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パチャカマックのタテハチョウ
Ninfa'lidos de Pachacamac, Peru


現在のところ7種確認、1種のみ掲載 (最終更新2018年12月)

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<パチャカマックの蝶々>最新ページはこちら

・学名や和名その他いろいろの情報は、手に入ったわずかな資料からの推定にすぎません。どうか、もしかしたらそうかも、程度におとりください!
・写真は、おことわりがない限り、すべてうちの庭で撮影したものです。食草なども、うちの庭限定の観察記録です。
・また蝶の数え方については、「頭」が私にはしっくりこないので、勝手ながら「匹」で押し通します。




1) クリスマスツリーに飾ってみたい、タテハモドキ君(たぶんJunonia evarete)

2018年12月25日作成


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本日のゲスト、タテハモドキの和名わからんさん(♀)


 輝くガラス玉オーナメントを、八つも翅にのせています。
 年末年始にふさわしい、とてもきれいな蝶です!



タテハモドキの仲間(たぶんJunonia evarete)

 ★分布……(もしJunonia evareteなら)中南米の熱帯・亜熱帯地区、メキシコ、フロリダ、カリブ海域
 ★庭でよく見かける季節……11月ごろからちらほら、多いのは3月から5月前半
 ★成虫が特に好む花……不明(地面か石の上にいることが多いため)。吸蜜はアリッサムとシロツメクサで確認。
 ★幼虫の食草……不明、ランタナへの産卵は確認
 ★庭内繁殖……確認済み
    (ジャスミンについていた地味な蛹を持ち帰ったところ、タテハモドキ君が出てきました)



 今日の主役タテハモドキ君は、だいたいこれくらいの大きさです。
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わけあってオスの触角をじっくり拝見…




 ペルーにはJunonia evareteとJunonia genovevaという、二種のものすごくよく似たタテハモドキ君がいるそうです。

 見分けかたは諸説あるようですが…
 オスの触角先端(太くなったところ)の下側が、くっきりと濃い黒ならJunonia genoveva。
 そこが白っぽいか、茶色などのグラデーションならJunonia evarete、らしいです。


 そんなのどうでもいいかも…
 それに生きた蝶の触角の、それも下側ってどうやって写すの?たいてい地面にいるのに… …等々思いつつ、手持ち写真で確認を試みました。


 少なくともこのオス二頭の場合は、触角の先端下側は、濃い黒ではありません。
 なのでここはとりあえず、Junonia evareteさんである、ということにしておこうと思います。


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 Junonia genovevaのほうは、オスの触角先端はこれくらい真黒だそうです。

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ぱっと見はとても地味な蝶です。

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お昼前、熱くなった石の上で四つ脚をふんばるタテハモドキさん



 タテハチョウ科の蝶々は前脚が萎縮しているそうで、四本しか脚が見えないところが好きです、あまり昆虫っぽくないから(笑)

 (虫の六本脚って、背中にぞくぞくっとくる主原因ですもんね…それが八本まで増えるとむしろ平気なんだけど…)

 また頭部の、鼻かクチバシのような部分(「下唇鬚(かしんしゅ)」という由、今年学んだ三文字熟語)、それがまるでムっと口を尖らせた、きかん気な子供のようでかわいらしいです。
 爬虫類めいた金色の複眼も、またいいですね。


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…という理解でいいのかな?

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 でも、かわいいけど地味な蝶、ではぜんぜんなかったのです。
 あるとき日に透けて見える表の翅の、とても凝った模様に気づいて、以来追いかけ始めました。


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湿った地面で文字通りはねを伸ばすタテハモドキさん(♀)



 でも慣れるまでは、探すのが難しい蝶でした。
 特定の花より、むき出しの地面が好きらしく、そこに気づかずに接近して、とつぜん足元から飛び立つのに驚く…
 という遭遇パターンが多く、それでは写真が撮れません。


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 それも、つーーーいっ、ついついついっ…という感じに、不規則、かつたいへん素早く飛ぶので、どっちに追っかけていいのかわかりません。
 でも次第に、逃げても数分もたてば近くに戻ってくる、ということがわかってきました。
 日焼けさえ厭わなければ(涙)、かならず写せる蝶のようです。
 特にメスにはよく会うので、じきにある程度撮りためることができました。


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 しかし、オスはもっとはるかに色鮮やかなのです。
 それをどうしても写したくて、今年の晩夏は、炎天下でのタテハモドキ君おっかけが日課となりました。


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 そしてついに!
 オスのタテハモドキ君が、目の前にとまってくれました!
 息をつめてじーっと待つうちに、ゆっくりと翅を開き始めます。


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うるわしのタテハモドキ君(♂)


 ゆっくりゆっくり、翅が開いていきます。

 この日はからりと晴れて気温も高かったのですが、曇った涼しい日だと、地面でリラックスして翅を開くことはないようです。
 (そういう日には、パンパスグラスなどの藪に、ぴったり翅をとじてとまっています)


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 こちらの殺気?が伝わらないよう、心を静めて待つことしばし…
 とうとう翅をすべて広げて、8つのきれいなガラス玉、もしくは目玉模様を見せてくれました!
 そしてしばらくのあいだ、ゆっくりと翅を閉じたり開いたりを繰り返していました。


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うるわしのタテハモドキ君(♂)


 深いすばらしい孔雀青です。
 よく見ると胴体の背も、玉虫色なんですね。


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うるわしのタテハモドキさん(♀)


 でもメスだって、こうしてみるとじゅうぶんきれいです。
 金茶色の秋らしいコーディネート。
 ガラス玉の光の色が、オスとは少し違って、ラベンダー紫なのがまたすばらしいです。


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よっこらしょ、とばかりに産卵態勢に入るタテハモドキさん

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ランタナの葉に産卵中のタテハモドキさん

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「次はどっちに行こうかな…」


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 お見合い中?のメス(左)とオス。
 オスはゆっくり翅を開閉しながら、なにやらメスに語りかけているようでしたが、私が不注意に動いたせいで、メスがさっと飛び立ってしまいました。
 オスはさぞガッカリしたことでしょう、すみませんでした…


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 タテハモドキ君の目玉模様は、ふつう全部がきれいな円形です。
 でもその中の二つが、涙でうるんだように、少し横に流れているメスに出会いました。


 まだこのメスでしか見たことがないので、こういうのを個体変異というのかな??
 出会えてちょっと得した気分!


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こちらも同じなみだ目のタテハモドキさん(♀)
シロツメクサで吸蜜中。


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夏も、もうじき終るころ。
翅がぼろぼろになったタテハモドキさん(♀)


 メスは下翅が茶色のものと、この写真の蝶のように少し青(オスとお揃いの青)がうっすら入ったものと、両方見かけます。

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夏のさいごの陽射しを楽しむタテハモドキ君


 5月もなかばを過ぎて、曇り日が多くなると、この蝶もまたぴたっと姿を消してしまいます。
 日当たりのいいアンデス西斜面へ戻っていくのでしょうか。


 そして、例年より早く夏になった今季は、タテハモドキ君も早々に11月上旬から姿を見せています。
 やはりその年のお天気しだいで、蝶たちは下界(このへん)と山とを行き来している、という可能性が高そうです。



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