アルパカのいる庭
(9)チャスカ様「入院」と、嬉しい嬉しいご退院(2022年3月4月)
アルパカのいる庭 |
「こんにちは!せっかくハンサム期なのに、 出番の少ないチャスキです!」 |
コヤチャの誕生後、二週目と三週目は、ちょっと心配ごとがつづきました。 まずコヤチャの片目が腫れて、瞳もうっすら白っぽくなり、少なからず慌てましたが、夏によくあるただの結膜炎でした。あーびっくりした! 次いでチャスカが、お乳の近くにケガをしてしまいました。原因はわかりません。 さいしょはコヤチャのお乳を優先し、強い薬は避けて、ニームオイルや海塩などで治療を試みましたが、はかばかしくありません。 そこでコヤチャをいったん引き離し、薬を使うことにしました。幼いコヤチャが強い薬をなめるといけないので、やむをえません。 |
3月6日。後ろに写っているように、チャスカを駐車場に隔離しました。 これからチャスカのケガが治るまで、コヤチャには人の手でミルクを飲ませないとなりません。 |
哺乳瓶は、結局ベンハー君のをもらいました。(三ヵ月になる末っ子、マグノリアちゃん用に買ったものの、「お母さんから直接じゃないといや!」と断固拒否されたそうで…) ここでは写真を撮るため宿六が飲ませていますが、主に担当しているのは私です。 こういった農場経験?は皆無の私たちですが、なぜか手がコツを知って?いて、すぐうまくできるようになりました。 |
ほかほかあったかいコヤチャを引き寄せ、哺乳瓶をくわえさせると、長いのどをミルクが通っていくのが手に伝わって、これぞ命!という感じです。こちらまで、ものすごく生きてる実感がこみあげてきます。 まだ生後17日目、自分では水も飲まず草も食べないコヤチャですから、二時間ごとに欲しがるだけ与えていますが、たくさん飲めば純粋に嬉しく、ちょっとでも少ないと心配になる、という繰り返し。 つねに時計をチラチラ見ながら、アルパカと哺乳瓶のことで頭がいっぱいで、早くも軽い育アルパカ・ノイローゼ気味…かもしれません。 今生では、哺乳瓶のしたくだけはしないつもりだったのですがー、もうねんがらねんじゅう準備しています。いやーまさかこんなことになるとは。 |
娘の百合子ちゃんに 飲ませ方を教えるベンハー君 基本、楽しくてならないミルクタイムですが、炎天下ではちょっと辛いです。なので昼の数回くらいは、動物好きの百合子ちゃんに分担してもらおう、と期待していました。 でも、気の小さな百合子ちゃん、どうにも腰が引けてしまってうまくいきません。動物ってこちらがこわがっていると、すぐ気づいてしまうので。 しかたない、私がやるしかないようです。 (当地の愚かしいワクチンパスポートのために、ほんとならもう三回目を打たないとならないのですが、チャスカ様を代行中の私が、今もし熱でも出したら、コヤチャが困ってしまいます。なのでワクチンのほうを先延ばしにしています。そうしてる間にパスポート廃止にならんかな〜?まだちょっと無理かなー?) |
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殺菌はすべきか否か、ちょっと迷いましたが… 牛さんの健康状態までは見ていませんから、やはり65℃で30分、殺菌することにしました。昨年使い始めた低温調理ナベが、意外なところで大活躍! この方法だと味が変わらずおいしいのでしょう、コヤチャも毎回一気飲みしてくれて、日々目にみえる早さで育っていきます。 今のところ、三、四日ごとに6リットルも買っています。ものすごく牧場気分の毎日です。 |
3月7日。チャスカ様「入院」の翌朝。 お母さんに近づけないコヤチャが、さぞおなかを空かせているはず…と、6時に飛び起きてさいしょの哺乳瓶を持っていきます。 昨晩はコヤチャもチャスキも、ここでチャスカのほうを見守りながら過ごしたようです。 こうして親子を引き離すのは辛いですが、少なくとも互いに姿を見たり、ムームーと話をしたり、ちょっとにおいを嗅ぎあったりできるのは、この病室の良いところです。そのおかげか、チャスカもまったく食欲は衰えず、コヤチャもこの日はなんと、計1リットル半も!牛乳を飲みました。 |
翌日3月8日は、この冷夏には珍しく29℃まで気温があがりました。湿気の少ない爽やかな暑さです。天国みたいです。 |
朝のうち、チャスカの「病室」前で寂しそうに座っていたコヤチャも、上天気につられて、ひとり運動会を始めます! ほとんど見えなくなるほどの超高速で、前庭をすみからすみまで駆け回ります。 それをチャスキが、黒い耳を立てて、じーっと目で追っているので、いやな予感がしましたが… |
そーっと先回りしたチャスキ、ローズマリーの藪からコヤチャに奇襲攻撃をしかけます。 きっとなにかやるだろうと思ったよ… |
あわてふためいて方向転換するコヤチャ。 チャスキもなにも、そんな鬼の形相で、幼いコヤチャを脅かさんでも… |
コヤチャはまっすぐお母さんのところへ逃げ帰ります。 チャスカのほうも、「病室」からいつもこうやって、コヤチャの姿を目で追っています。 |
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激怒したチャスカが、チャスキをぐいっと睨みつけると、思わずその場に凍り付くチャスキ… |
そしてすごすごと立ち去るチャスキを、呆れ顔で見送る母子なのでありました。 |
今日はきれいな快晴のまま、日が暮れそうです。リマではこういう日は、真夏にしかありません。 少し涼しくなると、またコヤチャの運動会が始まりました。 |
ほとんど常時、お母さんの姿が見える前庭にいたコヤチャですが、急に決心がついたのか、とつぜん裏庭へ走っていきます。 「庭にベイビーアルパカがいる」だけでも、完全に絵本の中のアンデスなのに、夕暮れ時にこんな姿を見ると、ますます妖精が出てくるおとぎ話めいています。 |
チャスキ 「ずいぶんとうまそうな尻尾だな!」 すると…いかん…またあのバカルパカが、本気出してきた… |
それまで楽しそうに、ピョーン、ピョーン…と高さのあるジャンプをしていたコヤチャが、直ちに全力疾走モードに入ります…かわいそうに… |
コヤチャがしっぽをピンと挙げているのは、「参りました!反撃しないから何もしないで!」のサインなのに、そのしっぽを噛もうとするチャスキ……ひどい! 限度というものを知らないチャスキが、しつこすぎるので、ここで人間が介入して引き離しました。 しかし生後わずか19日で、親が追いつけないほど速く走るコヤチャ、大したものです。さすがビクーニャの末裔です。 |
超特急で走ったため、向かい風でオールバックになったチャスキ。笑っちゃうから、そんなシリアス顔でこっち見ないで! うちに来た頃は、おまえもかわいかったのにねええ。 |
チャスキに追い回されたあと、コヤチャはムームー鳴きながら私にすりよってきたので、しっかり抱っこして落ち着かせました。しばらくは鼻をひくひくさせて、全身がぶるぶる震えて、とてもかわいそうでした。 でも5分もすぎると、あっけらかんと何事もなかったかのように、チャスキと並んで「草を食べる練習」を始めます。もしかするとさっきのも、怖いというより、息切れしてただけなのかな…? どちらにしても動物は切り替えが早くて、ちゃんと100%、その瞬間瞬間に「生きて」いるので、よけいな感情移入はしないほうがいいですね… |
チャスキが草を食べながら遠ざかると、また元気いっぱい飛び跳ねはじめたコヤチャ。四つ脚が宙に浮いています。 人間を追っかけるのも好きな遊びで、ぽーん!ぽーん!と跳ねながら、どこまでもついていきます。なんてかわいいんでしょう。 宿六も、「これでもう、犬は飼わなくていいかも!」と嬉しそうです。 |
これまでは怖がって登らなかった「チャスキの国見の丘」も、私が上から呼んでみると、ヒョイヒョイヒョイっと軽やかに登ってきました。 風が通って眺めがいいので、たいへん気に入ったらしく、丘の上で、もうくるったみたいに跳ねまわります。その瞬間はなかなかうまく写せませんが、小さな舞台の上のかわいいバレリーナみたいです。 コヤチャがひとまわり太って、しっかり筋肉がついてきたのも、おわかりいただけると思います! |
「いったいコヤチャはどこなの?! チャスキもちゃんと、5分おきくらいに報告に来てよ!!」 コヤチャが裏庭で遊んでいるあいだ、チャスカは大きな瞳を見張って、ずっとコヤチャの白い姿を探していました。 車庫からは裏庭が見えませんから、とても心配だったようです。ごめんねチャスカ。 肝心のケガのほうは、幸い「入院」させたらすぐ、一晩で良くなり始めました。 コヤチャがキズの近くをなめないのも、だいぶ助けになっているようなので、かわいそうですがもうしばらく、母子には我慢してもらわないとなりません。 チャスカ本人は、キズを気にするそぶりもなく、いつもと変わらず食欲旺盛ですから、さほど心配の必要はなさそうです。(…と言いつつたいへん心配しておりましたが、最終的には一週間でめでたく「退院」となりました) |
客室担当アルパカ・コヤチャ 「ただいまご朝食を お持ちしますので!」 (前回は30日目のコヤチャをお目にかけましたが、またちょっとさかのぼりまして) 今日は3月9日、チャスカ様入院4日目。 チャスカはそれなりに入院生活を楽しんでいるらしく、少しだけある芝の上で日向ぼっこしたり、日陰できげんよく寝転がったり。 前に閉じ込めたチャスキとは違って、いらいらした様子はまったく見せません。娘のコヤチャを気にかける以外は、ゆったり過ごしているのでほっとします。 |
でも自由に芝をはめないのはかわいそうです。 なので当座の主食、ムラサキウマゴヤシのほかに、剪定バラやミニパピルス、ブッドレアなどを、数時間おきに差し入れしています(要は私が暑い中、せっせと刈ってはお持ちしています) キズも治りかけて気分が良いらしく、チャスカは差し入れを見ると、嬉しそうにぽーん!とジャンプします。早く外に出してやりたいですねえ… |
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そろそろザクロも熟し始め、差し入れに重宝しています。チャスカの大好物なので。 (海辺では珍しい仔アルパカが、うちで生まれた理由のひとつは、チャスカとチャスキがザクロ食べ放題で育ったから、かもしれませんね。ザクロは子孫繁栄の象徴ですが、じっさいに動物実験レベルでは、オスメス両方への効果が見つかっているらしいですし) |
チャスキ 「この丘の芝は、父さんと母さんで丹精したんだ。 一度も草刈り機をかけたこと、ないんだよ。 そしてコヤチャ、おまえもきっといつの日か、 この丘を愛するようになるだろう」 (映画「風と共に去りぬ」の「タラのテーマ」を 脳内再生しながらごらんください) この日さいしょの哺乳瓶を、勢いよく飲み干したコヤチャは、すぐ裏庭へ。 きのう初めて制覇した「丘」に、おどるような足取りで登ってみます。 |
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そして丘の上から、七面鳥が騒々しく通っていくのを、上から目線で観察したり… |
急に丘を駆け下りて、通りすがりの人間を追いかけたり… 元気な子犬みたいなコヤチャに、朝っぱらからおつきあいするのは、ちょっとばかしたいへんです。 でも早朝の庭は、ジャスミンやスイカズラやイモーテルが放つ香りのつぶつぶでみちていて、それを深呼吸するだけでも早起きの甲斐があります。 コヤチャが育って早朝ミルクがいらなくなっても、できたら続けたいです。 |
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「代母さーーん、ミルクもってきたー?!」
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アルパカ一家は、昨晩もやはりこうして、「病室」まわりで過ごしたようです。 コヤチャがお母さんのそばにいるのは、まあ当然としても、チャスキまでがやけに義理堅いのには、ちょっと感心しています。 逆パターンでチャスキが閉じ込められたときには、チャスカはいたって冷淡なのですがねえ。 |
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すごい顔してるね、チャスキ… まあたぶんチャスキは、「病室」に別のオスでも現れるといけないので、念のためずっとチャスカを見張っているのでしょうけど… |
朝食後、モーニング・ルーティンにとりかかる父娘 |
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コヤチャは今朝も、まずは大好きな丘に登ります。 |
そして勢いをつけて駆け下りると、人間とかけっこを始めます。…いやー、人間(50代後半)、この若さとおつきあいするのは、なかなかたいへんっす。 なお冷夏のため早朝はかなり寒くて、この人間は今はダウンを着ておりますが… |
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…日が昇ると、今度はカーッと照りつけて暑くなります。この気温差もくたびれますね。 とはいえもう3月もなかば、花々や蝶の色あいに、どこかしら秋の気配を感じるようになりました。 |
かけっこのあとは、チャスカのところまでコヤチャを送り届け、いったん私たちは家に引き上げます。 駐車場の柵の下にいろいろ置いてあるのは、コヤチャの侵入防止用です。もしコヤチャが中に入って、チャスカのお乳近くに塗った薬をなめたりしたら、たいへんですから。 でもコヤチャは、まだそこまでの悪?知恵は働かないようで、なにごともなくて助かりました。 |
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きょうもきれいな青空。だいぶ暑くなってきました。 |
良い機会なので、ベンハー君に頼んで、コヤチャの顔を洗ってもらいました。この陽射しならすぐ乾くでしょうから。 (でもベンハー君は、これ以来コヤチャに少し嫌われてしまったようです…) |
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午後はもっと暑くなりました。 でもコヤチャは、お母さんの近くにいたい一心で、じっと日向でがんばっています。 ときどき日陰に連れていっても、ムっと口をつぐんで反抗し、すぐ日向に戻ってしまいます。そういうところは、やはりとってもラクダです。 |
それもこんなに豪華な、アストラカンめいた毛皮を着込んでいるのですから、コヤチャが熱中症になりはしないかと、とても心配です。 |
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私にできるのは、脱水しないように、こまめにミルクを飲ませることだけです。 |
3月10日の記録
チャスカとの隔離期間中、コヤチャがいちばんたくさんミルクを飲んだのが、この3月10日でした。 早朝から深夜まで、ほぼ二時間おきに計10回! そのあいまには、チャスカ様のおやつの準備も7、8回ほどしましたから、ほぼアルパカアルパカで明け暮れました。 加えて猫と七面鳥と人間のエサ作りもあったので、なんかもう一日中、食べ物のことしか考えられなかったような?? おかげでコヤチャもチャスカも、脱水もせず、おなかいっぱい元気に過ごせて良かったです。 でも私はバテたです… |
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夕方はまた、コヤチャの探検につきあいます。 ここ数日、飲み放題にしている牛&山羊ミルクの効果でしょうか、全体にふっくら太ったようです。 お母さんのチャスカそっくりに、おしりも丸々としてきて、ますますかわいいです。 |
嬉しく駆けまわるコヤチャ。 毎日決まって夕方5時に、 テンションマックスになりますね。 |
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「代母さん、もう行っちゃうの……?」 でも、ひとしきり遊んだあと、私が家に入ろうとすると、コヤチャがトコトコあとをついてきて、じーっと私の顔を見るのです… そしてさみしそうな小さな声で、ムー……と鳴きます。…うわああああ、これは哀しすぎて困る!私はどうしたらいいの?! まさかうちの中に、連れて入るわけにもいきませんし…(家に入れたい気持ちは大ありですが、アルパカトイレに困りますから…) |
「むこうでチャスカ母さんが心配してるから、帰りなさいね!」と言いきかせると、コヤチャはトボトボ引きかえしていきます… その後ろ姿がまた、哀しすぎます… 私になついてくれたのは、本当に嬉しいです。たぶん哺乳瓶を持つ私が、代母としてコヤチャに刷り込まれたのでしょう。 でも青白い薄暮の中で、こうして追いすがってこられると、ちょっとたまりません…(それで夜間もあと三回、ようすを見に行きました…) チャスカ、頼むから早く全快して、早く退院して、コヤチャの面倒をみてやって!代母のほうの体力は、そろそろ限界だから! |
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3月11日。 コヤチャは生後22日目。母チャスカは「入院」6日目。 脂肪たっぷりの牛乳を飲んで、口のまわりを白くしたかわいいコヤチャ。ここ数日で、今度は急に瞳が大きくなってきました〜 |
お父さんとセルフィー。 チャスキ「この深ーいまなざしは、 まぎれもない僕からの遺伝だな!」 |
生まれてすぐは、赤ちゃんらしくピンク色で、ぷっくりとしていたコヤチャの口元。 それが次第に、頑固そうにキッ!とむすんだ、ラクダっぽい口元に変わりつつあります。そこがまたかわいいんですけど。 |
コヤチャ 「みなさまにご挨拶を! 生まれてからずっと 見守ってくださってありがとう!」 |
夕方になると、きょうも嬉しく運動会! |
コヤチャ号の三段跳び その1 |
コヤチャ号の三段跳び その2 |
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ドドドドドドドドドドド……… あー…またあのバカルパカが、コヤチャにつられて、いらん本気を出してきましたね… |
拡大図。 二頭の迫力に、鳩もびっくり 家から眺めていると、池のむこうの「アルパカの小道」を、同じアルパカが二頭、なんどもなんども走り抜けていきます… |
チャスキを何とか振り切ろうと、途中で急転回して戻ってきたコヤチャ。 まだ軽くて足音がしませんから、まるで庭に棲む白いドゥエンデ(妖精のいたずらっ子)のようです。 その走りたるやあまりにも高速で、スポーツ連写モードで撮ってもほとんど写りません。ますますもって妖精のよう。これは辛うじて写っていた一枚です。 |
ドドドドドドドドドドド……… じきにチャスキが追いついて、二頭はそのあとも何回も、この小道を追いつ追われつ走り抜けていきました。 それを呆然と眺める私たち……自宅の庭でアルパカ大暴走…これはある意味、夢の暮らし?です?…かな?? ここパチャカマックに多い庭つきの家では、ふつう庭のぐるりの外壁にくっつけて住まいを建てます。住まいの壁の費用が、少し節約できるからです。 うちを建てたときも、そうするように強く勧められましたが、私は思うところあって、庭のまんまんなかに建てました。四方の騒々しいご近所から、できる限りうちを遠ざけたかったからです… 結果的にはその程度の工夫では、ご近所の騒音から逃げるのは不可能!でしたが、でもおかげで回遊式の庭ができました。 アルパカたちにしてみれば、囲われた狭い世界とはいえ、少なくともぐるぐる永遠に歩き続けられますから、それが多少ともストレス軽減につながっているといいな…と思います。 |
今日もさいごは、すばしっこいコヤチャが逃げ切りました。 チャスキはさいきん、ちょっと太りすぎですもんね、途中で疲れたのか、追跡を放棄しました。 でもコヤチャはまだまだ走り込みが足りないらしく、そのあとも裏庭を飛び回っていました。本当に、夕暮れどきに現れるドゥエンデそのものです。 |
母チャスカのほうは、おかげさまでケガもほぼ全快、今日(3月11日)はもう薬は塗らずにすみました。 明朝、残った薬をよく洗い流し、陽射しが弱まる夕方になったら庭に放してみよう、ということになりました。 あす(3月12日)のアルパカ一家再会場面が、とても楽しみです! |
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また遡りまして3月12日。 コヤチャは生後23日目。母チャスカは入院(車庫に隔離)の7日目。 この日は朝と午後にチャスカのおなかをよく洗い、薬をできるだけおとしてから、いよいよご退院です! |
「お母さん退院おめでとう!」 午後4時すぎ。 秋の透明な光の中、車庫から静かに歩み出たチャスカ様は、夫たるチャスキには一瞥もくれず(笑)… コヤチャにだけそっと顔を近づけ、挨拶します。 |
そして二頭で、なにごともなかったように、すーーっと歩いていきます。 ベンハー君は、 「チャスキおまえ、気がきかないなあ! 花束すらもってこないから、チャスカが気を悪くしたんじゃないか?」 と笑います。 |
まずは何はともあれ、久しぶりの爽快芝生トイレ。 お母さんから離れたくないコヤチャは、トイレ中もぴたっと、チャスカに文字通り貼りついています。 (車庫にいたあいだ、チャスカは自分でトイレの場所を一か所に決めて、そこだけ使って身ぎれいにしていました。チャスカの環境順応力には、つくづく感心!) |
それからチャスカはコヤチャを連れて、庭の見回りに出かけます。 |
途中あちこちで、いろんな草花をちょっとずつ食べます。一週間ずっと、これがしたかったのでしょうね。 チャスカとチャスキの働きで、庭の芝はいつも、短かすぎるくらいに刈り込まれています。 でもこの一週間で、あちこちにちょっと伸びたところができました。チャスカがふだんどれだけ食べているか、ですね。 |
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チャスカとコヤチャは、いっしょにいるのが嬉しくてならない様子です。 でもチャスキのことは、明らかに避けていますね… |
チャスカは何度も、コヤチャのしっぽのあたりをかいで、自分の仔アルパカであることを確認しているようです。 |
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一休みしてから、また見回り再開。 コヤチャは歩きながら、お母さんに軽く体当たりして、もう全身で喜びをあらわしています。かわいいねえ。 |
コヤチャ 「お母さん! わたしもう、こんなに速く走れるよ!」 |
コヤチャは、チャスカ入院中に覚えた遊びのいろいろを、ぜんぶお母さんに見せたいようです。 |
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そしてまた、互いに仲良くにおいをかぎあって、嬉しい身元確認です。 |
…という感じに、際限なしにべたべた仲良くしていて、見ているこちらもニコニコしてしまいます。 本当に良かったね、またいっしょになれて! |
…とそこに、例の邪魔者が追いつきます。 コヤチャやチャスカをしつこくつつくので、たちまちチャスカ様のお怒りを買ってしまいます。 ついでながら、アルパカがこういう顔で長い頸をもたげたときは、次の瞬間、トゥッ!とつばを吐かれる確率が高いので、すみやかな退避をお勧めします。 アルパカの瞳は魚眼レンズ仕様で(たぶん)、視野が広いため、ここでは後ろのチャスキを見て怒っています。でも不幸にも口はこちらを向いているので、ぼんやり近くにいると誤爆される危険大です。 |
生まれつきうざいお父さんは、辛いねえ… チャスキがないがしろにされる、期待通り?のこの展開に、人間たちは大笑いです。 |
と、突如、ターボエンジンがかかったチャスカ! チャスキもびっくり!の、華麗な連続ジャンプを披露しはじめました。 本気で逃げるときの走りとは違って、ピョーン!…ピョーン!…ピョーン!…と高さのある楽しげなジャンプです。 上下になめらかに動く、メリーゴーラウンドの動物たちを思わせる、どこか優雅な姿です。 |
コヤチャも大喜びでついていきます。 コヤチャがチャスカといっしょに走るのは、これが初めてです。 そういえばこの一年ほど、チャスカが走るところを全く見ませんでしたが、あれは妊娠していたからだったのですね。 |
ピョンピョン跳びに、さらに上機嫌のときだけ見せる、身体をぐいっとひねるジャンプも組み合わせ、庭を縦横に走ります。 狭い車庫を出て、本当に嬉しいんでしょうね、ここまで大ハッスルのチャスカ、私たちも初めて見ます。 |
勝手知ったる小さな丘も、置かれた石をじょうずによけて、軽々と走り抜けます。 |
この嬉しそうな顔を見てください! ルン!ルン!ルン!…と、チャスカの鼻歌が聞こえてきそうです。 |
そしてしばらくは母娘の二頭で、楽しく仲良く、ピョーンピョーンと跳びまわっていましたが… ああやはり来てしまったか… あの限度を知らないバカルパカ、チャスキが踊りの輪に乱入します。 そして自分だけ場にそぐわない本気を出して、猛スピードで母娘を追い回すので、さいごはいつものようにチャスカとチャスキ、つばを吐きあっての大喧嘩。 これにて退院祝賀ダンスパーティ、強制終了となりました。 |
母娘は、チャスキから少し離れたところに避難して、一休み。 チャスキは本当にしつこい困った奴ですが、やはりそこは草食動物。 アルパカは走り込むと、じきに息が切れて座り込んでしまうので、互いに命の別状があるほどの騒ぎにはならないのは、まあなんというか安心です。 |
もうすぐ日が沈みます。コヤチャは、最近気に入っている白ランタナを枕に、幸せそうにくつろいでいます。チャスカもチャスキも、この白ランタナは口に合わないのか食べませんが、コヤチャはしょっちゅう花をかじっています。 そしておもしろいことには、今日退院したチャスカが、なぜか急に白ランタナを食べ始めたのです。コヤチャが入院中のチャスカに、「お母さんは食べないけど、白ランタナって試すとけっこうおいしいよ」と話していたのかもしれませんね。 この晩はまた以前のように、母娘はぴったり身を寄せ合って眠りました。 私もこれで、単独育児気味だった仔アルパカ飼育から解放されて、お手伝いのばあちゃん役に戻れる……と思うと心底ほっとして、めずらしく気絶するように眠りに落ちました。 |