場所で食べるほうが落ち着くようです。
 座りっぱなしで脚がだるいのでしょうか、片脚ずつ上にあげては、足先をむすんで開いて、むすんで開いて…と運動しています。



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 ビビが食事しているすきに巣を覗くと、枯草を敷いた上に、きっかり1ダースの卵がありました!
 イースター前の今に、ぴったりの話題!
 にわとりの卵より一回り大きく、焦げ茶のブチ模様があります。


 行方不明になってから12日目でしたから、日に一個ずつ生んでいったようです。
 サルボはまだ若すぎるので、有精卵かどうかはわかりません。
 でも七面鳥はなんと、無性生殖することもあるとか!?(オスなしで生まれた卵が、まれにヒナになることがあるそうですが…ほんとかなあ…)
 まあしばらく様子を見ることにいたしましょう。



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 食事と運動を終えたビビは、巣に戻る前に、アルパカが通らないか確認しています(矢印)。
 心なしか、ほかの二羽(手前)も、心配そうに見ているようでした。



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そそくさと巣に戻るビビ


 ここは蝶寄せのため、新しくpacay(アイスクリームビーン…英語的おおざっぱさ丸出しの呼び名だなあ…)やuva de mar(ハマベブドウ)の苗を植えた場所で、育つ前にアルパカに食われないよう、針金で囲ってあります。
 ビビはきっと、アルパカが入れないことをちゃんと理解して、ここに巣をつくったのでしょう。


 でも午後には強い日が当たるので、永吉君にありあわせで日よけを作ってもらったのですが……いや、これは、ありあわせすぎません?
 驚きの見苦しさですが、まだ暑いなか作り直す気力はないので、あとで考えます…たぶん。



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 ほんとはこういう巣を作ってやりたいのです。
 これは前にカハマルカで見た、pato criollo(バリケン)用の、ミニチュア差し掛け小屋です。
 日干し煉瓦を積んで、瓦を載せてあるのが、いかにもアンデスらしくてかわいいですよね。
 できることなら、カボチャのつるがのたくってるところまで真似したい。



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 ところでもう一羽のメス、ディーナにも異変が!
 ある日とつぜん、オスのように羽根をふくらませ、もったいぶって歩くようになってしまいました。
 オスのように、というか………これはオスですね、どっからどう見ても!


 サルボとディナ…いえ、ディノと改名しましょう…サルボとディノの二羽だけが、いつもとても大きな声で啼くので、うすうす変だなとは思っていました。
 それに調べてみると、サルボの種類(bronze turkeyが近そう)は、メスももっと黒いはずなんですね。
 ビビとディノのほうは、もっと明るい色の別種、Narragansett turkeyに似ています。



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サルボもびっくり、
七面鳥の性転換



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水色インコはメスだと、
緑インコも信じていたころ…


 でも私は、前にもメスがオスに変わった経験があるので、驚きません。

 リマで初めて飼ったセキセイインコは、お店の人がつがいだと断言した、水色のメスと緑色のオスでした。
 緑インコはメスの水色に夢中で、毎日せっせと身づくろいしてやったり、ブロッコリーをくわえてきて食べさせたり、親切の限りを尽くしていました。
 それがあるとき、水色は実はオスだったことが判明し……


 二羽とも10年以上、元気に長生きしてくれましたが、緑インコはとうとう一生、水色インコを許しませんでしたね!
 水色のほうは、別に気にしていないようでしたが。(もちろん二羽にはそれぞれ、後日ちゃんとしたメスのお嫁さんをお引き合わせしました)


 要するに、リマのお店の人が、テキトーなんですよね。七面鳥屋さん、おまえもか!


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 3月24日現在、ビビはしんぼう強く巣ごもりを続け、残りの二羽は変わらず仲良くしています。
 よほど気が合うのか、いつもこうして、身体をくっつけるようにして歩き回っています。


 こんなに仲がいいなら、性別の追及は、別に急がなくてもいいか…


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夕涼みもいっしょ。


 ところで二羽はいま、(幸いにも軽いタイプの)天然痘に罹っています。
 七面鳥屋さんによると、「七面鳥にはよくあることで、特に成鳥はあまり心配ないので、ベトゥン(靴墨!)を塗っとけば治ります」とのこと。
 靴墨って……つまり何か油でキズを保護せよ、という意味でしょうね…?
 靴墨はあんまりなので、ひまし油とコパイバ油を混ぜて塗ったところ、急速に治ってきました。


 うちは七面鳥は、食べる気も出荷する気もないので、できるだけ自然にまかせて気楽にいこうと思っています。
 でも、今のところ罹患してないビビにもしヒナが生まれたときは、やはり念のため、ワクチンは与えたほうが良さそうです。
 七面鳥の天然痘ワクチンは、目薬式なんだそうです。いろいろ知らないことが多くておもしろいです。



2021年3月吉日
<大統領選へ向け、チャスキ・コチャユーヨ候補、ポスター配布を開始>



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大統領候補

チャスキ・コチャユーヨ

アルパカ・ファースト!

すべてのペルー国民アルパカに、
もっとムラサキウマゴヤシを!



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チャスキに
清き一票を


そしてみなさまの
チャスカ・コイユルを、
次期大統領夫人に!


私たちには、もっと美アルパカな
ファーストレディがふさわしい!




当地ペルーは4月に大統領選挙だそうですが…
ついにチャスキも、出馬を決意!
(出馬??…出…パカ…?)



2021年4月12日(月) 午後4時半の室温25.8℃ 外気温24.6℃ さわやかな晴れ
<チャスキ・コチャユーヨ候補の敗北宣言>


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「いったん普通のアルパカに戻ります」


 ペルー大統領選挙の80%開票速報を受け、報道陣の前で敗北を宣言、深々と頭を下げるチャスキ・コチャユーヨ候補。


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 世界一若く(2歳5か月)、毛深く、美しいファーストレディを目指していた美貌のチャスカ・コイユル夫人も、万感胸に迫るものがあるのでしょう、キャベツハンカチをしっかりと噛みしめています。


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一瞬で立ち直った(寝転んでるけど)
チャスカ・コイユル夫人。



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 GoogleEarthで見ると、一応ありそうだけど……大統領がそこをトイレにしちゃ、やっぱまずいでしょ??


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チャスキ元候補、元気出して!
支持者からの差し入れザクロをどうぞ!



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思わず笑顔になるチャスキ元候補。
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 なお後刻改めて、コチャユーヨ元候補の事務所スポークスマン(写真・左)も、公式声明を発表しました。
 それによりますと、チャスキ元候補は、今後は非公式ながらケイコ候補を応援していく意向を示しているとのことです。かつてケイコ候補の父君が、親戚であるビクーニャ一族の増殖に尽力したことが、その理由だそうです。


 また今回の敗因については、投票所が遠い過疎地に暮らすペルーアルパカ国民の、全般的な投票意欲の低さに主な原因があったと、コチャユーヨ事務所では分析しているそうです。
 とりわけ、支持層をアルパカのみと想定したことが、大きな失策だったと認めています。


 そこで五年後に向け、政党スローガンを「LOS AUQUENIDOS, PRIMERO!(南米ラクダ科動物ファースト!)」に変更し、より広範な支持層確保を目指し、リャマ族、アルパカ族、ビクーニャ族、グアナコ族の全国民に分け隔てなく訴求していくと同時に、トレド元大統領の潜在的支持層の取り込みも実現したい、とのことです。


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「このおいしさ、天上界!」


 すでに、大統領選挙ってなにそれおいしいの状態のチャスカ・コイユル夫人。
 これほどの神経と胃袋と美貌の持ち主こそ、ペルーのファーストレディにはふさわしく、チャスキ・コチャユーヨ元候補の一次選挙敗退が改めて惜しまれます。



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「リンゴよりもイチゴ(のヘタ)よりも
マンゴー(の皮)よりも…
やっぱり取れたてザクロがいちばん!」




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