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アルパカのいる庭

もしくは、
アルパカの殖える庭…


<過去記事はこちら>
(1)アルパカ衝動飼い顛末記(2019年8月)
(2)破壊的草食系との日々(2019年9月〜11月)
(3)初めての毛刈り、初めてのリマの夏(2019年12月〜2020年4月)
(4)ザクロ順応、そして二年目へ(2020年5月〜2020年9月)
(5)食う。ゆえにわれあり。(2020年11月12月)
(6)チャスキとチャスカの大統領選(2021年1月〜4月)
(7)まさかおめでたとは知らなかった日々(2021年5月〜2022年1月)
(8)寝耳に水の仔アルパカ!(2022年2月)
(9)チャスカ様「入院」と、嬉しい嬉しいご退院(2022年3月4月)
(10)夫婦喧嘩をたくましく生きのびるコヤチャ姫(2022年4月〜6月)
(11)生後200日!ますますかわいいコヤチャ姫(2022年6月〜9月)
(12)コヤチャ姫との年末年始、そして一歳の誕生日(22年10月〜23年2月)
(13)月と太陽(23年4月〜23年11月)
(14)インティ王子成長記(23年11月〜24年7月)



2025年4月24日(木) 最低19.5℃ 最高25.5℃ 終日快晴
<ますますチョコレート>



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 もうすぐ二か月半の仔アルパカ君。(名づけのお話はこのあとすぐに!)
 あのアルパカチョレートに、だいぶ近づいてきました。



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 今年の聖週間は「小さな家」の子供たちに、チョコレート卵の代わりにアルパカチョコレートをあげました。
 このアルパカ、おなかの下にアンデス遠景が見えるのは、気がきいてますね。でもアルパカはこんな受け口じゃないですし、目もたれていません。
 発想はいいのに、なぜちゃんと見ないで型を作るのかなあ?ペルーにはいくらでもいる動物なのに。
 でも子供たちには好評で、好評過ぎて三歳のマグノリアちゃんが、「かわいいから食べちゃだめーっ!」と大泣きする一幕もあったとか。なんか…むしろごめんね?



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2月の仔アルパカ。
そして右は…




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約一か月後、4月19日の仔アルパカ。
母チャスカの誇らしげな顔をご覧ください!



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 生まれてすぐは、眠いチワワみたいな顔でしたが、いまやバッチリ囲み目メークの、古代エジプト風ハンサムボーイになりました。それにしてもうまそうな色ですねえ…


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 聖週間の上天気を、砂場で楽しむアルパカたち。


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 …お世話係としましても、そうしたいのは山々ですが、無限に殖やしつづけるわけにもいかなくて。とりあえず今年は、オスとメスを分けて飼う方法を考えます。まあ最初から結果は見えていますけど…
 つまり、寂しがるのはオスたちだけ。メスのほうは、オスがいない平穏な日々を満喫するに違いありません。



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 前々回の毛刈りで前髪を切りすぎ、白リャマ状態だったコヤチャ。やっと顔まわりの毛も伸びて、アルパカに戻りました。
 水まきしない日は、真白で神々しいほど。吉兆としてわが庭に降り立った、神獣のようです。



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 チャスキは仲間の姿が見えないと、ムームー鳴きながら探し回ります。でもチャスキだけがはぐれたときは、だれも探しに行きません。かわいそうなお父さん。


<雨を呼ぶ仔アルパカ>

2月11日
生後3日目


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 いったん2月に戻ります。
 11日は明け方に、夏には珍しい雨が降りました。仔アルパカはナツメヤシの下で、うまく濡れずにやりすごしたようです。



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みんなそれぞれ朝ごはん


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 耳と長い頸が見えないと、仔牛みたいです。


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 ミルクタンクたるお母さんにぴったり寄り添って、庭をひとまわり。


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 トイレ姿も安定してきました。
 おや、かわいそうに、早くも洗礼(トゥッ!)を受けたらしく、顔に緑のものを吹き付けられています、たぶんチャスキの仕業ですね。



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 いちばん暑いはずの二月ですが、この日は曇って涼しく、まだひょろひょろしている仔アルパカも、楽に過ごせたようです。
 でも夜はまた雨。それもリマには珍しい、「音をたてて降るちゃんとした雨」だったので、深夜心配で様子を見に行きました。
 写真の通り、母子ともに元気そうで、ほっとしましたが…



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 そこにはすでに、仔アルパカを監視中のハスミニ猫がいて、私は厳しく尋問されることに。


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 コヤチャとインティも、化け物めいた写真が撮れました。
 スマホってたまに迷作を生みますね。



2月12日
生後4日目


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 今までの赤ちゃんアルパカは、みんなさいしょの5日ほどは、ウトウトとよく眠っていました。
 でもチョコレート君は、そういう姿をめったに見せません。チャスカのおなかの中で、ぎりぎりまで大きく育って生まれたからでしょうか。
 今朝は砂場でごろりと横になっていましたが、私に気づくと、すぐにピリっと座りなおします。



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 前庭は、ナツメヤシがテント状に葉を広げているので、昨夜の雨にもほとんど濡れなかったようです。


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「おはようございまーす!」


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 さて、新着仔アルパカの、兄であると同時に、年上の甥っ子でもあるインティ君。
 一時期はたいへんないたずら小僧で、ほんと先々が危ぶまれました。でも乳離れのあと、憑きものが落ちたかのように、おっとり系に大変身。
 人に向かってトゥッ!なんてすることもなく、初夏の毛刈りも平和裏に終えることができました。



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 昼過ぎから、また雨が降り始めました。
 「音のする雨」が、真夏の昼から降るなんて、リマでは非常にめずらしいことです。



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 都都逸などうなりつつ、ごきげんで雨の庭をゆくチャスキでしたが…


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 作り込みすぎた自分の嘘に、ふと不安がこみあげてきて…


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 だんだんと雨脚が強くなってきました。
 雨が大好きなアルパカたちは、まったく気にせず芝を食んでいます。



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 このままだと仔アルパカの名が、妖怪ハルハーリアになりそうなので、そろそろ考えたほうがよさそうです。
 雨にぬれそぼった仔アルパカを見ているうちに、「Amaru(アマル)」という単語がぽっと浮かびました。



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 アマルは、いわばアンデスの竜神様。あらゆる形態の水をつかさどり、その姿は有翼の大蛇、あるいは竜に似ており、ピューマやリャマの頭部を持ち、うろこのある長い尾は、先が大魚の尾になっており……
 生まれるとすぐ、珍しい夏の雨を呼んだ仔アルパカ君に、なかなかふさわしい名前と思います。単純で呼びやすくて力強い名前、という必須条件にも合っています。



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 手持ち写真がないので(アマルはあまりそのへんでは見かけないので…)、「植民地時代に思い描かれたアマル」を、ChatGPTに描かせてみました。
 たった一度で、思いのほかうまくまとめてきたので、虹だけ追加してもらいました。



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 アマルの名には、ケチュア語ネイティブのベンハー君も、「それは思いつかなかった!この黒い仔パカにぴったりです!」と感心してくれました。
 ベンハー君の故郷では、高地の湖からむくむくと湧き出した真黒な雲が、ときとして大蛇やリャマや雄牛の形をとることがあり、それを畏敬の念を込め「アマル」と呼ぶのだそうです。


 ただベンハー君は、ケチュア語寄りの発音で「アマロ(Amaro)」と言います。
 私には、イタリアの濃い茶色の薬草酒アマロ(つづりは同じAmaro)と聞こえて、それがまた仔パカの色にぴったりなので、二重に気に入っています。


 なおカナ書きは、以下「アマルー」とします。これからはいつも大声で「アマルー!アマルーー!おいでー!」と呼ぶことになりますから。


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とつぜんエンジンがかかったアマルー君!
画面から飛び出し、走り回ります



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でもふと我に返ると、すぐ
おかあさんを探します



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 アルパカの赤ちゃんは、お母さんといっしょで安心なときに、この「眠いチワワの顔」をするようです。


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 「アルパカの囲い」に向かう母子。
 アルパカたちは放っておくと、一晩中芝を食べ続けます。それを避けるために(芝をちょっとでも休ませるために)、しばらく前から夜は囲いに閉じ込めることにしました。当初はみないやがって、集めるのがたいへんでしたけれど。
 でも今では、夜になるとみんな自分から囲いに入ります。そのほうが落ち着くらしいです。



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 この日、昼すぎから降り始めた涼しい雨は、とうとう翌朝までやみませんでした!長年リマにいますけど、こんなことは初めてです。
 さすがアマルー君。夏の沙漠のリマに、これほどの雨雲を呼び寄せるとは!



2月13日
生後5日目


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 私も雨は嬉しいんですけど、アルパカはこうなってしまいます…夏には珍しい、ヒサンな濡れアルパカ…
 でもアマル―君は昨晩も、おかあさんにくっついて、ぬくぬくと過ごしたようです。



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「ガオー!」
あくびですけど、竜神アマルっぽい



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この体勢で、
とつぜん眠気に襲われたアマルー君



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そのまま意識を失い、
コテっと砂の上に倒れましたが…



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数分でキリっと目をさまします。
あーあ、砂だらけ…



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そしてまたお乳をねだるアマルー君


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13日も曇って涼しい一日でした


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 この夏はその後も何度か、2月12日のような「大雨」(沙漠のリマ的には立派な大雨)の日がありました。
 お天気レーダーを見ると、アンデスの雨季の雲が、海岸部まで押し寄せているのがわかります。
 冬にはリマでも、ちょいちょい霧雨が降りますが、あくまで地を這う海霧由来。こんなふうにレーダーにうつることは、決してありません。



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 リマではめったに現れない虹も、夕方にうっすら東の空にかかるのを、何回か見ることができました。


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 アンデスの色鮮やかな虹の写真も載せておきましょう。


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 ずいぶんと前に(フィルム写真時代に!)、雨季まっただなか、2月のアヤクーチョで写した虹です。
 虹を双頭の大蛇とみなし、アマルはそこから生まれた、とする伝説もあるのですよね。



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 アマルー君が生まれた日の晩、宿六は仕事でメキシコへ。
 そこで自分用に買ってきたTシャツが、羽毛の蛇ケツァルコアトル柄で、まさにメキシコ版アマルー!しかもチョコレート色!
 宿六も意外にわかってるね!と感心したのですが、買った本人は何も気づいてませんでした、ただ目についたのを買ったそうで。ハハハ…
 その後、宿六はアマルーシャツと呼んで愛用しています。


 これは洗濯場からアマル―にミルクをやっているところ。
 チャスカのお乳が足りなさそうだったので、生まれて数日後から哺乳瓶を使い始め、アマルー君もちろんすぐに味をしめました〜
 ワンオペ育児だったコヤチャ姫のときとは違い、今回は宿六も仔パカ育てに熱心なので、助かっています。同じ巳年生まれで(宿六は今年が還暦)、気が合うようです。私も辰だし、みなアマル系。



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 今は毎日約2リットルを、七回に分けて飲ませています。山羊ミルクと牛ミルク、岩塩少々です。
 哺乳瓶の魔力のおかげで、私たちが庭に出ると、間髪入れずチョコレート色の塊がすっとんできて、ムームー鳴きながら体当たり!(ちょっと痛い!でも嬉しい!)
 その瞬間、あらゆる疲れが吹き飛びます。ほんとのチョコレートを食べるより即効性があります。




2025年3月7日(金) 最低22.9℃ 最高28.3℃ 晴れのち曇り(朝夕に吹く風がひんやりしてきました)
<チョコレートアルパカ君の人生二日目>



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2025年3月3日
(生後23日目)


2月9日、思いがけないチョコレート色に生まれて、驚かせてくれた仔パカ君。
あっというまに日々が過ぎて、性格もはっきりしてきました。
人なつっこくて、同時にけっこう強気です。
気にくわないことがあると、すぐにトゥッ!トゥッ!と、つばを吐くまねをします。
まだ空気しか出ないので、小さなこどもの空いばり、という感じでかわいいです。


今日は生まれてすぐの、二日目の様子をお目にかけます。

2025年2月10日
生後2日目


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 群れが倍以上…になって、たいへん満足そうな長老チャスキ君。
 でも、アルパカの多頭飼育崩壊なんて、およそ笑えませんから、今年はいろいろ手を打つ予定です。たぶん。
 裏方(飼い主)は3月現在、とりあえず前庭のこのはげた部分に、急いで芝を植え直しております。



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 おはよう、新入り君!
 初めて外界で過ごした晩は、お母さんのふかふか毛皮に顔をうずめ、安心して眠ったようです。



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 アルパカのお乳はとても小さいので、はじめは仔アルパカにも見つけにくそう。



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 でも夜のあいだに、お乳の位置をきちんと把握したらしく、今朝は上手に飲んでいます。


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 トイレポーズも、早くも堂に入ったものです。
 今までの三匹の仔アルパカは、みんな三日目、四日目にやっと、出すべきものを出せるようになりました。でもこの子は、生まれた日の晩にはもう、ちゃんとかわいいフンをしていました。かなりの大物なのかも。



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 オキシトシン効果で、一時的に「庭の最恐アルパカ」タイトルを返上、おっとりした別アルパカになっているチャスカ様。
 この機会に、私たちもできるだけチャスカ様を撫でるようにしています。ふだんは、ちょっと触るだけで叱られるので。



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 アルパカがおなかを気にし始めたら、すぐ見てやらないとなりません。
 このときも、お乳に小さな傷が見つかったので、すぐニームオイルやサングレ・デ・グラド(アマゾン産の樹液)で治療開始。
 早期発見のおかげで、仔アルパカとは引き離さずに済みました。良かった。コヤチャ姫のときはたいへんでしたので。



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 おとなアルパカたちはすぐ、仔アルパカの存在に慣れましたが、いつまでもビクついているのがインティ君。
 インティ君にとっては、生まれて初めての、じぶん以外の仔アルパカ。それも目立つチョコレート色ですから、警戒するのもしかたないですね。



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 アヤクーチョの民芸品、「双頭のリャマ(またはアルパカ)」すなわちハルハーリア。
 これはかわいく出来ていますが、ほんもののハルハーリアは、人里離れた山道などで遭遇すると、たいへん恐ろしいのです。



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(*)これはチャスキの作り話です。
ハルハーリアは、機会さえあれば、
人間でもなんでも食います。



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 チャスキのほら話はさておき。
 新着君のみごとなチョコレート色が、いったいだれのどの部分に由来しているのか、とても気になっています。
 黒い耳と黒っぽい顔は、明らかにチャスキ譲りですけれど。



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 ある意味、ハルハーリアなどより、はるかに危険な新着アルパカ君。
 関係者全員、特にゼラニウムちゃんと私は、この子に会うたびに、チョコレートが猛烈に食べたくなって困っております。
 それも時間帯によって、食べたい品目が変わります。朝昼には、より茶がかって見えるので、ふわふわのチョコレートスポンジケーキがほしくなります。



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 そして夕刻からは、深い紫色を帯びて、カカオ含有率が一気に上がります。
 カカオ80%は超えてますね。まあそれだと、食べても罪悪感がなくていいんですけど…



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 両親の毛皮をよく点検してみると、チャスキの前脚のショートソックスが、ほぼ同じ色でした。そうか、新着君はこんなとこから出て来たのですね!
 そういえば姉のコヤチャ姫は、ショートソックスの上の、白タイツから出てきたんですよね。



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 またチャスキの頭の上には、赤みの強い毛束が、ひとふさだけあります。これも新着君にやや近い色調ですが、少し明るすぎるかな?
 もし全身この色の、プーカ・アルパカ(赤アルパカ)が生まれたら、さぞ鮮やかでしょうね。
 …などとうっかり、チャスカ様の前で言いでもしたら、えらいことになりそう。くわばらくわばら。



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大きなお父さんと睨み合って、
一歩も引かない、生後二日目の仔パカ君。
お父さんのほうがびびって、
耳をうしろに倒してます…


 次回は新着君の、名づけのお話です。ハルハーリア君でもチョコラテ君でもない、短くて呼びやすい名前にしました。



2025年2月14日(金) 最低23.5℃ 最高27.8℃ 晴れ
<バレンタインのアルパカ特大チョコレート…?>



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 さいきんスーパーでよく見かける、アルパカ型のチョコレート。
 このメーカーのは残念、おいしくありません(ペルーの人は、カカオがほとんど入っていない、甘いだけのチョコレートがお好きなので、しかたないのですが…)
 だから、「ちょっとかわいくて欲しいけど、これは買えないね」などと言っていたのが、いけなかったのでしょうか……



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 またここ1年ほど、どういうわけか、毎日のようにゾロ目の時刻を見てしまいます。
 これはもしかして、なにかいいことがある前兆かも、などと思ったのが、いけなかったのでしょうか……




アルパカチョコレートが買えなくてお困りのようですね?
それなら代わりに私チャスカが、さいきん運の良いあなたのために、
チョコレートアルパカを出してあげましょう!」


じゃーん!


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と、いうことになってしまったのです……


(チャスカ様は前にも、私が「仔山羊がほしい」と騒いでいるのを聞いて、
コヤギは無理ですが、かわりにコヤチャを出しましょう!」と、
とつぜんコヤチャを生んでくれたという前科…いえ過去があります。


このアルパカの前では、うっかりしたことはもうぜったいに言えません。
最恐アルパカのほんとの最恐の意味は、こっちのほうだったのですね…)



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 2月9日、朝9時半。
 例によって何の前触れもなく、とつぜん始まった出産シーンを、呆然と眺める外野のみなさん。
 チャスカ様も、3回目のお産で余裕たっぷりなのか、直前までえさをバクバク食べてましたので、なおのこと予測不可能でした。



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 今回はベンハー君だけでなく、ゼラニウムちゃんにも手助けしてもらい、出産はあっというまに無事終了。
 ふだんは、誰彼かまわずトゥッ!とやるチャスカ様ですが、こういうときは人の手を借りて平然としています。やはり深ーいところでは、人間を信用しているのでしょう。そういうところに、家畜ならではのかわいさを感じます。



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 新着の仔アルパカは、ぱっと見は真黒なオスの仔です。ああオスでよかった、少なくともオスは出産しませんから。
 チャスカ様は、じぶんはブチアルパカなのに、仔アルパカは必ず一色のを生む、というこだわりがある?ようですね。



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 みなわらわらと、仔アルパカを見に集まってきました。
 今日はベンハー君は、百合子ちゃんの学校の掃除に駆り出されていましたが(ペルーの学校もけっこう親使いが荒い)、チャスカの様子がおかしくなるとすぐ、急いでうちに戻ってもらいました。助かりました。
 あとで学校に払う罰金50ソル、必ずうちでもたなくちゃ…



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 前回のインティ君のときと同じに、このオスの仔も、おなかの中でしっかり育ってから生まれたようです。地肌が透けて見えるような、痛々しさは皆無です。
 毛色は黒く見えますが、これは乾くと茶色に変わりそうですね。あら、目のまわりには、明るい茶色のハイライトが入っていますね。




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 早くもお乳ほしさに、ピンクの舌をちょろちょろ見せています。
 でも自分で立ち上がらない限り、おかあさんのお乳は飲めませんから、まずは歩く練習が先です。



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 しばらく日かげで、母子揃って休んでいましたが…


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 小一時間ほど過ぎたころ、とつぜんすっくと立ち上がりました。
 チャスカ様は、前の2頭のときは、少しでも早く仔アルパカを歩かせようとがんばっていましたが、今回は余裕たっぷりでくつろいでいます。



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 まだ足元が定まらず、ふらふらしている仔アルパカに、優しくぴたっと寄り添うチャスカ様。


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 お乳のありかを探す仔アルパカは、近くにいる人みんなに(結果的に)チューをしてくれます。かわいいったらありません。


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 この庭で生まれたインティ君にとって、初めての赤ちゃんアルパカとの出会いです。


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 コヤチャがひさしぶりに、「チッチッチッチ…」と軽く舌打ちするような音をたてて、優しく仔アルパカに呼びかけています。
 インティ君が育ったあとは、まったくやらなくなっていましたが、生まれたての仔を見て、急に思いだしたようです。



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 とつぜん降って湧いた仔アルパカに、人間もアルパカも全員夢中になっています。


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 歩行練習中の仔アルパカは、2回ほどパタッ!と倒れ込みましたが、すぐに細い脚をふんばって立ち上がります。


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 生まれてすぐは、少し白っぽく濁ってみえた瞳も、いつのまにかきれいに澄んできました。


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 インティ君は、ひたすら好奇心からつきまとっていますが、コヤチャは一時的に母性本能発動中!


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 まあ数日でもとに戻るはずですが(インティ君が生まれたときのチャスカ様もそうでした)、でも今は、仔アルパカがかわいくてならないようです。
 まだしっとりぬれている顔を、ていねいに舐めてやったりしています。実母チャスカよりよく気がついて、愛情深いくらいです。



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 暑いはずの2月にしては、陽射しのやわらかな涼しい日ですが、昼すぎには、仔アルパカの毛皮もだいぶ乾いてきました。


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 それにしても、なぜこのブチだらけ夫妻から、ブチなし単色のこどもたちが生まれるのでしょう?
 ほんとうに不思議です。飼い主としては、毎回思いがけないことになるのが楽しくて、文句などまったくありませんが。



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 チャスキもいつになく優しい目つきになっていて、何度も仔アルパカの様子を見に来ます。
 まあこれも、さいしょの1、2日だけのことと思いますが…インティ君のときもそうだったものね…



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 足取りがしっかりしてきた仔アルパカは、さっそくお乳探しを始めます。
 あちこち見当ちがいなところを探すので、見ていてちょっとヤキモキします。
 しかし思えば私も、これで4回目の立ち合いです。あまり心配しすぎないで、明日まで様子をみます。



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 午後には、もっと乾いてふわふわになりました!
 先住アルパカたちの茶色よりもずっと濃い、きれいなチョコレート色ですが、こうして日が射していると、エンゼルパイのクッキー色に見えます。
 ひざから下が黒くなったところは、茶色い仔羊そっくりです。



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 どうやらお乳、少しは飲めたようです。とりあえず満足したらしく、長い頸をグラグラさせて居眠りしています。
 性格はとても人懐こくて、つかまえやすいので、夜には念のため、少しだけ山羊ミルクも飲ませておきました。



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 この仔の茶色は、光のかげんでずいぶんと違って見えます。夕方には、紫色を帯びた、おいしそうなチョコレートケーキの色になりました。
 黒いダークチョコレートのコーティングつきで、ザッハートルテそのものですよね、おいしそうだなあ。ぜったい洋酒もジャムも入ってますね、これは!
 (ペルーでどこか、ザッハートルテを作ってるか輸入しているお店、ないかなあ?ないだろうなあ…)



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現在出張中の宿六は、きょうがバレンタイン・デイだということを、
気づきもしなかったようですが、そんなの一向にかまいません。
特大のアルパカチョコレート…いえ、チョコレートアルパカが、うちにはいるんですから!


こんなにアルパカ殖えちゃって、これからどうするの?という心配も、もちろんあるわけですが…
でもまあなんとかなるでしょう!ペルーですから。ここは。
今はよけいな心配なしで、ザッハートルテ・アルパカの猛烈なかわいさ甘さを、毎日味わいます。


それにしてもやっぱり不思議です。
どうしてこんな凝った色のアルパカが、うちで生まれてくれたのでしょう。
チャスカ様はこわいだけじゃなくて、たいへんな芸術家ですね。



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